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人の視線が見える

作者: ウォーカー

 その男子生徒は、人の視線というものが苦手だった。

学校でも外でも、誰かが自分のことを白い目で見ている気がする。

人の視線が刺さるように飛んできて痛い。

それは気のせいではない。

なぜなら、その男子生徒には、人の視線が実際に目で見えているのだから。


事の始まりは、半年ほど前の事だった。



 その男子生徒は、学校では物理部に所属している。

物理部は慢性的な部員不足で、今は半分休眠状態。

学校からは部室も充てがわれているけれども、部員の姿はほとんど見られない。

その男子生徒は学校で一人になれる場所が欲しくて、

そんな人気ひとけのない部室を目当てに、物理部に籍だけは置いていた。

その日も、その男子生徒は、人の視線から逃れたくて、

人気のない物理部の部室で一人過ごしていた。

するとそこに、白衣にボサボサ頭の中年の男がやってきた。

それは物理部の顧問の先生で、たまにこうして顔を出すことがあった。

顧問の先生は、一人でいるその男子生徒の姿を見つけて、

にこにこと笑顔で話しかけてきた。

「君一人かい?他の部員は?」

「いません。

 この時間は大体いつも、部室には僕一人だけです。」

「そうか、いつもか。

 こんな人気のない部室に一人っきりだなんて、

 君、何か悩み事があるんじゃないか?」

冴えない風体をしていても、そこは生徒たちを指導する顧問の先生。

図星を突く鋭い指摘に、その男子生徒は迷いつつも本音を打ち明けた。

「僕、人の視線が苦手で。

 いつも誰かに見られているような気がするんです。

 特に今のクラスになってからは、そう感じることがあって。

 だから、こうして一人でいられるのが心地いいんです。」

「なるほど。人の視線を感じる、か。

 君のような思春期の生徒には、特にそう感じられるかもしれないね。

 ・・・だったら、これを試してみないか。」

そうして先生が取り出して見せたのは、

何やらゴテゴテと装置らしきものが付けられた眼鏡だった。

差し出された眼鏡を受け取って、その男子生徒は首を傾げた。

「先生、これは?

 僕、眼鏡をかけるほど視力は悪くないんですけど。」

「これは、ただの眼鏡ではない。

 この眼鏡は、人の視線を見えるようにする眼鏡だよ。」


 その男子生徒は、人の視線が苦手。

人の視線から逃れて、人気のない物理部の部室にいた。

すると、そこに物理部の顧問の先生が現れて、

人の視線が見えるようになるという眼鏡を差し出したのだった。

「これは、人の視線を見えるようにする眼鏡だ。

 この眼鏡をかけていると、自分に向かってくる視線が見えるようになる。

 君、試しにこの眼鏡をかけてごらん。」

言われるがままに、その男子生徒は、ゴテゴテしたその眼鏡をかけてみた。

すると、目の前に立っている先生の目から自分の方へ、

矢印が飛んできている光景が見えるのだった。

それだけではなく、側頭部にはチリチリとした刺激も感じられた。

「わっ、すごい。なんだこれ。」

「どうだい?

 私から君に向かって矢印が飛んでいるのが見えるだろう?

 それが、私から君に向かう視線だ。

 側頭部に刺激を感じるのは、視線から受ける感覚を増幅したからだ。

 視線が刺さるって言うだろう?その効果だよ。」

「なるほど。

 確かに、先生の目から僕に向かって矢印が飛んできているのがよく見えます。

 視線が矢印になって見えるなんて、これはどんな原理なんですか?」

形式だけであれど、その男子生徒も物理部員には違いない。

物理部員らしく、人の視線を矢印として見えるようにする眼鏡の、

その原理が気になるらしい。

顔から眼鏡を外して、ゴテゴテと取り付けられている装置を触ろうとする。

すると顧問の先生が慌てて言った。

「ああ、その眼鏡はあまり弄くらない方がいい。

 まだ試作段階だから、故障してしまうかもしれないからね。

 その眼鏡は・・・そうだな、

 観測者効果という物理現象を利用している、と言えるかな。」

「観測者効果?」

観測者効果と聞いて、その男子生徒は考えた。

はて、観測者効果とは何のことだったか。

観測者が物理現象を観測することで結果が確定する効果だっただろうか。

物理現象は観測者が観測してはじめて確定する。

だから、人の視線も、観測者がいてこそ存在し得る。

そういうことだろうか?

「先生、観測者効果というのは・・・」

「おっと、私は用事があるんだった。

 早く行かなければ。

 君、困ったことがあったらまた遠慮なく相談しなさい。」

不勉強なその男子生徒が疑問を口にしようとしたが、

しかし、顧問の先生は震えるスマートフォンの画面を確認すると、

そそくさと部室から出ていってしまった。

そうしてその男子生徒の手には、視線を見えるようにする眼鏡が残された。


 人の視線を見えるようにする眼鏡を手に入れて、

その男子生徒は早速その眼鏡をかけて教室へと戻った。

教室の扉を開けると、早速、

教室の中からいくつもの視線が矢印となって自分の方へ飛んでくる、

そんな場面を目撃することになった。

矢印となった視線が刺さるような感じがして、側頭部がチリチリと痛む。

しかし、そんな刺さるような視線の矢印も、

数秒もすると溶けるようにして消えてしまった。

その男子生徒に視線を向けていた生徒たちが、

おしゃべりや自分のことに視線を戻したからのようだ。

視線が自分に向いていないことを確認して、その男子生徒は一安心。

自分の席に戻って、次の授業の準備をはじめた。

そうしてその男子生徒は、

人の視線を矢印として見て感じることができる、

そんな生活を送るようになった。

学校の教室で視線を感じた時は、

人の視線が見えるようになる眼鏡をかけてみる。

そうすれば、どこからか視線が矢印として飛んできてはいないか、

目で見て、刺激として感じて、確認することができる。

もしも、視線が矢印として飛んできているのが見えたのなら、

視線を飛ばす本人に何の用か確認するなり、自分が身を隠すなりすればいい。

その眼鏡をかけても視線の矢印や刺激が確認できないのなら、

きっとそれは誰も自分に視線を飛ばしていない証拠だろう。

そう考えれば、他の生徒たちがいる教室の中でも、安心して過ごすことができる。

ゴテゴテと装置が付けられた眼鏡をかけるのは、

実際の所あまり格好がよくない。

それでも、人の視線を見えるようにする眼鏡のおかげで、

その男子生徒は、人混みの中でも安心して過ごすことができるようになった。

そのはずだった。


 人の視線を見えるようにする眼鏡のおかげで、

どこからか視線が飛んできてはいないかと確認できて、安心できる生活。

しかし、そんな生活は長くは続かなかった。

人の視線が矢印として見えて、刺激として感じられるということ。

それは、人の視線の影響を増幅することにもなる。

一瞬だけの視線も、何気ない視線も、

日常生活では無視できるような些細な視線が増幅されて、

全てが無視できない存在になる。

肉眼であれば気が付かずに無視していたであろう視線も、

自分に向かう矢印として目に見える形にされると、

全てを把握しようとせずにはいられない。

誰かが一瞬でも自分に向かって視線を飛ばしていれば、

それが矢印となって目に見えてしまう。

見逃していたはずの視線が、チリチリと刺激となって側頭部を襲う。

ふと気がつくと、誰かが僕を見ている。

恐ろしげな上級生が、白い目で僕を見ている。

先生が文句を言いたそうに僕を見ている。

女子生徒が何か言おうと僕を見ている。

そんな気がしてならない。

視線が矢印として見えるのが困るのならば、

いっそのこと眼鏡を外してしまえばいい。

そうすれば、人の視線が見えない肉眼にいつでも戻ることができる。

それはわかっているのだが、見えるものを見えなくしても、

安心できることにはならない。

見えていたものが見えなくなって、返って気になって落ち着かない。

そうしてその男子生徒は、

人の視線が見えるようになる眼鏡を外すのが怖くなって、

数週間も経った頃には、

ほとんどその眼鏡をかけっぱなしで生活するようになっていた。

自分に向かってくる全ての視線を余さず見えるようにする、

その眼鏡が返ってその男子生徒の負担を大きくしてしまい、

今やその男子生徒は、学校に登校しても、

授業中以外はほとんど物理部の部室に居着いてしまっていた。


 その日、昼休みになると、その男子生徒は、

クラスメイトたちの目を避けるようにして教室を抜け出していった。

行く先はいつもの物理部の部室。

学校で人の視線から逃れられるのは、そこしかない。

その男子生徒の鼻の上には、

人の視線を見えるようにするあの眼鏡がかけられていた。

部室の扉を開けると、案の定そこには誰もいない。

一人っきりになれて一安心。

しかし、すぐに部室の扉が開けられて、招かれざる客が姿を現す。

それは、同じ物理部のクラスメイトの男子生徒で、

その男子生徒を物理部に勧誘した張本人だった。

やってきたクラスメイトは、その男子生徒の顔を見ると、

心配そうに声をかけてきた。

「君、最近なんだか様子がおかしいけど、大丈夫か?

 クラスの子が心配していたぞ。」

「あ、ああ。

 大丈夫、ではないかな。

 実は困ったことになっていて。」

同じ物理部員同士で、他のクラスメイトたちよりはまだ会話をしやすい相手。

そうしてその男子生徒は、クラスメイトの男子生徒に事情を説明した。

人の視線が苦手であること。

物理部の顧問の先生から、人の視線が見えるようになる眼鏡を渡されたこと。

その眼鏡によって人の視線が矢印として見えるようになり、

人の視線から刺激を感じるようになって、

返って人の視線が気になって、人混みにいられなくなってしまったこと。

すると、事情を聞いたクラスメイトは、腕組みをして難しい顔で首を捻った。

「なるほど。事情はわかったよ。

 君が一人になれる場所が欲しいと言うから、

 この物理部に勧誘したんだけど、返って迷惑だったかな。

 それはそうと、その眼鏡をかけると、

 本当に人の視線が見えるようになるのか?」

「ああ、何なら自分でかけて確認してみてくれ。」

その男子生徒が眼鏡を手渡すと、

クラスメイトは、今かけている自分の眼鏡に、

人の視線が見えるようになる眼鏡を重ねてかけた。

目の前にいるその男子生徒のことを見て、それから納得したように頷いた。

「なるほど。

 確かに、この眼鏡をかけると、

 君の目からこちらに矢印が飛んできているのが見える。

 でも、これは本当に人の視線なのか?」

「どういうこと?」

クラスメイトの言うことが、その男子生徒にはすぐに理解できない。

それを察して、クラスメイトが一から説明してくれた。

「確かに、この眼鏡をかけると、

 人の目からこちらに矢印が飛んできているのが見えるようになる。

 でも、これが本当に人の視線を現すとは限らないだろう?

 人の目の位置を調べるなんて、そんなに難しいことじゃない。

 カメラの顔認証システムでもやっていることだよ。

 矢印が飛んでいるように見せるのなんて、ARを使えばできる。」

「AR・・・何だって?」

「AR、Augmented Reality。つまりは拡張現実のこと。

 眼鏡を通して見える風景などに映像などを追加することだよ。

 人の目から矢印が飛んでくるように見せるのなんて、ただの画像加工だ。

 言い換えれば、ただの絵でしかない。

 それが本当に人の視線を現すかなんて、確かめようがないと思う。

 だって、人は目の前のものを必ず見ているとは限らないだろう?

 考え事をしていて上の空かもしれないし、居眠りしているかもしれない。

 目が悪くて見えないなんてことも考えられる。

 先生はこの眼鏡のことを何と言っていたんだ?原理は?」

「えーっと、観測者効果だったかな。

 観測者が観測することで物理現象の結果が確定することだっけ?

 人の視線も観測者が観測することで確定するってことだと思う。」

その男子生徒のうろ覚えの説明に、クラスメイトは首を横に振った。

「違う。君が言うそれは、不確定性原理だろう。」

「・・・何だって?」

「不確定性原理。

 観測することで素粒子などの振る舞いが確定すること。

 つまりは君が今言った、観測者が観測することで確定することだ。

 観測者効果というのは、

 観測機器が対象の物理現象に影響を与えてしまうことだよ。

 例えば、鍋の中のお湯の温度を測るために温度計を入れたら、

 温度計の分だけお湯の温度が変わってしまう。

 そういうのを観測者効果って言うんだよ。

 君の聞いたことは、本当に先生から聞いたことなのか?

 先生はあれでも物理部の顧問だぞ。

 観測者効果と不確定性原理を間違えるとも思えないんだけど。」

「うーん、どうだったかな。

 そういえば、観測者効果とは何かって聞こうとしたけど、

 先生は用事があるとかで答えてくれなかったかも。

 でも、そうだとすると、この眼鏡の原理は何?」

「それは先生の言う通りなんだろう。

 観測者効果とは、観測機器が対象に影響を与えることを言う。

 ということは・・・。」

そこまで話したところで、クラスメイトは、

人の視線が見えるようになる眼鏡を外した。

それからその眼鏡を引っくり返したりトントン叩いたりしてみせた。

すると。

その眼鏡からビリッと小さな音がして、

眼鏡のつる、つまりは顔に当たる部分から、

小さな火花が散ったのだった。

その男子生徒とクラスメイトが同時に声を上げた。

「これ、電気だ!

 人の視線が見えるようになる眼鏡から、

 顔に電気が流れてたんだ。

 だから、人の視線の矢印を見ると、刺激を感じていたんだ。

 先生はそんなこと、一言も言ってなかった。」

「つまり、視線が刺さる痛みは、この眼鏡が発生させていたわけか。

 ということは、視線を現すという矢印の方も・・・!」

するとそこに、タイミングを計ったかのように、

顧問の先生が頭を掻きながら現れたのだった。


 「いやぁ、バレてしまったか。」

視線を見えるようにする眼鏡の正体が暴かれたところで、

物理部の顧問の先生が苦笑いを浮かべて現れたのだった。

すぐに、その男子生徒とクラスメイトから、

刺々しい非難がましさを含んだ視線が飛ばされた。

「先生、まさか僕を騙したんですか?」

「いやいや、騙したなんて人聞きが悪い。

 観測者効果を誤解していたのは君だろう?

 仮にも物理部の部員であるにもかかわらず、ね。

 とはいえ、その眼鏡の原理は、おおむね君たちが言う通りだよ。

 人の目から視線が矢印となって飛んでくるように見えるのは、

 人の顔と目の位置を読み取って、

 そこから矢印が飛んでくるように見えるよう、画像加工しただけだ。

 刺激を感じたのは、それに合わせて電流を流していたから。

 矢印は人の視線そのものとは限らないし、

 刺激もただの電流でしかない。

 確かに、どちらも人工的なものだけど、

 目の前に見えている人の目の方向を元にしているのだから、

 あながち視線ではないとも言い切れないぞ。」

誤魔化すような先生の説明に、

その男子生徒とクラスメイトは険しい表情のまま。

形勢不利なのを感じて、先生は慌てて付け加えた。

「わ、悪気はなかったんだよ。

 君が、人の視線が気になるというから、ちょっと協力しようと思ったんだ。

 確かにその眼鏡がやっていることは、

 カメラの顔認証システムに毛が生えた程度のことだ。

 でも、その眼鏡が作り出した矢印を見て、君は右往左往していただろう。

 人の視線を感じて、居心地が悪く感じていただろう。

 本当にそれが人の視線なのかどうかに関わりなく、ね。

 それはつまり、君が人の視線から受けていた感覚は、

 君自身が作り出していたものなんだ。

 考えてもみなさい。

 人の視線が矢印として見えたとしても、その意味まではわからないだろう。

 人の視線とは、何も非難や敵意だけとは限らない。

 君がその眼鏡をかけて、人の視線から居心地の悪さを感じていたのは、

 そんな妙ちくりんな眼鏡をかけるようになったから、

 というだけのことかもしれない。

 他の生徒たちは、君が妙な眼鏡をしているのを見かけて、

 ちょっと目線をやっただけかもしれない。

 それに、そもそも人の視線が自分の前方からだけ飛んでくると思うか?

 視線には当然、自分の背後から飛んでくるものだってあるだろう。

 その眼鏡は、眼鏡を通して見える目の前の映像にしか影響を与えられない。

 側面や背後からくるものには、全く影響を与えられないんだ。

 つまりは、君は物事の一面しか見ずにいるということだよ。

 もしかしたら、眼鏡の原理だけじゃなくて、

 他のことの原理も誤解しているのかもしれないよ。」

顧問の先生の苦し紛れとも思える言葉。

しかし、何かが引っかかる。

「他のことの原理?それはどういう・・・」

「おっと。これ以上は私の口からは言えないな。

 物事は自分で失敗を経験した方が身につくこともある。

 後は自分で考えてみるといい。

 しばらくは、人の視線が見えるようになる眼鏡は貸しておいてあげよう。

 では、私はこれで。」

顧問の先生はまくし立てるようにそう言うと、

その男子生徒が言葉の意味を問い詰める間も与えずに、

そそくさと部室から出ていってしまった。

「・・・何だったんだ?」

「さぁ?ふふふ。」

先生は風のように去り、残されたその男子生徒は目を白黒。

隣りにいるクラスメイトはそれを愉快そうに眺めていた。


 そんなことがあって。

その男子生徒は今も、人の視線が見えるようになる眼鏡をかけている。

あの日、先生が何を言いたかったのか。

自分はなんの原理を誤解しているのか、

その男子生徒にはさっぱりわからないままだった。

人の視線から受ける影響とは、

結局のところ、自分自身が生み出しているものでしかない。

そう言われてもなお、その男子生徒は、

人の視線にビクビクする生活を送っていた。

今日も学校の教室で、他の生徒たちからの視線に怯えながら、

そっと溜息を漏らした。

「やっぱり僕は、人の視線が苦手だ。

 誰かが僕を見ている、白い目で見られている気がする。

 この眼鏡で視線がないことを確認しないことには落ち着けないよ。」

人に視線に怯えるその男子生徒には、

自分の背後の席の女子生徒が送っている熱い視線の意味など、

全く気がつかないことなのだった。



終わり。


 人の視線を使った話でした。


もしも、人の視線が矢印になって見えるようになったら、

視線を避けられるようになって安心できるだろうか。

それとも、視線を無視できなくなって負担になるかも。

そんな眼鏡を手に入れた男子生徒の話を空想してみました。


人の視線を矢印として見えるようにする眼鏡にも弱点はあって、

見えない位置からの視線には無力で、

さらには、視線に込められた意味も現すことはできません。

もしも、この眼鏡に視線の意味を現す機能があったのなら、

男子生徒がいつも感じているという視線は、

かわいらしい桃色の矢印なのかもしれません。


お読み頂きありがとうございました。


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