【1・キミが君でなくとも】ネトゲ彼女と交際します 4
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Alphonce:
じゃ、うちの入り口開けるから、中で話そう
Flaw:
はーい、いまいきまーす
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神崎は、PC用の個室に彼女を招いた。
室内でなら、周囲の会話なども入らず、かつ知り合いの目なども気にならないので、二人水入らずでゆっくりと会話を楽しむことが出来る。そう思い、部屋に招いたのだ。
しばらくするとFlawが部屋に現れた。
彼女は、普段狩り場へ出かける時の装備品ではなく、種族固有の民族衣装を身に纏っていた。やはり獣人キャラであるFlawには、こちらの方が似合う、と神崎は思った。
彼女はしばし部屋を見物するとおもむろに床に腰掛け、Alphonceも側に腰掛けた。
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>Flawさんが入室されました――
Flaw:
おじゃましまーす。うわ~、なんか家具すごいたくさんあるんですね~
Alphonce:
いらっしゃーい。ガラクタばっかりだけどね~。大体が季節イベントでもらったやつばっかかな。クリスマスとかイースターとか七夕とか。
Flaw:
イベントとかよくわかんなくって、そういうのぜんぜん持ってないです~
Alphonce:
え? ログインするときの画面に、お知らせが書いてあるでしょ?
Flaw:
あ~・・・読み方がよくわかんないから、いつもスルー・・・
Alphonce:
ええ~、もったいない(-_-) じゃ、こんどイベントあったら教えるから。
Flaw:
教えるだけ、ですか?
Alphonce:
ん? えーっと・・・
Flaw:
アルさんは、一緒には、行ってくれないんですか?
Alphonce:
うーん・・・
Flaw:
だめ?
Alphonce:
だめじゃないけど・・・最近俺とばっかりプレイしてるし、イベントのときくらいはフラウさんももっと他のフレンドとかと遊んだ方がいいんじゃないかな、って。
Flaw:
じゃ、行く人が他にいなかったらいいのかな?
Alphonce:
わざと縁切るのナシね。余計悪い(-_-メ)
Flaw:
そんなことしないです~、冗談ですー。
Alphonce:
一つ聞いてもいいかな。ちょっと踏み込んだことだけど、無理に答えなくてもいいから、差し支えなければ教えて。
Flaw:
いいですよー
Alphonce:
もしかして、キミが今いる場所って・・・病院?
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画面の向こうで、Flawはしばし無言になった。