プロローグ 食べられてしまいました。
受験勉強中にふと思いついたので書いてみた。
「おはよーございます!」
誰か返事を返してくれる訳じゃありません。もう身体に染み付いた習慣、とでも言いましょうか、ついつい言ってしまうんですよ。
まだ朝日が見えるかどうかくらいの時間。でも起きてる人もちらほら。農民の朝は早いですから。
畑に着くと作物のお世話をします。僕の詳しい仕事内容、聴きます?まあ大したことは無いので割愛しましょう。
そろそろ一息つこうかとお昼の休憩に入った頃でした。
急に空が真っ暗になったので何事かとみんな空を見上げたんです。
そこには大きな口を開けた恐ろしい怪物が立っていました。
「か、神様〜お助けを〜。」
村のおばあちゃん達は神様に祈り出してしまいました。
男衆は狩猟用の武器を持って立ち向かおうとしているようです。流石に無理だと分かりそうなものだけど。
そんな僕達を一体どんな気持ちで観ていたのでしょうか?
あんまり良くは思わなかったのでしょう。大きな口をもっと大きく開けて、それが村全体まで行き届いた時。
僕達はまとめて食べられてしまいました。
村の地盤ごとゴッソリと、お腹の中に入ってしまったようなのです。
そこは真っ暗で、きっとヌメヌメしているところなのだろうと予想しました。
ところがあらびっくり。
お腹の中には極々普通に見える世界が広がっているではないですか。
口から下まで落ちる間に見えたのは、それはそれは広い世界でした。
大きな街や、お城、教会のようなものまで。
僕はいつかあんな場所に旅してみたいと思いました。
気がつくと、もうすぐ着陸するようです。
果てして、どんな事が待っているのやら。