表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君が代を(技術的に)歌えるようにしたものは

作者: xoo
掲載日:2026/04/17

 過日、自由民主党の党大会で自衛隊(陸上自衛隊中央音楽隊の三等陸曹)が君が代を斉唱したことに関してニュースになっている。らしい。


 小泉防衛大臣がツーショットで写ってヤニさがっている絵は1秒ほど見たけど、まあ、「なんだかなあ」である。自民党の党大会なんて一政党のイベントに業務命令を出して歌わせる。「これが何が問題あるんだ」と言い張る方もおられるようだが、「俺は偉い」と勘違いしている自民党のセンセイにはこの言葉を送る。


 「 中 共 か ! ? 」


 いや、中国共産党だったら中華人民共和国政府と一体だから、彼らなら正しい行為。朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国政府もそう。でもここは日本なんだよ。「長期休暇中に私的に参加した」ってことに官邸サイドはしたいようだけど、関係者に依頼されたからって「育休中に」「制服を着て」参加するなんて陸幕とか上から「命令」がないとできない行為でしょ、官給品である制服を持ち出しているんだから。逆に「私的に行なっているのなら制服はダメ」って三曹側だけでなく自民党側もチェックしているはず。それが通ったってことは自民党側が要望(実態は強制)し、三曹に防衛省からの業務命令があったってこと。


 自民党総裁が音頭を取って全員で歌えば良いだけなのに、自分が偉いと思い込んでいるから著名ゲストに歌わせてヤニ下がる。小泉進次郎が(支持者の会社で雇用されている)女性に接待されてるオッサンにしか見えない。



 自衛隊各音楽隊の声楽の方の君が代は、どれも素晴らしい。私個人としては陸自中央音楽隊にいた松永さんの君が代が一番好きだったが、残念ながら2022年に退官してしまった。


 自衛隊音楽隊の声楽要員(歌姫と呼ばれることも多いが、男性もいる)の君が代の歌い方には、特徴がある。色々なイベントで著名な歌手や学生生徒が君が代を歌いとき、上手い下手は別にしてほぼ必ず「さざれ (v) 石の」と息継ぎが入るが、自衛隊の歌姫らはブレスを入れない。さざれ石は細かい石が石灰質の作用で凝固し巨大なコンクリート状になったもの(石灰質角礫岩)であり、形容詞または形容動詞の「さざれ(=細かい)」+名詞の「石」ではなく、「さざれ石」で一つの名詞として捉える方が意味合いとして正しいので、ブレスを入れず一つの名詞として扱われる。


 実際に歌ってみると、ブレスを入れない方が難易度はかなり高くなる。しかし歌詞の意味、込められた願いを表現するにはここにブレスを入れると「君が代」の意味合いを損なうように感じている。



 君が代は、成人男性には歌いにくいキーである。レ(D4、mid2-D)から上のレ(D5、hi-D)まで、日本風にいうとニから上のニまでの1オクターブ。女性には歌いやすいが、男性だとオクターブ下げて歌う方が楽かもしれない(歌い慣れればどうってことないが)。また、二から始まりニで終わる(主音がニ)からニ長調(D dur)かと思うと、そうではないので、西洋音楽に慣れた人には戸惑う面もある。「自衛隊」「君が代」で検索すると楽譜が配布されているのでご参照いただければわかるが、シャープ記号もフラット符号もついていない。かといってハ長調だと主音の2度上の上主音から始まり上主音に終わることになるので西洋音楽にはあり得ないメロディーである(曲終わりの終止感がない)し、もとよりニ長調の調性「明るく煌びやかな響き」ではない。答えを言うと日本民謡の「ヨナ抜き音階」や日本音階の「陽旋法」(雅楽など)に近いものである(イコールではない)。西洋音楽に慣れた耳で聴いたり歌うと、調性がはっきりしないためストレスも神秘性も感じることになる。



 このような「難曲」であるが、何度か歌っていれば成人男性でも歌えるようになる。義務教育の音楽の教科書に必ず載っていた(表2あたり)ので楽譜を見たことがない人はいない筈。曲自体も短いし、NHKの放送終わりで毎日流れている。自民党の議員センセイだって何度か練習すればすぐ歌えるようになる。筈。たぶん。

 ただ、文部科学省の努力も虚しく、学校では入学式と卒業式でしか流れない(歌うことさえないかもしれない)ので、国会議員の多くは歌えないんじゃないかと思う。


 それでも若い人は歌う機会がある。それも心を込めて歌う機会が。


 日本プロサッカーリーグは1993年5月に開始された。カップ戦の決勝や国際試合、代表試合では試合前に国歌が歌われる。初年度、1993年、サッカー日本代表チームはW杯初出場手前まで行きながらロスタイム残り数秒で出場権を逃す。この「ドーハの悲劇」、そして次大会の「ジョホールバルの歓喜」、サッカーファンは国を代表して戦うチームを如何にして応援するかを学んだ。スタジアムで自分たちの歌う歌が、国歌が、ファンを結束させ、代表チームの力になるのだ、と。ナショナルアンセム、国歌「君が代」は、チームのアンセムとなった。

 他の競技でも国際試合では国歌が演奏される。野球のワールドベースボールクラシックは2006年に開始され、第1回大会で日本が優勝するなどして盛り上がった。ラグビーは2019年にワールドカップ日本大会を開催した。チーム戦で勝ち上がる競技ほど、ファンの歌う国家は力にも、枷にもなる。しかしチーム競技のファンは、歌い続けた。



 君が代を歌うためのいちばんのトレーニングは、歌い続けることである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ