嘆きの姫君と破壊の神
今日もまた人々の悲鳴が聴こえてくる。
あぁ、死にゆく彼らの声を聞き続けなければならない。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ 嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!…………これは呪いだ。
私に掛けられてしまった呪い(祝福)なのだ!!
嘆きの姫君は耳を塞いで目を瞑り、そう叫び、嘆き続ける。
嘆きの姫は城の地下で彼らの声を(叫び)を聴いている。
神に愛されてしまった姫君は、自分の愛する国民の助けを呼ぶ声を
聴き続け、死ぬ間際の絶叫さえも、草木が枯れ落ち土と還っていく音も、
川や湖に住む魚達や植物が死に絶え腐り落ち水も濁りヘドロが
溜まっていく音も、子供が助けを呼ぶ声も、父と母が娘または息子、
姉妹、兄妹、を救おうとし死に絶え、その姿をみた子が絶望し泣き叫び、
すすり泣く声も、生あるモノが全て神によって蹂躙されたその末路までの
全て、全て、全てが姫君の耳には届いてしまう。
神は彼女を愛してしまった。姫は神に愛されてしまった。
毎日欠かさず祈り続け、国民全てを愛する彼女を
毎日祈り、感謝を伝え、愛を伝えてしまったから
愚かな神はその愛を自分のみに と欲したが故、彼女の愛した世界は消えた。
姫は神にその信仰を厚く与えてしまったが故に、彼に愛され、籠に繋がれた。
鳥籠に入れられた姫君(青い鳥)は神によって絶望し、神によって壊された。
生あるモノ達の声を聴き、まるで歌う様に、囀るように歌い出す(泣き叫ぶ)
神に愛されたが故に壊された国は 彼女に絶望の歌を歌わせる。
いつしか神はその歌声の為だけに隣国までをも壊し、
彼女に耳にその声を、音を届け、彼女は歌う。嘆きの姫は歌い出す。
私のせいで死んでいった者へ向けた懺悔の歌を嘆きの姫は歌い続ける。
神は壊す。彼女が他のモノを愛さないように、
彼女が自分だけの為に歌い手続けるように。
いつしか世界初滅びてしまった。世界にのこったのは姫君を愛す破壊の神と神に愛された嘆きの姫君が住まう城(鳥籠)のたった3つだけだった。
姫君は歌い続ける。死んだ愛する彼らの為に永遠に歌い続ける。
神は壊し続ける。彼女だけに愛される為に、彼女だけを愛する為に、
彼女を欲しがるモノ達(神々)を壊すために。
そうして世界は終わってしまった。たった一人の神がたった一人のお姫様の為だけに起こしたとても大きな愛のドラマ(終焉の扉)
世界には二人しかいない。ひとりはこの世界の為に歌い続け(泣き続け)
ひとりは自分に歌って欲しくて世界を壊した。
……………さて、こんな二人でしたが実はこの話から約100年後に、愛し合い、
子を成し、世界を再生しました。今あるこの世界は初めから作り直した
世界なのです。私はこの物語を伝え、真実を伝え、この物語よりも大きな事が起きるその時まで、役目を果たすのです。
ですから………あなたも是非、この物語を伝え、覚えていて欲しいのです。
我ら神はその時を待っているのですから。
ではその"時"に___嘆きの姫君様。
──プツン──