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11 一緒に行っちゃう?

 ミナモが話し出した。

「うまく言えないけれど、ランカを褒めてるようで……、どこか……。

 俺に対しても、その、やけに名前を呼んで話しかけてくる、よな? と変な感じがして……」


「あ、そうだな。俺なんか名前言われたことないよ。

 まあ、呼ばれたくないけど」

 サライが笑った。


「ミナモに気があるということ?

 んー、それとも、ランカに何か……、嫌な気持ちがある?」

 シズクが唸った。


 ミナモがシズクの言葉を受けて、話を続ける。

「そうなんだ。ランカとのことを知っているのに、俺の名前をわざわざ呼んで話しかけてきたり、用もないのにじっと見られてたり……。

 それでいてブライト様とラッシュにはずっとニコニコしてるっていうか、ちょっと気持ち悪いところがある」


「ミナモ……、そんな風に感じてたの?

 なんか……、全然気がつかなくて、ごめん」

 ランカがまだよくわからないという表情ながらも謝った。


「いや、ランカがいない時っていうか……、いや、いる時もあるけど……」

「うん、たんに友達になりたいだけとか?」


 カレンが首を振った。

「いいえ、シャーリーには何か裏に抱えている気持ちがあると思うわ……」


 ラッシュが途方に暮れたような表情でみんなを見回す。

「私もランカと同じでよくわからないのだが……」


 シズクがはっきりと言った。

「ラッシュ様とブライト様、後、ランカの前でかな。

 いい子を演じていると思います」


「そ、そうなのか?!」

「あら、本当にいい子だと思ってました?」

「いや、少し距離感が近いとは思っていたが……」

「はあ、男の方ってやっぱりベタベタ触ってくる女の子が好きなのかしら……」

「いや、そうではないけれど……」


 ラッシュがあわてて弁明してから、ランカを見た。

「話を戻そう。ランカが聖女の巡回に行って、シャーリーと離れるのは良いことなのでは?」


「そうか!

 それなら、俺も巡回について行こうかな。護衛とかでさ」

 ミナモがさらっと言った言葉にサライが反応した。

「あ、それいいな。ちょっと楽しそう」


 ランカがあわてて注意する。

「だめだよ! ラッシュ様のそばにふたりはいないと!」

「なら、ラッシュも一緒に行けばいいじゃん」とすかさず返すサライ。


「あら、それ楽しそう! 私もついて行こうかしら」

 シズクが笑って言うと、ラッシュが顔を輝かせた。


「なら、みんなで行こう!」


「え?

 シャーリーを見張る人もいないと……」

 戸惑ったようなシズクの言葉にカレンが言った。

「私が残るわ。シャムザも同じように感じてくれているようだし……。

 それに、シズクへと私への対応というか、違うのよね……」

「あ、それ、私も思った。

 私にはご機嫌を伺うような……、ミナモの姉だからかな?

 そうね、ブライト様とフウライはどう思っているかわからないけれど……、アカリ様達のこともちょっと心配ね。

 シャザムとカレンが見てくれてれば、安心ね……」


 ランカはまだ首を傾げている。

「そんなシャーリー、変なところあるかな?」

「勘っていうものは大切にした方がいいのよ。用心するのは大事。

 勘違いなら、そのままでいいわけだし」

 シズクが微笑んだ。


「ランカは……、人を羨ましく思ったり、妬むことはある?」

 カレンが小さな声で聞いた。


「……羨ましいくらいならあるけど……。

 人それぞれだし、妬むってまでは、ほとんどないかも」

「うん、そうね。ランカは幸せだもんね」

「幸せ……、そうだね。今の私は幸せだよ」

「それが妬まれることもあるのよ。

 理不尽にね。

 シズク、そうね、ミナモも一緒に行くなら、お目付け役が必要ね。

 ランカのこと頼むわ」

「任せておいて!」


 シズクがにっこり微笑んだ。


「あのー、フウも連れて行っていい?」

 サライの言葉にシズクが笑った。


「ええっ、お目付け役、私ひとりで足りるかしら?!」




   ◇◇◇




「五聖家の皆様が一緒?」


 聖女ローズは神殿長から話を聞いて驚いた。


「いやいや、次代の五聖家の皆様がこんなに聖女の仕事に興味を持って下さるとはね。

 炎家のランカ様が巡回の聖女の引継ぎをして下さるそうだ。

 そのランカ様の護衛や友人として、一緒に地方を回ってみたいというところだろう。

 ラッシュ第2王子、水家のシズク様、ミナモ様、砂家のサライ様、そして聖女として炎家のランカ様」


「あら、風家がいませんわね?」

「フウ様が行きたいと言ったけれど、風家当主が許さなかったそうだ。

 それでもしかしたら風家のフウライ様が追加になるかもしれないとのことだ」

「そうなれば五聖家が揃いますね。

 それにしてもどうして……。

 私の時には、そんなこと、誰も……」


「炎家のランカ様と水家のミナモ様は婚約を申し出ている仲なのだそうだ。

 彼だけをつけてやるわけにはいかないという話になったんじゃないかね?」

「……そうですか、そんなことが……。

 わかりました。では聖女ランカに引継ぎをすることを致しましょう」

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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