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第16話 呱々原さんとデート①

◇20:00~ 鳳凰院はかせの配信◇



「うーん。……これ皆に聞いて大丈夫かな。流石にこのメン限配信まではみ、観てない気がするけど」



【コメント欄】

 どうしたの? はかせ

 ブツブツ独り言ってる

 悩み事?



「その、こ、これはあくまで友達の、友達の友達の友達の友達の話なんだけどね?」



【コメント欄】

 最早誰だよ

 赤の他人過ぎる

 そもそも友達いないだろ



「友達はいるから!! そ、相談受けたの!!」



【コメント欄】

 嘘松

 まあ、最後まで聞いてからにしようず



「そ、その子が普段仲良くしてる異性のお友達がいて、でもその人にはお、幼馴染の異性がいて。その二人の仲が良い所を見て、胸が苦しくなった、……らしいんだよ」



【コメント欄】

 好きって事?



「い、いや!!!?? た、多分す、好きかどうかは、まだそういうのなった事ないから分からないらしいよ? ただね、……今週の土曜日に慌ててデートに誘っちゃったんだって。相手がぽかんとしてて。どうしたらいいんだろうって。関係拗れないかが心配、らしい」



【コメント欄】

 手に余るからごめん相談乗れないって謝りな



「いやいやいやいや!! 絶対相談乗るからアドバイス下さい」



【コメント欄】

 相手もOK下ってことは脈ありでは? 押したら行けそう

 面白そうだから皆で意見してみようず


 友達は恋愛感情知らないんでしょ? 幼馴染に取られたらどんな気持ちになるんだろうね



「……さ、さあ」



■■■



 テスト明けの土曜日。

 つまり呱々原さんとデートをする日である。


 誘われた時に咄嗟に脳死で頷いちゃったけど、実際呱々原さんは俺の事をどう思っているのだろう。


 約束をしてから今日まで、呱々原さんが俺を見る度にキョどり過ぎて何言ってるか分からなかったし。


 万が一マジでデートだった場合に備えて、ネットで対策を調べて、服屋のマネキンを真似たコーデ一式と、ハンカチ、ポケットティッシュ、絆創膏などを常備した。


 ちなみに今日は映画を予約していて、二人でテレビアニメ『鹿娘』の劇場版を観に行く予定である。


 何処まで行ってもオタクな俺達だが、今日は会う名目が違う。


 これはデート。

 俺達はこれから、恋愛的な関係を期待して会いに行くのだ。


 彼女との今朝のLINEを改めて確認する。


呱々原『槙島君、おはよう』

槙島『おはよう呱々原さん! 調子はどう?』

呱々原『大丈夫だよ。優しい』

槙島『そんな事ないよ! 呱々原さんの方が優しいよ!』

呱々原『ありがとう。今日、凄く楽しみにしてます(*´ω`*)』


 心に満たされたモノを感じながら、俺は身支度を済ませて家を飛び出した。



■■■



 いざ決戦の地、待ち合わせ場所の駅郊外へ到着。


 呱々原さんを待つ。


 ちなみに今の俺の服装は、オーバーサイズの灰色のカーディガン、白のロングTシャツ、青のデニムなどによって強化されている。


 これで呱々原さんが前回みたいな不審者スタイルで来たら、俺一人だけ空回ってるみたいでクソ恥ずかしいんだけど。


 何て思ってたら、呱々原さんから〇INEが届いた。


呱々原『着きました』


 辺りを見回して呱々原さんを探す俺。


 すると、周囲の注目を浴びながら一人の女性が現れた。


 黒のロングスカートに白のスッキリしたフォントのロゴスウェット。黒のバケットバッグに白のスニーカーと、かなりお洒落で大人びた服装をしている。


 不審者スタイルじゃない呱々原さんだ。一目で分かった。


 おさげもやめて、眼鏡も外して、恐ろしく整った容姿があらわになっている。


 呱々原さんの戦闘力が高すぎて俺が恐れおののいていると、


「……お、おはよ、御座います」


 しどろもどろに呱々原さんが挨拶してきた。


「……ど、どうも」


 ギクシャクしながら会釈する俺。


 目が合った瞬間、呱々原さんは顔を真っ赤にしてパケットバックで顔を隠してしまった。


 可愛すぎへんか。


「こ呱々原さん、に、似合ってるね」

「!!!!???? ありが……ます。ま、槙島、君も。か、……格好良すぎ、です」

「あ、ありがとう」


 なんだこの感じ。


 やべえ死ぬ。


「じ、じゃあ、いこっか」


 こうして周囲からの羨望を浴びながら、俺達のデートは静かにスタートしたのだった。


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