第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品
配達されなかった3本の牛乳
ひろ子は、大学の学費を稼ぐために牛乳配達をしていた。
全部配達し終えて店に戻ってきた。
自転車から降りて見たら、1本残っていた。
店先で立ち尽くしていたひろ子に店長が、本数の変更の電話があったと告げた。
全部配達したハズなのに。釈然としないまま帰宅。
翌朝、3本配達する家の前でひろ子が来るのを待っていた婦人が居た。
婦人『昨日から、2本に変更したのょ』
ひろ子は、恒久的な変更とは知らず、1本残して、配達を終えた。
店に着いて自転車から降りて見たら、2本残っていた。
店先で立ち尽くしていた ひろ子に店長が、本数の変更の電話があったと告げた。
釈然としないまま帰宅した。
翌朝、1本減らして牛乳配達に出発した。
2本に変更した家の前で ひろ子が来るのを待っていた婦人が居た。
婦人『今朝から、1本に変更したのょ』
と告げられた。
変更について聞いていなかったけれど、1本残して、配達を終えた。
店に戻って自転車から降りて見たら、2本残っていた。
なのに、店長は、ひろ子に何も告げることはなさそうだった。
釈然としないまま帰宅した。
道中、ついさっき1本配達してきた家は、通夜の最中だった。
翌朝、店長の話しによるとその家は、3人家族で、一人息子、ご主人、奥さんと立て続けに亡くなったんだそうな。
そして、今朝からは、その家は、配達不要と告げられた。