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出来損ない勇者のスキルメーカー ~追放された俺は、地味スキルで世界を裏から支配する~  作者: 悠々


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第91話:始祖の鍵『アンチ・ロンギヌス』

古代兵器アンティークゴーレムの残骸の中から、俺はよろめきながら這い出した。

魔力も体力も、もうほとんど残っていない。だが、俺たちの目的はまだ終わっていなかった。


俺がゴーレムを完全に沈黙させた、その瞬間。

今まで始祖の祭壇を覆っていた、淡い光を放つ半透明の結界が、まるで役目を終えたかのように、すぅっと音もなく消え去った。


「……結界が、消えた……」

リリスが、呆然と呟く。

彼女は、俺が成し遂げた「伝説殺し」という現実を、まだ完全には受け入れられていないようだった。


「ユウキ!」

ルナが、俺の元へ駆け寄り、その小さな体で俺の体を支えてくれる。


「ああ、大丈夫だ。……それより、ルナ」

俺は、彼女の瞳をまっすぐに見つめた。

「行け。お前を呼んでいる」


俺の言葉に、ルナはこくりと頷いた。

彼女の胸元で、父の形見であるペンダント『アストライアー』が、これまで以上に強い蒼い光を放ち、祭壇へと彼女を導いている。


ルナは、まるで何かに引き寄せられるかのように、ゆっくりと祭壇へと歩み寄った。

そして、その黒曜石でできた祭壇の表面に、おそるおそる、そっと手を触れる。


その瞬間だった。

ルナのペンダント『アストライアー』が、閃光と呼ぶべきほどの眩い光を放った。それに呼応するように、祭壇に刻まれた複雑な紋様も、まるで血液が巡るかのように、一斉に光のラインを走らせる。


「おお……!」

リリスが、神聖な儀式を目の当たりにするかのように、息を呑んだ。


ペンダントと祭壇が、完全に共鳴している。

やがて、祭壇の中央部分が、静かに、しかし厳かにせり上がり始めた。そして、その中から、柔らかな光を放つ一つの魔道具が姿を現した。


それは、白銀の金属で作られた、小さな角笛のような形をしていた。表面には、祭壇と同じ、古代の紋様がびっしりと刻まれている。

これが、ゼノンが言っていた「もう一つの鍵」。

そして、アルテミス辺境伯が、そして『月影』の一族が、命を懸けて守ろうとしてきたものの、本当の正体。


俺は、最後の気力を振り絞り、その角笛に意識を集中させた。

そして、【概念の翻訳者】を発動させる。


> **【解析中…】**

> **【古代言語ハイ・エンシェントの解読完了】**

> **【名称:始祖の鍵『アンチ・ロンギヌス』】**

> **【機能:対・禁忌魔道具用カウンターウェポン】**

>  説明:禁忌の魔道具『天を穿つもの(ロンギヌス)』が起動した際、その魔力波に共鳴する特殊な音波を発生させる。

> **【効果:『ロンギヌス』の制御権を強制的に奪取、あるいは暴走させ、自壊に導く】**


―――これだ。


俺は、スキルが弾き出した無慈悲なテキストデータに、思わず笑みを浮かべた。

それは、歓喜の笑みだった。


王子たちが血眼になって探している、禁忌の魔道具『天を穿つもの(ロンギヌス)』。

その絶対的な力を、根底から覆すための、唯一無二の対抗兵器カウンターウェポン

辺境伯が遺した本当の「遺産」とは、不正の証拠などではなかった。

敵の最強の切り札を、こちらの最強の切り札へと変える、この『アンチ・ロンギヌス』こそが、彼の最後の希望だったのだ。


「……ユウキ?」

俺が笑い出したのを見て、ルナが不思議そうに俺の顔を覗き込む。


「は、はは……。ああ、そうか。そういうことだったのか、辺境伯……」


俺は、込み上げてくる高揚感を抑えきれなかった。

これさえあれば、勝てる。

王子派閥の野望を、完全に打ち砕くことができる。


俺は、光り輝く角笛をそっと手に取ったルナに向かって、力強く言った。

「ルナ。俺たちは、ついに手に入れたぞ。この不条理な世界に、反撃するための、最強の武器をな」


始祖の祭壇で、俺たちはついに、反撃の狼煙を上げるための、最後の「鍵」を手に入れた。

物語は、最終局面に向けて、大きく、そして確実な一歩を踏み出した。


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