異変
高校2年の夏、それは起こった。
高校2年生の夏、もうすぐ夏休みが始まるという時に起きたそれは、クラスメイト全員を巻き込んだ。
明日終業式を行って夏休み開始、2年B組の誰もがそう思って疑わなかった。
もちろん、それは俺も同じことで、俺は安心しきっていた。
俺はいつものように学校に早めに来て自分の席に座ると、腕を枕代わりにして寝た。
これはいつものことだ。
俺は朝に弱いので、二度寝する。
そうすると学校に遅刻してしまい、怒られてしまう。一年生の初日にこれをやらかしてしまい、友達が出来なかったのは言うまでもないかもしれない。
だからといって、一回起きたらもう寝ないというのは辛いもので、やる気が出ない。
そのため俺は、一度起きると学校に向かい、学校で寝るようにしているのだ。
これが変わり者扱いされる理由の一つでもあるのだが、こればかりは仕方ない。
変わり者扱いされる理由はもう一つある。
それは髪型だ。
ある程度整えられているが、顔は髪によって隠されている。
これは異世界にいた頃、何故だか分からないが、顔が原因で女の人が良く争っていた。
これも仕方がない。
他にも変わり者扱いされる理由があるかも知れないが、この二つ以外は分からない。
でも、変わり者扱いされるだけで、虐められるわけでもなく、学校生活は楽しく送っている。
困り事といえば、あるクラスの女の子によく喋りかけられることだ。
別にそれ自体が問題というわけでもないのだが、その子はクラスの人気者、那月 瀬奈という子で、他の子とも喋っているのだが、特に俺に話しかけてくる。
そうすると瀬奈に気がある男子にとって俺は邪魔者になるので、自然と俺は孤立していく。
親友とも呼べる友達が一人いるので俺は平気だけどな。
那月は、黒髪ロングの目がクリっとした可愛らしい女の子だ。
俺のクラスでは、天使と呼ばれていたこともある。
彼女は、俺の通う学校「川谷育成高等学校」の二大美女と言われているので、仕方ないといえば仕方ない。
そしてそんな那月といつも行動を共にしているのは、那月と幼なじみの三人だ (同じクラス)。
一人は片岩 健介、怖ヅラのマッチョだ。身長は高く、髪はオールバックにしている。猪突猛進で、柔道をやっているらしい。
そしてもう一人は、泉川 静乃だ。那月と並ぶ美女で、川谷のもう一人の二大美女だ。普段はポニーテールで目付きは少し鋭い。だが、中身は優しく、世話焼きな為、同級生からはオカンと呼ばれていたりする。実家が剣道教室で、静乃も剣道が強く、去年、1年生ながら県で一位を取ったらしい。
最後に残るのが、このクラスでいう勇者的な存在、2年にして生徒会副会長の天野 勇輝だ。学年一のイケメンだ。勇輝も静乃の道場で剣道を習っている。何より、正義感が強く、彼に助けられた子は何人いるだろうか。
そんな感じで、那月とこの三人がよく行動をともにしているので、俺が那月に絡まれると、よく那月が、三人に何か言われていたりする。
今日も俺が気持ちよく寝ていると、那月に話しかけられた。
「おはよう、佐久間くん、昨日は何時に寝たの?」
と、那月が言う。
「あ、ああ、うん。」
すると、
「こら、佐久間くんが困っているでしょ?」
静乃は那月に言った。聞き慣れた会話だ。
「お前も嫌なら嫌って言えよ。ぐたぐたしてっからこうなるんだろ。」
健介が俺に言った。
だが、俺はどうすればいいのか分からない。那月の厚意を無下には出来ないだろ。
「まあまあ、そこら辺で。佐久間くんももうちょっとしっかりしてね。」
ここで、勇輝が言った。
とまあ、だいたいいつもこんな感じだ。
那月が、ちょっかいをかけて、静乃がそれを注意し、健介が、俺に対して何かを言って、その場を勇輝が諌める。これが普段の流れだ。
そして、終業式が終わり、夏休み前最後の終礼で、夏休みの注意を新井 愛心先生が話している。
愛心先生は新米教師だ。
まだまだ若く、俺のクラスが初めて持つクラスだそうで、授業は現国をやっている。
新米ながらに頑張っていて、また、生徒にもちゃんと向き合ってくれている。
身長が低く、可愛らしい顔つきをしているので、クラスのみんなからはあいちゃんと呼ばれている。
そして、話が終わって挨拶をしたら終わるという所で、事件は起きた。