表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

19話 君ならやると思ってた

「すっごぉい♡ エミリア様~♡」


 森の奥に差し込む木漏れ日の下、私は、エミリア様の足元でもふもふ転がる“ミニ竜”を見て思わず声を上げた。

 あの魔龍が――自ら体をちっちゃく縮め、喉をごろごろ鳴らしてエミリア様に甘えているのだ。


「はい。リアナさんが教えてくださった通りに魔力を流したら……できました」


 エミリア様は、まるで母が幼子を撫でるように優しく鱗を撫で、その表情は花のように綻んでいた。

 竜も気持ちよさそうに目を細めて尻尾をぺちぺち振っている。


「エミリアどうやったんだい?」


 アルバート様が問うとエミリア様が笑って


「はい、前一度暴走したことがあったので制御の仕方をリアナさんに教わっていました。と、私にウインクした」


 そう、もともと学園での魔石騒動を皇子が知っている以上、必ずエミリア様の力を利用してくるのは予想できた。そのため私は対策をたてておいたのだ。

 これは小説でできた力でしかもやり方までご丁寧に書いてあったのでできた知識チートである。


「――そろそろ良い頃合いでしょう」


 低く響く声と共に、公爵様がゆっくりと立ち上がった。

 公爵様の視線の先には私たちに公爵様が危ないと知らせてくれた騎士がいる。


「このレベルの魔石を入手できる者は限られています。徹底的に調査すれば――誰が、どこから、どうやって手に入れたかすべて割り出せる。……言っている意味、分かりますよね? 皇子殿下。そして皇妃殿下」


 と、公爵様は冷たく言い放った。

 そう、私たちにピンチを知らせてくれた騎士は間者だ。

 あの状況で一人逃げ延びられたからこそわかったこと。


 騎士に告げる声音は冷たく、逃げ道を塞ぐように静かだった。


「これは、あなた方の罪を裏付ける“動かぬ証拠”だ。もう逃れられませんよ」


 公爵様はその魔石を、私たちを呼びに来た騎士の持つ魔道具へと向ける。

 この騎士を介して、遠隔監視している皇子たちへ突きつけるために。


***


「そ、そんな……どうするのよ!! これは罠じゃない!! “最終的に勝つ”なんて、あの言葉を信じたのに!!」


 皇妃の金切り声が部屋に響いた。

 だが、その瞬間。


 ガシッ。


「――っ!?」


 隣に控えていた騎士が皇妃を後ろから押さえつけたのだ。

 まるで“暴れるのは分かっていた”とでも言いたげに、手際があまりにも鮮やかで。


「少し黙っていていただけますか、母上。状況が悪化するだけですよ」


 皇子は眉ひとつ動かさずそう言った。

 しかしその余裕の裏に、微かな焦りが滲んでいるのを、画面越しの私でも察する。


「流石だね、リアナ。君ならやってくれると思っていたよ」


 次の瞬間――騎士が持つ魔道具がぱあっと光を放つ。

 転写映像が展開され、公爵様やリアナたちの前に皇子と皇妃のいる部屋が鮮明に映し出された。


 椅子に踏ん反り返った皇子。

 騎士に押さえつけられ、目を剥いている皇妃の姿が皆の前に現れるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ