【3・まちぼうけ】ネトゲ恋愛と公共事業 5
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Alphonce:
暑いからね。彼等は外の仕事だから結構大変そうで・・・自分は仕事中はエアコンをガンガン効かせてるから平気です(^0^;)
Flaw:
あんまり冷やすと体に悪いですよ~
Alphonce:
けっこう暑がりだから、空調効いてないと仕事しづらくて(~_~;)
Flaw:
あ、釣り行かれるんですよね?話し込んじゃってごめんなさい<(_ _)>
Alphonce:
いや、今日は行かないです。
Flaw:
え、そうなんですか?
Alphonce:
実家帰るって言うから、もしかして自分のせいだろうかと・・・
Flaw: うーん、そうなような、違うような。見つかっちゃったら、また迷惑かけるかなと思って。だから、地元でおとなしく一人でやってようかなって思って・・・
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「やっぱりそうか……」
神崎は、苦虫を噛み潰したような顔をした。多かれ少なかれ、負担に感じさせてしまっていたことには、間違いなさそうだ。
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Alphonce:
うーん・・・・・俺は特に迷惑とは思っていないし、役に立てるなら手伝いたい。でも、重く感じるなら、これ以上声はかけない。
Flaw:
私、いつも部屋にこもってるから、人付き合い苦手で・・・あ、べつに引きこもりじゃないですよ☆
Flaw:
体が弱いだけなんです。だから、ともだちとかいないし。それでも・・・なかよくしてもらってもいいですか?
Alphonce:
はい、こちらこそよろしくお願いします。友達いなくても全然問題ナシですよ。俺もこんな仕事だから一カ所に長くいることほとんどなくて友達あまりいません。
Alphonce:
東京に帰ったときに顔を見せに行く友達がいるくらいかな。だから安心してください(^_^) ぼっち同士だから、どうぞ気兼ねなくね☆(^_^;)
Flaw:
はい(^^)/ありがとう!よろしくお願いします^^
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「ふぅ……何とか仲直り出来てよかった」
さしあたり彼女との誤解や行き違いは回避出来たようだが、それにつけてもネットの世界での意思疎通はもどかしい。我ながら、よくこんなことを延々と続けていられるものだ、と神崎は呆れてしまう。
「なかよくしてもらってもいいですか……か。社交辞令でも、うれしいな……」
(でも、体弱いって、気になるな……。――まさか、病院に、いる……?)
ふと、心の中でもう一人の自分がつぶやき始めた。
『近づき過ぎれば、また失ってしまうかもしれないぞ?』
(確かにそうだけれど。分かっていてもやめられない)
『でも、手放せないんだろう? この世界が』
(そう言われてしまえば、確かにそうなのだけど)
『一体お前はどうしたいんだ?』
「代替行為に目的もヘチマもあるかッ、クソッタレェ!」
叫んで枕を壁に投げつけた。
いつもの自問自答。
いくら否定しても肯定しても、何もかもが納得がいかない。
でも一番納得がいかないのは、いま自分の傍らに『彼女』がいない事。
渡し守から伝え聞く、妻の地上への帰還時期はいつも正確だった。
半世紀も遅れれば、今生では逢えないものと判断してもおかしくはない。
『――もう、待ちくたびれたよ。諦めても、いいかい? 僕の白猫……』