表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

異世界

突如、教室の床が光る。幾何学的な模様とともに。否、幾何学的な模様が。



騒がしくなる教室。興味深々な者、ドッキリか何かと疑ったりする者、また、怯える者など十人十色の教室の中で、俺はふと思った。

(どこかで見た事があるような......。まあ君子危うきに近寄らずだ。教室から出るとしよう。)


俺と同じような考えをする人はいるらしく、既に何人かが、教室に出ようとするが、その歩みは止まる。どうしたものかと前の生徒を見てみれば、どうやら扉が開かないようだ。他の人が試してみたり、鍵を確認したりする者もいたが、やはり開かないようだ。


(どこで見たんだ俺。思い出せ。この模様は魔法だろう。どこで見た?もしかして……。だとしたらやばい。多少強引でも開かなければ!)


だが、時すでに遅し だったようで、次の瞬間、光が強くなって、誰もが目を瞑る。目を開いた時には教室は、なかった。


そう、これは俺が召喚された時の魔法陣を改良したものだった。まだ10歳の時、王城の図書室というより図書館の本を読み漁っていた時に、召喚の魔法陣についての本を読んだことがある。そこで俺がどうやって召喚されたかを知ったのだが、その時の魔法陣に非常に似ている。恐らく、改良を施して大人数を召喚できるようにしたのだろう。多分、勇者一人では不安なので、そのサポート係として他の人が巻き込まれたのだろう。であれば、この教室内に俺以外に勇者になる人がいるはずだ。

何故俺を除くのかと言うと、既に勇者である俺がもう一度勇者の器として召喚されることは無いからだ。異世界召喚というものは召喚時に適性のある職業(ジョブ)を与えるもので、既に持っているものはその工程で何もされない。つまりは、異世界召喚の勇者の器は無職の人から選ばれるので、俺は召喚はされるが、勇者として呼ばれた訳では無いというわけなのである。


(俺の予想だと、多分あいつだな。)


目を閉じている時に俺はそんなことを考えていた。

そして俺の予想は見事に的中することになる。


目を開けば、そこは神殿だった。そう、俺が召喚された神殿だ。そして、強引に帰還させられた場所でもある。


(ああ、懐かしいな。でも、あまり気分がいいものでもない。)


周りを見ると、驚いたことに俺の時とは違い、人が少なかった。10人ほどだ。しかも、あまり疲れた様子もない。


どうやら、改良された魔法陣によって、魔力の消費が大幅に削減できたようた。一体どこの誰がそんなことをしたのだろうか。


(そういえば、あの本にこうした方がいいと思って魔法陣を俺風にアレンジして落書きした気もするが、そんなことはどうでもいい。)


まあ、とにかく、戻ってきてしまったようだ。この世界に。


俺はもう、あんな日々は送りたくない。世のため人のためと頑張って来たけど、報われなかった。最初は良かった。助けた人には笑顔で礼を言われた。だが、時が経つに連れ、俺は感謝というより崇拝されていた気がする。それから俺の幸せはメアリーだけになった。まあとにかく俺が元勇者であることはバレないようにしよう。


みんなは愕然としていた。 一拍。一気に騒がしくなる。

「ここどこだよ!俺たちに何が起きたんだ!」

「え、なにここ、やばっ!」

「ドッキリだよね?なんかのテレビ番組だよね?」

「こわいよー」

「やばっ!異世界じゃん!」


すると、神殿の奥から奴がやってきた。そう、この国の国王だ。

「静まれぇ!」


一拍。


「我はこのユージニア王国の12代目国王、エレギンス・ユージニアである。皆が落ち着かないのも無理がない。だが、私の話を聞け。あなた方は我々により、別世界から召喚されしものだ。あなた方にはこれから魔王を倒し、世界を救ってもらう。まだ信じられないことだろうが、ここがあなた方にとって異世界である証拠を一つ見て頂こう。」


すると、国王は前方に杖をかざし、ボソリと何かを呟いた。すると、国王の杖の先に炎が上がる。初級魔法、火球だ。そして、何も無い方に飛んで言った。


「「「「「「「おおおおーーー!!」」」」」」」


もちろんそうなるだろう。そりゃありえない現象が起これば普通の高二ならばこんな反応になる。


「ってことはマジかよ。ここ異世界かよ。」

「凄いことになってるぞ。」

「っ嘘!?」

「ヤッター。異世界だー。」

「あれ手品じゃないの?」

「どうしよう。」


とまぁこんなふうに色々な反応をする人がいた。


「諸君、これで信じてもらえたかな?」


こんな感じでみんなはすぐに乗せられた。だが、俺は忘れもしない、あの時の眼を。あの化け物を見る目を。


「では、ステータスオープン と唱えたまえ。」


「「「「「「「「「「ステータスオープン!」」」」」」」」」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ