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混ざりモノのヒトとカミ

僕達はいつもそこにいた。だけど僕達はそこにいなかった。いるのはいつもこの光と小さな小さな闇と同じような子達。いないのはいつも僕達だけ。

自分はどうしてこにいるのかと問いたくなる時がある。小さな小さな友人に聞けば

「何を言っているんだ」と呆れたように"光"は揺らめいた。僕は一体誰だったのだろうか。

"君"はいったい何(誰)なのだろうか。

遠い昔、僕はある丘で君(あの子)と出会った。

僕は君と友達になりたくて、一緒に遊びたくて、 君に僕は話しかけた。君は僕の事を見ると、怪訝そうな顔で僕を見つめた後、困ったように笑いながら僕に帰るように言った。だけど僕は帰らなかった。帰りたくなかったから。

親のいない、消えた、あの温かくて冷たい家に帰りたくなかったのだ。君は諦めると、また、少し困ったような顔をしてから、

「なら一緒に…あそびましょう?」といいながら手を取ってくれて、それから暗くなるまで遊んでくれた。

玉遊びや糸遊び、それからパズルなんてので、よく君と遊んでた気がする。

そうやって遊んでおしゃべりして…時間がたった。

君と出会ってから数年して、僕は少しだけ大人になったんだ。だけど君は……彼女はいつまで経ってもあの頃のままだった。彼女はいつまでも思い出と同じ、子供のままなのだ。

彼女はいつも子供のままで、いつもあの丘の上にいた。

まるで何かを待つようによく空を見上げていた。

いつだったか彼女に、君に両親はいないのか、ここにいて心配されないのか、と聞いたことがあった。

……その時の彼女の目を瞑開いたその時の顔は、まるで冷めた氷像の様に表情〈かお〉が抜け落ちていた

あの顔は、絶対にわすれる事ができない、

忘れてはいけない顔だったような気がする。

そうして僕はまた歳を重ねて、僕は大人になって、彼女がほんの少しだけ大人になったある時、僕はまたいつもの様に彼女所へ向かっていった。

彼女のいるあの丘の場所について丘の上に登れば彼女はいた。でも、いつもと違うところがある。それは彼女の足元で跪く黒い男がいたことだ。そしてその男と何かを話して、彼女は哀しそうな顔をしてその男と言葉をまた1つ交わしていた。それを見ている事に気が付いた彼女はいつかのような困った顔をして、こう言った。「君と遊べるのは今日で最後なの 今まで遊んでくれてありがとう」 そう笑って言った後小さく彼女は”ごめんなさい”と言った。

あれは言葉にきっとなっていなかった。音になっていなかった。それでも僕には、”ごめんなさい”と、ハッキリと聞こえたのだ。それが彼女の最後の言葉だ。

跪いていた男が立ち上がると目の前が、暗くなった。

前が見えない何も見えない彼女が見えない。僕はとても不安になった。その直後光が破裂して、その光が収まった後、彼女は彼女でなくなり、また僕も僕ではなくなったのだ。


僕達は小さな場所に居た。そこには何もなかった。

それでいて全てがあって、全てがいない場所だった。

僕と君は、黒くなって、光で弾けて、一つになって。

1つであって沢山になった。僕達は神サマの紛い物らしい。紛い物になって、僕達は崇められて、居なくている”ヒト”になったのだ。けれどそれは冷たくて、寒くて、冷たい彼女ともう遊べない、それは苦痛なのだ。

僕達は出会ってから毎日遊んだ。彼女のココロからも僕と遊べなくて悲しい、と聞こえてくる気がする。

どうして上の世界のカミサマは僕達を繋ぎ合わせてしまったのだろう、紛いモノにしたのだろう。あのまま遊んでいてはいけなかったのだろうか。ただただ、僕達は

一緒に遊んで、おしゃべりしていたかったのに。

どうしてこんな何でもあって、何でもなく、何にもなれないモノにしたの?ボクとワタシはナニになればいいの?

誰かボクたちを天国っていう場所に連れていって……

きっとこんなマガイモノになってもいけるよね。





だからどうか…


──幸福に満ちた、幸せの国に──












……私は彼を壊してしまった。

彼は私と出会ってしまった。

彼は罪を背負ってしまった。

ごめんなさい。罪を深めてしまうことがわかっていたのに私は貴方と共にいてしまった。貴方が不幸になるのをわかっていて、私を理解させてしまった。私は堕子(おとしご) 神が親で、親によって堕とされた、罪で出来た子供。

私は貴方を不幸にした。ごめんなさい。

それでも私は貴方といたかった。

優しい優しい貴方といたかった。

あの時のような別れはしたくなかった。嫌だった。

貴方は約束なんで覚えているはずがないのに、私のところに来た、来てしまった。そして私は思い出してしまった。彼と共にいたい。もっともっと、彼といたい、と。

だから父に願った。私達を離さないで、と。それを叶えてしまった。彼は私の元にいつもの様に来てしまった。

父の言葉を伝え、それをしようとするこの天使は

最後に言葉を交わすことを許可してくれた。

私のごめんなさいは、彼に届いたのかしら。

ごめんなさい、私の勝手で貴方を殺してごめんなさい。

ありがとう、私と彼を同じにしてくれてありがとう。

ありがとう、私たちはもう離れない。彼がいる限り、

彼が私である限り。私はもう罪を侵さない。

父と同じくあるだろう。私は2度と別れない。

彼と別れたくないから。

さようなら前の私、さようなら前の君、

こんにちわ私、これからは彼と生きていく。

こんにちわ君、これからは……ずうっと、一緒だよ。

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