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出来損ない勇者のスキルメーカー ~追放された俺は、地味スキルで世界を裏から支配する~  作者: 悠々


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第18話:暗殺者の戦術

俺が「ゴブリン討伐」の依頼書を剥がすと、ギルド内がにわかにざわついた。

「おい、あの銅ランクの新人、正気か?」

「死にてえらしいな」

嘲笑と憐れみが入り混じった視線が突き刺さるが、俺は意にも介さず受付カウンターへ向かい、淡々と依頼の受注手続きを済ませた。


そのままギルドを出て、俺が向かったのは情報屋グレイの元だった。

金貨五十枚の依頼だ。無策で挑むほど、俺は愚かではない。リスクを金で減らせるなら、安いものだ。


「……ハッ、あんた、本気であの依頼を受けるのかい。自殺志願者かと思ったぜ」

個室で俺の顔を見るなり、グレイは呆れたように笑った。


「死ぬつもりはない。あんたが持っている『嘆きの森』と、そこにいるゴブリンの情報を全て買いたい。いくらだ?」

「へえ……。まあ、どうせ死にに行くんだろうし、餞別代わりに安くしといてやるよ。金貨三枚だ」


俺は無言で金貨三枚をテーブルに置いた。グレイはそれを受け取ると、商売人の顔つきに変わる。

「『嘆きの森』は、古代の魔法のなごりで磁場が狂ってる。方位磁石は役に立たない。目印をつけながら進むのが定石だ。ゴブリンどもは、最近現れた『ホブゴブリン』に率いられてるらしい。普通のゴブリンより一回りデカくて、知能が高い。弓や罠を巧みに使う厄介な奴だ」


ホブゴブリン。リーダー個体とはそいつのことか。

俺はグレイから得た情報を頭に叩き込み、酒場を後にした。


宿に戻ると、ルナが部屋の隅で静かに座っていた。俺がいつもと違う緊張感をまとっているのを察したのか、彼女の虚ろな瞳が、わずかに俺に向けられている気がした。

俺は何も言わず、買ってきた装備の点検と、新たなスキルの考案を始めた。


正面からの戦闘は、俺のステータスでは自殺行為だ。必要なのは、奇襲と暗殺。そのための、地味で効果的なスキル。


まず、光源の確保。洞窟や夜間の活動で松明を使えば、煙と光でこちらの位置を知らせるようなものだ。


(「概念:光」と「概念:持続」を組み合わせる)


> **【合成中…】**

> **【生成完了:『【無名:微光 Lv.1】』】**

> 説明:掌に、蝋燭程度の弱い光を灯す。煙も熱も発しない。


次に、陽動。敵の注意を逸らすための手段は、いくつあってもいい。


(「概念:投擲」と「概念:正確性」を組み合わせる)


> **【合成中…】**

> **【生成完了:『【無名:投擲補助 Lv.1】』】**

> 説明:石などの小物を、狙った場所へ正確に投擲できるよう補助する。


そして最後に、万が一見つかった場合の、最低限の戦闘能力。


(「概念:短剣術」と「概念:速度」を組み合わせる)


> **【合成中…】**

> **【生成完了:『【無名:短剣術強化(初級)】』】**

> 説明:短剣を扱う際の速度と精度を、一時的にわずかに上昇させる。


俺は、新しく購入した短剣を手に取り、素振りをする。スキルを発動させると、確かに剣の振りが少しだけ速くなるのを感じた。気休め程度かもしれないが、無いよりは遥かにましだ。


俺は頭の中で、何度も戦術をシミュレーションする。

『【無名:足音消失】』で敵の背後に忍び寄り、『【無名:投擲補助】』で注意を逸らす。敵が物音のした方へ気を取られた一瞬の隙に、首筋を掻き切る。洞窟内では『【無名:微光】』で視界を確保し、一体ずつ、確実に数を減らしていく。


それは、勇者が取るべき戦い方では決してなかった。

正々堂々とした決闘でも、派手な魔法の応酬でもない。

ただひたすらに、効率と生存を最優先する、冷徹な暗殺者の戦術。


だが、それでいい。

俺は英雄になるために戦うのではない。

ただ、あの少女の首から、呪いの鎖を外すために。

その目的のためなら、俺はどんな汚い手でも使うつもりだった。


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