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ファン

これは少し遡る。


「はあ!? 白銀様がゲーム!? しかも〈剣戦の序曲〉って私もやってるやつじゃない!」


 綺瑠奈は腕を組み音を立ててソファに座る。

 母兼動画編集者の母が疑問を口にする。


「というかそもそも何で銀髪じゃないの?」

 それは憧れの白銀様と何故お揃いの髪色にキャラメイクをしなかったのかという事だ。


「地毛の色を変えるのは勿体ないでしょ?」

 

 もっともらしい事を言うが実は私は銀髪は自分には似合わないと知っているからだ。

 対する母は同じ遺伝子を持ち母一人で私の事を産んで育ててくれた恩義がある。


「アンタねぇ……お母さん心配だわ。その美形のせいで変な男にストーキングされたんでしょう? あ、ストーキングされたって知ってる? ストーカーっていう犯罪行為で」


 私を褒める事は母を褒めているのと同じに近い。

 だからモデルから始め動画サイトやブログなど幅広い活動でお金を儲け家計を助けている。


「分かったから静かにして! あとその知識はもう五万回聞いた!」

 全くこの母親は。心配症過ぎて病院送りにされた事もあるというのに。


「それでゲームで出会った人は大丈夫なの?」

 

 それはアルビノの少年。銀髪に紅い瞳をした白銀様とは少し違うが私の好みのタイプの少年だった。


 彼は有名インフルエンサーですぐに誰か分かった。


 いやでも今まで一目惚れなんてした事ないしなぁ。うんやっぱりこれは恋じゃないね!


「何度も言ったでしょう、身元は有名人だから保証されてるって」


「母さんは心配だなあ」


「よく言うわよ、十八で起業して二十で私を父親無しで産んでしかもクローンだし」


 母は悲しそうな顔をし慌てて謝ろうとする。

「ごめんなさい母さん! 別にクローンが嫌なわけじゃないの! ただ父親がいたらどうなってたのかな? って思っただけで!」


「分かってるわよ、大丈夫だから綺瑠奈」


「ごめんなさい」

「良いのよ。それよりその男の子と仲良くね!」

「う、うん分かった」

 

 というかそもそも私は白銀様のファンであって別に銀髪好きという訳では無い。たまたま好きな色なだけだ。

 しかし、まぁ。


「あのアルビノの子が私の知ってる人で良かったなぁ」

「アンタが男に興味持つなんて珍しいわね」

 

 いやだからこれは恋じゃない!


「何にせよ今度会わせてね! 名前は何ていうの?」

「ゲームで知り合っただけだからリアルで会うって保証はないよ」


 というか私はあの白銀様に恋してはいないのだ。別にこの気持ちに嘘は無い。だが。


「白銀様が私の事ファンだったらどうしよう」

「それは無いと思うわ」

 即答された。

「なら良いけど……」


 でも私は白銀様に憧れている。彼女のような銀髪の天使のような美人になりたいと夢見ている。


「決めた!」


 私は白銀様のファンクラブを作る! そして私のファンクラブで布教するのだ! これは恋じゃない。これは憧れだ。そう言い聞かせた。


 私はこのゲームで白銀様のファンを探す。そう誓った。


 そして、あのアルビノの少年にも会えるのだろうか?


 不安と期待でVR機を動かした。

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