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25 出迎えと現状確認

 水家の屋敷に到着した一行が馬車から降りると「サライ!!」」と声がして、フウが駆け寄ってきて、サライに抱きつく。


「サライ! サライ!」

 フウが涙目でサライにしがみつき、サライは「フウ、聞いたよ。みんなをまとめて頑張ったんだってね」と優しく言った。


「でも、アカリを孤立させてしまった……」

「悪いことを悪いと伝えることも友人として大切な役目だよ」

「うん……、サライ……」


 その様子をラッシュは横目で見ながら「なんか羨ましいな」とミナモに言った。


「え? ラッシュもそういう感情があるの?」

「俺のことをなんだと思っているんだよ?!」


 サーシャも出てきて、ランカに抱きつく。

「ランカ! 会いたかった!」

「サーシャ……」

 ランカがサーシャの頭をよしよししている。


 後ろからカエンとカレンが出てきた。

 シズクがカレンに駆け寄り、抱きしめる。


「大変だったわね」

「ふふふ、想像してたより、シャーリーの方が上手だったわ。

 シャムザが私を庇ってくれて、うれしかった……」

「カレン、あなた……」

 

 シズクがカレンを見つめる。


 カエンは仕方がないという感じでラッシュとミナモの方へ来た。


「おかえりなさい」

「おう、カエン、未来のお兄様に抱きついてもいいんだぞ」

 ミナモが笑って腕を広げた。


「やめとく。とりあえず、誰もこっちに来ないから来てみた」

 カエンの言葉にガクッとするラッシュとミナモ。


「ふふ、そんなことないよ。みんなが帰ってきてくれて、すぐこっちに来てくれてほっとした。

 フウライはシャムザの応援に行ってくれたんだって?

 フウライは頼りになるから……」


 カエンの言葉に首を傾げるラッシュとミナモ。


「あ、ふたりは知らないかもだけど、フウライ、けっこう僕の話よく聞いてくれるんだよ。

 アカリのグループは男子は僕だけだろ、だから、炎家に来て練習を見てくれたりしたし。

 だから僕がアカリとのやり取りで苦労していることとか聞いてくれて、アドバイスしてくれたりしてたし、カレンとも仲いいよ。

 ……ランカは、なんでか苦手にしてたけど」

「そうだな、フウライは……」

 ラッシュが呟いて、頷いた。


「さあ、部屋の中に入った入った!!」

 オウカがパンパンと手を叩いて、みんなを屋敷の中に入るように促す。


「おいおい、ここは私の屋敷なんだが……」

 水家の主スイレンが苦笑いだ。



 とりあえず、決められた部屋に入り旅装を解いて、客間に向かうとカエン、サーシャ、フウ、カレンが待ち構えていて、お茶を頂きながら、ラッシュ達はカレンとフウを中心に話されることを相槌を打ちながら聞いていった。


「なるほど……、でもシャーリーの動きがよくわからないな。

 ブライト様を誘惑したいのか……、アカリ様を焚きつけてランカを攻撃する?」

 サライが顔をしかめる。


「アカリもアカリだ。

 自分に都合がいいことを言う人の言葉を真実だと思い込んで、自分がしなければいけないことから逃げる……。もう言い訳はできないな。

 ブライトは……、確かに物事をはっきりさせるのは苦手だけど、公平な人ではあったはず……」


 ラッシュの言葉にカレンが言った。


「ええ、その公平なところを狙われたのかもしれません。

 シャーリーはわざと私に注意されるようなことをして、注意されることで、ブライト様の同情を引きました。私とのことを相談という形でブライト様に近づいたのだと思います。

 普通、ちょっと考えたら、わかりそうなものだけど……。

 ブライト様は何事も公平に見たいと、それが上に立つ者のしなくてはならないことだと……。だから、アカリやシャーリーの話も聞いた結果、迷ってしまわれたのでしょうね。

 とりあえず、アカリを落ち着かせることに逃げたみたいだし……」


 その時、シャムザとフウライが水家にやってきた。


 ランカが隣に座っていたミナモにすり寄るようにくっつく。


 その様子を見て、フウライがふっと笑った。


「おう、フウライ、どうだった?」


 オウカが声をかけて、こちらに来いという感じで隣の席を示す。

 シャムザとフウライはオウカとスイレンの近くに腰を下ろした。


 フウライが話し出す。

「ブライトはアカリを抑えることだけで弱り切っている。

 判断力が低下しているようだった。

 アカリと離した方がいいだろう。

 オウカ様、貴族のハイリネンってわかりますか?

 そいつと神殿長が黒幕のようです。

 ハイリネンはシャーリーの家族を人質にしている。

 シャーリーはそれもあって彼らにブライトの妃に選ばれるように、五聖家の仲を引っ掻き回して力を削ぐように言われているそうだ。

 で、私はシャーリーに約束した。

 シャーリーの家族をハイリネンから保護したら、彼女に伝えると。

 それまでは気取られないように、悪女役を続けてくれと」


「悪女役?

 シャーリーはわざと?」

 ミナモが声を上げた。


 フウライはミナモをちらりと見た。


「ああ、シャーリーはわざとブライトとラッシュに気に入られようと。そして、五聖家の仲を引っ掻き回すためにアカリの性格や我儘さを利用していたんだ。

 本当は……、まあ、人間は複雑な感情の生き物だから……、それ以上は彼女が話せる時になったら聞いてやってくれ」

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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