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【1・東シナ海上空】そして戦地へ 2

『麗からの返信』


 ===== ===== ===== =====


  To Kanzaki From Urara

  Subjekt ひどいよ


 ――――――――――――――――――


  どうして「いってらっしゃい」ってひとこと言わせてくれなかったの?

  黙って置き去りにするなんて、寂しすぎるよ


  あれからずっと、電話もつながらなかったし、

  すごく寂しかったんだからね


  でも……どうしよう

  会う前は、有人さんがいないのを我慢出来たけど、

  今はもう、日本にいないんだって思ったら、

  気がおかしくなりそうだよ。どうしたらいいんだろう……


  たすけて。こういうのって、禁断症状?


 ===== ===== ===== =====




「く……。麗から、もう返事が……」


 神崎は手短に返事をした。




『神崎から送信』


 ===== ===== ===== =====


  To Urara From Kanzaki

  Subjekt 僕もです


 ――――――――――――――――――


  僕もヘリで帰るあの時、断腸の思いだった。本当に身を切られるような、

  とてもつらい気持ちでした。


  電話の件はごめんなさい。電話の仕様が違うので、

  しばらく繋がらなかったんだと思います。無論今も使えません。


  恐らく、この先、ゲームにもしばらくログイン出来ないと思います。

  電話も繋がりにくくなるかもしれません。

  メールの返事も、なかなか返せなくなると思います。


  でも、出来るだけ早く君の所に戻れるよう努力するから、

  待っていて下さい。ごめんなさい、今はそれしか言えません。


  愛しています。僕を信じて。


 ===== ===== ===== =====


 



 現場とのやりとりの合間に、神崎は麗へメールの返事を送ったが、はっきり言って不安要素しかなかった。



 多分、恐れていた事態に発展するだろう……。

 甘やかしすぎたツケが回ってくる。

 多分、彼女をとても苦しめる結果になる。



 どうして、よりによってこんな時に事態が急変するんだ?

 まだ彼女には、自分が必要だというのに。

 あんな形で無理矢理引き離すことになるなんて……。

 皆、自分のせいだ……。



 神崎は、自分を激しく責めた。



「しかし、このままじゃ向こうも全部手遅れになるぞ」



 それもまた然りだった。


 たった今も、多くの社員とスタッフたちが敵の攻撃による危険に晒されている。現地に戻ってから対策を講じていたのでは、後手に回ってしまう。状況は想像したよりもかなり悪い。


(本社に支援要請をするしかないな。予算が下りるのなんか待ってられない)


 神崎はまず、いま出来ることから着手した。


 ――先方の能なし国防大臣に、至急増援要請を本社に出してもらう旨打電、そして、先んじて補充要員の選別と武器の補給リスト作成をしなければ。――


 現状ですぐに動かせる、近隣国に散らばった社員のリストが必要だった彼は、


(少々キツイが、時間が惜しい。――やるか)

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