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出来損ない勇者のスキルメーカー ~追放された俺は、地味スキルで世界を裏から支配する~  作者: 悠々


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第89話:伝説の壊し方

「――黙って見てろ。伝説ってやつを、俺のやり方で終わらせてやる」


俺の不敵な言葉を合図にするかのように、古代兵器アンティークゴーレムが、その巨体をギシリと軋ませて動き出した。

その頭部にある巨大な水晶の瞳が、赤い光を灯し、俺たち三人を「侵入者」として完全にロックオンする。


ゴオォォォッ!


ゴーレムが、その右腕である巨大な鉄球を、凄まじい勢いで振りかぶった。風を切り裂く轟音。狙いは、腰を抜かして動けないでいるリリスだ。


「リリス!」

ルナの悲鳴が響く。

俺は、リリスの腕を掴んで、強引にその場から引き剥がすようにして横へ跳んだ。

直後。

俺たちがさっきまでいた場所を、鉄球が叩きつける。


ドッゴォォォン!!


遺跡の硬い石畳が、まるで粘土のように砕け散り、凄まじい衝撃波と粉塵が広場全体を包み込んだ。

アイカのゴーレムとは比較にならない、純粋な質量とパワー。まともに食らえば、骨の一片も残らないだろう。


「だ、だめだ……。あんなもの、勝てるわけが……」

リリスは、目の前で起きた破壊の光景に、完全に戦意を喪失していた。その瞳は絶望に染まり、ただ震えているだけだ。


だが、俺の心は、不思議なほど冷静だった。

確かに、そのパワーは脅威だ。だが、その動きは、あまりにも単調で、大振りすぎる。


「……なるほどな」


俺は、迫りくる次の攻撃を冷静に見極めながら、ルナとリリスに叫んだ。

「二人とも、俺から離れるな! あいつの攻撃パターンを読む!」


俺は、ルナとリリスを背後にかばいながら、ゴーレムの攻撃を紙一重で避け続ける。

右腕の鉄球による叩きつけ。左腕の鉄球による薙ぎ払い。そして、時折放ってくる、足での踏みつけ。

攻撃は、その三種類だけ。そして、その一つ一つの動作の前には、必ず歯車が軋むような、特徴的な予備動作があった。


(……旧式の、ポンコツか)


こいつは、アイカが作ったような最新鋭の兵器じゃない。何百年、あるいは何千年も前に作られた、ただの自動人形オートマタだ。自己修復機能も、おそらくない。ただ、頑丈な素材と圧倒的なパワーだけで、侵入者を排除し続けてきたに過ぎない。


ならば、攻略法はいくらでもある。

派手に壊す必要はない。じわじわと、確実に、その動きを奪っていけばいい。


「ルナ、リリス。作戦を伝える」

俺は、ゴーレムの攻撃を避けながら、二人に簡潔に指示を出した。


「リリス、お前の幻術で、あいつの注意を逸らせ。奴のセンサーは、あのデカい水晶の目玉だ。そこに、偽のターゲットを見せ続けろ」

「そ、そんなこと、できるわけ……!」


「できる。お前ならな」

俺は、リリスの言葉を遮り、断言した。

「お前の一族の力を、俺は信じている。お前の幻術は、ゼノンのような手練れでさえ、一瞬ではあるが欺くことができた。こいつのような旧式のカラクリ人形に、破れるはずがない」


俺の言葉に、リリスは息を呑んだ。その瞳に、わずかに光が戻る。


「ルナ。お前は、俺に魔力を供給し続けてくれ。長期戦になる。お前の補助がなければ、俺の魔力はすぐに尽きる」

「……うん!」

ルナは、力強く頷いた。彼女の瞳には、もう迷いはない。


「そして、俺は」

俺は、短剣を抜き、巨大なゴーレムを睨みつけた。

「こいつを、『解体』する」


俺は【無名のスキルメーカー】を起動させ、ゴーレムの構造をさらに詳しく分析するためのスキルを生成した。


(「概念:構造」と「概念:解析」を組み合わせる!)


> **【合成中…】**

> **【生成完了:『【無名:構造解析 Lv.1】』】**


スキルを発動させると、ゴーレムの内部構造が、青いラインとなって俺の視界に映し出される。

関節部の接合部分。動力を伝達するパイプライン。そして、胸の奥で鈍い光を放つ、巨大な制御核コア

全ての弱点が、俺には見えていた。


「さあ、始めようか」

俺は、不敵な笑みを浮かべた。

「伝説の壊し方を、教えてやる」


リリスが、覚悟を決めたように、幻術の詠唱を始める。

ルナが、ペンダントを握りしめ、俺に魔力を送り始める。

そして、俺は。

伝説という名の巨大なカラクリ人形を解体すべく、その第一歩を踏み出した。


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