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第二十八幕 やらなければならないことはいつかやらないといけないのですわ

 中等科のお姉様方にも薬草やうにょうにょをお分けした上に、みんな製薬し出すとバーサクしたように作業するので、あっという間に手が空いてしまいました。

 ワイバーン狩りは領地の端から端に行くだけなので、領都に行ってご挨拶しなければ、諸侯会議の準備のお邪魔にはなりません。

 領主の城に泊まると大迷惑の王太子殿下も付いて来ます。

 前回能力的に残念だった王太子殿下の取り巻き三人とカルロータ様の取り巻き四人も、ビキニアーマーとガントレッドで舞闘士アピールです。

 

 ミルファイユ侯爵家継嗣ギャスパル様も今回は参加されます。

 なんとなく我が一族にわだかまりがあるシャトーモンターニュ家も、わたくしをギャスパル様の嫁にして曾お祖父様のシュバルジャルダンの血を取り込む計画のようです。

 未だにお祖母様を舞闘術の総師範と見る向きがいるのです。

 更に問題なのがコンスタンツァ様の継嗣でわたくしと同い年のアレクシア様です。

 つまらない意地を張ってこれ以上ドラゴン狩りに参加しないと引き離されるだけ、と言う事で参加されたのですが、問題は総師範どうのこうのではないのです。


 会うなり「ギャスバル兄様を取らないで下さい」と言われて泣かれてしまいました。

 ギャスパル様は判りませんが、アレクシア様は本気で愛していらっしゃるようです。

 しかし、継嗣同士なので難しいようです。

 普通の分家なら継嗣でも本家の継嗣の配偶者になるのはむしろ歓迎されるのですが、国王の直臣のコンスタンツァ様の家は同姓の別の家なのです。


 この二人を何とか出来たら、わたくし、悪役令嬢の宿命から解放されるのでしょうか。

 それとも、マルセル様と別れさせられてギャスパル様と結婚させられるのでしょうか。

 本当に愛している方と引き裂かれて、愛してもいない方の妻としてやりたくもない侯爵良をさせられる、これはこれで立派な破滅ですわ。

 しかも、一生アレクシア様に恨まれるのです。破産とか追放よりずっと悲惨な破滅ではないでしょうか。


 アレクシア様の印象は「子供」です。

 十二歳だから子供に違いないのですが、同じ歳でしっかり将来を見据えて歩いている級友達と見比べると「何だこのガキは」と思ってしまうのです。

 自分が悪役令嬢だと知っていなかったら、試合を申し込んで弄り倒して大恥かかせています。

 正に悪役令嬢の所業ですわね。

 マルセル様が好きなのにギャスパル様と結婚させられそうになっているのをお話しして、味方になってもらいました。


 スカトララディチェにお二人もごいっしょされるのですが、わたくしとマルセル様、ギャスパル様とアレクシア様で座りますよ。

 ビスケはお祖母様に連れて行かれました。お祖父様は代償行為でペスカトーレをよしよしされています。

 普通の人には大き過ぎますが、お祖父様にはぴったりの大きさです。


 ホテルエテルニータでの夕食の後、お祖父様お祖母様のお部屋に呼ばれました。


「婆さんは前はコンスタンツァ殿を姉様と呼んでおったんじゃ。義父(おやじ)様が指南役と総師範を押し付けてからは、わしの前でも言わんようになった。姉は跡継ぎではないからの。しかし婆さんの気持ちは今でもコンスタンツァ殿の妹じゃ。他人事ではないわい。二人を呼んで来とくれ。強行突破するで。この部屋に招き入れたいんじゃ」


 悪い相談をするために関係者が集まります。お付きの方々が付いて来られますが、招かれていない部屋にまでは入れません。


「継嗣同士でも最初の子を嫁なり婿なりの家に戻して継嗣にする。二人目の子が出来ずとも貰う側は承知で貰う、これでミルファイユ候とコンスタンツァ殿は合意出来とるはずです。でなければお二人に一緒の旅をさせませんわい。恐らく親類に五月蝿いのがおるんでしょう。今夜二人でこの部屋に泊まってしまえばどうにもなりますまい」

「あの、老子爵」

「ギャスパル殿、何かあったらみんなわしが悪いのですわい」

「「ありがとう、ございます」」


 お二人、合唱です。根回しは済んでいたのでしょう。お祖父様が勝手にしたことにすれば両家の争いにはならないのですね。

 我が一族は両家の下の人から嫌われてもなにも困りませんし。前から嫌われていましたよ。

 これ以上いても無粋なので出ますよ。

 部屋の外で凄むので、お祖母様からビスケを取り返しました。


 お祖父様お祖母様が扉の前に立ち塞がられます。

 ミルファイユの精鋭もコンスタンツァ様の高弟も、お二人に立ち向かえるはずもなく、時間だけが過ぎます。

 王太子殿下が嗅ぎ付けて来られましたよ。


「なにをしておるのだ」

「部屋替えですわい。ここはギャスパル殿とアレクシア殿の部屋になりましたんじゃ」

「そうか。両家の者は宿直の番か。役目大儀」


 王太子殿下とお祖父様がお顔を見合わせてふっふっふっです。

 もう時間的に取り返しの付かないことになっているはずなので、解散します。


 翌日、やけに幼な妻の乗車率の高い車がスカトララディチェに向かいます。

 これで、切り抜けられたのでしょうか? 後半生の不運の裏返しとしか思えない異常な幸運が尽きたかどうか、山羊が出て来るかどうかで計れるかしらん?


 車が登れるとこまで登って、わたくしの関係者からと言う約束になっていたのに、エドモン様の高弟選抜六人が、車を下りた途端にフライングで山羊を呼びました。

 もちろん返事なんかありません。幸先の良いスタートですね。

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