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第7話 外(デバフ環境)で遊びましょう①

槙島『今日も配信お疲れ様~! 凄く面白かったよ!』

呱々原『ありがとう。凄く嬉しいです』

槙島『山岳竜をソロで倒すまで毎日配信は凄い企画だね笑』

呱々原『うん。ちょっと強くて時間が掛かるかも』

槙島『良かったら練習付き合おうか?』

呱々原『ご迷惑をお掛けするのではないかと。。。』

槙島『全然迷惑じゃないよ笑 呱々原さんとゲームするの楽しいし! 呱々原さん既に上手過ぎるから俺も凄く勉強になるし』

呱々原『(*´ω`*) お言葉に甘えさせていただきます。ありがとうございますm(__)m』


 こんな感じで呱々原さんと夜寝る前に〇INEをしたり、配信の終了後やお休みの日に二人でゲームをして遊ぶ時間が増えた。


 日々親睦が深まるのを実感する中、俺の小説の進捗も少しずつ進んでいく。


 と言っても、ラブコメと決めてからヒロインの設定を軽く考えた程度なんだけど。


■■■


 ライトノベル新人賞.doc



 『登場人物』


メインヒロイン

 こころ 夜空よぞら


 小柄体系、黒髪おさげ、丸メガネが特徴の女の子。

 一見地味だけど眼鏡を外すと美人。


 引っ込み思案な性格で周囲から勘違いされがちだけど、本当は皆と仲良くしたいと思ってる。


 実は大人気Vチューバーとしてネットで活動している。


■■■


 なんだろう。どっかで会ったことある。

 まんまじゃね? 誰とは言わないが。


 もしこの先本人が小説見せてって言ってきたらどうしよう。

 

 そんな感じでキャラ設定を吟味しつつ、ついでに自分に発破をかけるために締め切り日を設けてみた。


 具体的には、大手出版社の新人賞の締め切り日である、七月十五日。


 今が五月十三日だから、残り二ヵ月で完成させる計算だ。


 ネットで調べたら長編小説一冊分の文字数がおよそ十万文字程度らしいから、一日およそ一六六〇文字は書く必要がある。ちなみに一日限定でもそんなに書いたことはない。


 更に中間テストが六月上旬にあるんだけど。


 まあ、勢いでやれば大丈夫でしょ!

 だって俺今呱々原さんって存在に励まされて凄くやる気があるし!


 よし、一通りの方針が決まった。

 とりあえずアレだ。執筆は明日からスタートしよう! 体を休めることも大事!


 ということで、一仕事やり終えた俺はベッドにダイブして体を休めることに。


 今日は金曜日の夜なので、時間を気にせずゆっくり出来る。


 目を瞑って思い出すのは、先日呱々原さんからゲームに誘われた時の光景。


『も、もしよかったら、い、……一緒に、……や、やりま、せんか?』


 あの時の呱々原さんの様子は、まるで緊張しているようで。

 あたかも意を決して言っているように俺には見えて。


 あの時の事を思い返す度に、胸が高鳴る。


 最近の図書室では気にしないように振舞ってたんだけどさ。


 呱々原さんは俺のことをどう思ってるのだろう。

 ただの友達なのか、それとも__。


 しばらくそんな事を考えて、


槙島『呱々原さんこんばんわ』


 気づけば俺は配信が終わったであろう呱々原さんに〇INEを送っていた。

 月曜日(呱々原さんに会える)までの時間が凄く待ち遠しいと思った。


 ちょっと時間が遅めで迷惑じゃなかったかと咄嗟に心配したけど、


呱々原『槙島君こんばんわ』


 数秒後に呱々原さんは即返事を返してくれた。


槙島『ごめんね時間大丈夫?』

呱々原『全然大丈夫だよ』

槙島『ありがとう』

呱々原『ううん』


 どうしよう。

 咄嗟に送っちゃったけど、何を言えばいいのか。


 必死に頭をめぐらせた結果、俺は先日鳳凰院はかせが『ジミカノ』最新刊の発売日が近い事について嬉々として語っていた事を思い出した。


槙島『配信観たけどさ。『ジミカノ』最新刊、明日出るんだね! 俺知らなかったよ』

呱々原『うん。出るよ。楽しみ』

槙島『呱々原さんはネットで注文するの?』

呱々原『私はお店で買うよ』


 聞くと、地方都市にある全国チェーンのアニメショップでいつも買ってるらしい。

 購入特典で限定グッズが貰えるからだとか。


槙島『そうなんだ』

呱々原『うん』

槙島『あのさ』

呱々原『?』

槙島『もしよかったら一緒に買いに行かない?』


 そこまでメッセージを送って、俺はスマホをベッドにぶん投げた。

 そのまま手ぶらで家の外に出る。


 やっちまった。返信がクソ怖え。断られたらどうしよう。


 いや駄目だって。即返してくれてるかも知れないし戻らないと。

 息が出来なくて死にそうなんだけど。


 お茶とトイレと深呼吸とストレッチと瞑想で時間を稼ぎつつ、恐る恐る自室に戻ってスマホを手に取った。


 呱々原さんからの返信が来ていた。

 今までは即レスだったけど、このメッセージだけは数分掛かっていた。


呱々原『お誘いありがとうございます。いつ行きますか?』


 嬉しくてもう死んでも良いと思った。ごめん行けないかも。


槙島『明日とかどうかな?』


 あ、やばい。

 会いたい気持ちが強くなって咄嗟に無理を言った事に気づいた俺は、慌てて撤回する。


槙島『ごめんね! Vチューバーの仕事とかで忙しいよね?』

呱々原『大丈夫です! 空いてるよ!』


 聞くと、最近大型のイベントを終えた直後なので、土日のどちらかは丸一日お休みにするとマネージャーと決めたらしい。


 そんな貴重な時間、今更だけど貰って大丈夫なの?


 そう思いつつ、今更ブレーキを踏む選択肢は俺にはない。


槙島『じゃあ、明日はよろしくお願いします』

呱々原『こちらこそ、よろしくお願い致します』


 そうして急遽、明日の土曜日に俺達は外で遊ぶことになった。

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