使える！びっくり系怖い話

作者：さすらいの旅猫

友達の前で使うと結構イケます。

林間学校最終日、俺の部屋である１号室から出て行く音が聞こえた。

本人は忍び足で音を殺し、静かに行ったつもりらしいが、俺は気づいていた。

昔から寝つきが悪く、イベント事の前日何かは必ずと言って良いほど

眠りにつくことが出来ない。ましてや、林間学校だ。

俺が眠れるはずもなかった。

そして、俺がこれから行うべき行動は１つ。寝れないだけじゃ、

どうせ暇なのだから、今部屋から出てった奴を尾行することにする。

部屋には４人いるのだが、やはり、１つのベッドが空いていて

そこに寝ているべき人間がいなかった。俺は一人呟く。

「こんな時間に、どうしたんだ・・・？」

急いで、しかし、音を立てないように今出ていった奴の追跡を開始する。

幸か不幸か、月の明かりがとても綺麗で深夜の１時過ぎだと言うのに

周りはとても明るかった。林間学校の側には林が生い茂っており、

そこから沢山の虫の鳴き声がしていた。時折、俺の頬を撫でる風は

生暖かく、とても気持ちの良いものではなかった。

奴は真っ直ぐに１人で歩いている。しかし、足取りはハッキリしていて、

その歩調からは確固たる目的地を目指して歩いていることが窺えた。

「あいつ、林間学校から離れて、どこ行く気だ？」

尚も追跡を続行する。そこで俺は、ある１つの事に気がついた。

そう、奴の足は墓場へと向かっていた。

墓地に着くと、奴は辺りを見回す。何か探している様子だった。

そして、ある墓の前でピタリと動きを止めた。

俺は近くのでかい墓石に身を隠しつつ、奴の様子を窺うことにした。

「さて、これから何をするのかな～？」

徐に、奴は、その墓石の地面を掘り返し始めた。素手で、何度も何度も

土を掘り、土をどけ・・・という作業を繰り返している。

奴の手は次第に泥にまみれ、爪の間には土が入り込んでいた。

所々、指を切り、血も出ている様であった。

俺はまずい物を見てしまったと思った。気温はそこまで

高くないのに、額に汗の感覚を覚え始めていた。背中にもじんわりと

汗が出てきているのがわかる。

「何なんだ、あいつ。墓なんか掘り起こして・・・」

直感が、その場を離れろと命令する。が、体は動かない。目はしっかりと

奴に釘付けになっていた。

奴は、地面から壺を掘り出すと、その中から白い物を取り出す。

「まさか、あれって・・・」俺は目を見開き、唾を飲み込んだ。

そう、人骨だった。それを奴は不気味な音を立てながら

食べ始めたのだった。とても、小さな音だったが、五感が

とても敏感になっていて、俺には、その音がハッキリと聞こえていた。

カリカリカリカリカリカリカリカリ・・・・・・・・

がりがりがりがりガリガリガリガリ・・・・・・・・

体の中から何かが押しあがってくるのを感じる。無意識の内に

俺は、一歩、また一歩と後ずさっていた。しかし、尚も視線は

その奇怪な行為へと向けられている。突如、足元から音がした。

「しまった・・・！」

地面に敷かれた砂利を踏んでしまい、もろに音を立ててしまった。

奴の動きが止まる。ゆっくりと、立ち上がり、俺の方へと

歩を進めた。

俺は砂利の音なんか気にせずに走り出した。動悸が、とても

激しく鳴っている。心臓が口から飛び出しそうだった。

奴も俺を追い駆けてくるが、何のことはない巻いてやった。

いち早く自分のベッドに入り、呼吸を整え、奴にばれない様に

狸寝入りすることを決め込んだ。やや、遅れて、奴が部屋へと

入ってきた。

何かやっている。何をやっているのかはわからないが、布団と布団の

擦れる音がする。

（何だ？何やってるんだ？）

部屋の中を歩き回っている様子で、少しずつ俺の方へと

近づいて来ているのがわかる。そして、声が聞こえた。

「お前じゃな～い・・・」

そして、布の布団と布団の擦れる音がした。

（もしや、顔で調べてるのか？だとしたら、まずい！！）

一層動悸が激しくなる。唇はかさかさに乾いていた。

また同じ音が聞こえてくる。布と布の擦れる音だ。

「お前じゃな～い・・・」

そして、奴の足音が俺のベッドの前で止まった。

（頼む、何とかバレずに済んでくれ・・・！！！）

すると、俺の布団の中に何かが入ってきた。

奴の手だ。それが心臓の上で止まっている。

広い間を置いてから奴は言った・・・。

「お前だ！！！！！！！」

END

最後の「お前だ！！」を大きい声で言うことで

聞き手をビビらせる話です。よければ使ってください！