【1・キミが君でなくとも】ネトゲ彼女と交際します 3
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>Log in time 15:02:53
>Server No.10 : Tricorn
>Welcome back! Alphonce!
>【Home Town】
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「ふぅ、なんとか間に合ったぞ、と。もうインしてるのかな?」
多少出遅れたせいか、慌ててログインをする神崎。
メニューを開き、それほど多くもないフレンド登録者のリストを開く。
「あ、いたいた。待たせちゃったかな?」
この日は、件の彼女と一緒にレベル上げをする約束をしていた。
最近彼女がようやくパーティプレイに慣れてきたので、格段にレベルの上がり方が早くなっていった。
しかし、自分からパーティに入ることの出来ない彼女のために、彼がパーティリーダーとして、一緒にレベル上げをする冒険者を募る役目を担っていた。
つまり、彼女は神崎に「寄生」してレベル上げをしている格好だった。
神崎は、少しだけ不安に思っていることがあった。それは、自分がいなければ彼女がプレイ出来なくなってしまう、ということだった。
寄生に慣れすぎるのはどうなのだろう、と思う反面、こんなに厳しい思いをしなければ満足に遊べないゲームシステムの方にこそ、問題があるのでは、と複雑な気持ちになる。
しかしそれは、このゲームをプレイする全員が抱える、重い問題でもあった。
――とにかく、側にいられる間は彼女を支えよう。
――邪な気持ちで一緒にいる事の、せめてもの罪滅ぼしとして。
彼女とパーティを組むために、いつものようにチャットで呼び出してみる。
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Alphonce:
こん~(^^)/
Flaw:
こんばんは~
Alphonce:
もう用意とかいい? PT組むよ?
Flaw:
うーん、・・・今日はちょっと調子わるいから・・・お話しだけさせてもらってもいいですか?
Alphonce:
え? ゲームなんかやってて大丈夫なの?
Flaw:
レベル上げじゃなければだいじょぶですー
Alphonce:
なら、いいんだけど(-_-)
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「ふむ…………」
やはり、彼女は入院しているのだろうか。いやな予感が神崎の脳裏をよぎる。