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道化師  作者: 豆腐。
6/6

人生6

「じゃあ…いつでも来ていいからね。」

「ありがとう」

アガンの言葉に裏はなかった。

「あ、そうだ」

とアガンは、

「最後に、君の名前を聞かせてくれないかな?」

と言った。

「俺の名前は…」

俺の名前…俺の本当の名前は捨てた。今はもう、新しい名前だ。

「俺…いや、ボクの名前は、洸多。中津洸多(ナカツ コウタ)だよ。」

中津洸多は、明るくて、普通にしてればみんなと仲良くなれるキャラだけど、どこかおかしい。いつでも笑顔で、つかみどころがない、不気味な人。そうやって決めた。

アガンはすべて理解しているように微笑んだ。

「そうか、中津洸多くんだね。ありがとう。」


「そうだ。ボクもひとつ聞いていい?」

俺は、アガンについて聞いた。


「アガンは、生きてる人じゃないの?」


これは、最初からずっと思ってたこと。

答えなんて、ほとんど分かってる。でも、アガンからその話を聞きたかった。


「うん、僕は、とっくの昔に死んだ人間なんだ。」


アガンは、少し悲しそうにそう言って、薄く笑った。でも、その後、


「ここにいつ来たかわからない。もうかなり昔からここにいるよ。転生する方法も分からないし。でも、こうやって、たまに生きてる人間と出会えるし、何より、今は、この生活が嫌じゃないんだ。」


そう言って、アガンは、ラミーを見て、にっこりと笑った。


「そっか。じゃあ、もう行くね」


俺は、アガンに別れを告げて、道を進もうとした。

瞬間、アガンに呼び止められる。


「何度もごめん。でも、やっぱりこれだけは、どうしても伝えておくべきだと思ったから言うよ。君は、どうやら、不思議な力をたくさん持っているみたいだ。ここに、こんなにすんなり来れたのも、何か関係してるかもしれない。気をつけて。世界には、そういう人を研究する組織もあるみたいだから。特に、神様には要注意だよ」

「神…??」

神様なんて、空想の世界ではないのか。

「昔、誰かがそう言ってたんだ。この世界を作ったのも、君たちの世界を作ったのも、人間を作ったのも、全部神だから、神は何でも思い通り、だって。まあでも、君なら大丈夫だと思うけどね」


………神……………。。。



そして、俺はアガンと別れて、元の世界へ戻った。

最後にアガンが言っていた意味…あれが、今後の重要なことにつながっていく気がする。俺はそれを考えていかないといけない。

道を歩きながら、さっきまでのことを考える。今考えても夢を見ていたとしか思えない。

でも…


アガンには、初めて、他人に普通に優しくされた。あの時間は、忘れられない。

『愛』とは何か、というのも、アガンとラミーを見て、わかった気がする。


でも、俺はきっともう、中津洸多という存在として、あの世界へ行くことはないだろう。

そうだ、もし、次に会ったときは…クラウンなんて名前はどうかな。



そんなことを思いついて、わりといいかもしれないなんて思って、ちょっといい気分になっていたから、周りのことをあまり考えてなくて、油断してた。俺が、曲がり角を曲がった瞬間、視界が闇に包まれた。


『対象確保。今から戻ります。』



薄れていく意識の中、そんな言葉が、聞こえてきた。

クラウン…道化師の意味。

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