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「はいこれ台本ね」


「おお、出来たのか。どこに頼んだんだ?」


 三冊受け取ってそれぞれ見てみると、「休み時間に友達と」「友達と昼食」「放課後に友達とコンビニへ」という題名。なんというか普通だ。


「礼賛会」


「……あいつらか……よくこんな普通な題名をだせたな。中身が心配なんだが」


「大丈夫中身も普通だよ。兄さんの信者で一番まともなだけある」


「あいつらがまとも? それはともかく中身も普通なのか」


「あいつらが言うには兄さんと普通の日常を送れるのがもっとも尊いらしいよ」


「だったら礼賛会なんて作るんじゃないよ。普通に接してくれたら良かったのに」


「無理だから尊いとか言ってるんでしょ」


 それもそうか。台本をめくる。なるほど普通だ。というかこれ南と近本との日常じゃねーか。礼賛会め。 


「羨ましかったのかね?」


「そりゃそうでしょ。誰もが南先輩と近本先輩になりたかったんだよ」


「ふん。んなこと言ってるから無理なんだ」


「まあまあ、一応礼賛会にはお礼を言ってあげてね」


「……んん、まあ、そうだな。まともな台本書いてくれたんだ。礼ぐらい言うべきだな。でもどうやって言おう。直接出向くわけにもいかんし」


「僕のアカウントで通話しよう」


「それで頼む」


 はあ、気が重いぜ。




「よし、つながったよ」


「うん。えーと、君は礼賛会の……」


「はい! 羽田です!!」


 うるさっ。というかガチガチだな。だから面倒くさいんだ。まともな会話にならん。


「あー、今回の台本、まあ、ありがとね。助かった」


「うっ、ぐっ、こっこっ光栄の極みであります!!」


 泣き出した。泣くなよ。


「君一人で書いたの?」


「ううっ。いえ、早い方が良いだろうと思い三人で手分けして書きました!」


「そっか。あとの二人にも感謝してるって言っといて」


「はい!!」


「はいはい、んじゃ、ありがとうね羽田さん。もしかしたらまた頼むかも」


 弟が切り上げてくれた。


「いつでもお待ちしております!!」


「うん、それじゃあねー」


 ふー。なんかどっと疲れた。


「お疲れ兄さん」


「あいつら軍人じゃないんだからさあ」


「しょうがないよ。あいつらにとって兄さんは崇める対象なんだから」


「だから礼賛会、ね」


「そういうこと。さて。撮る?」


「もうちょっと後にしてくれ」


「だよね」







 …………はっ! ……嘘。嘘だ。私、銀一君の友達じゃないの? そんな! 嫌だ!! 嫌だ嫌だ嫌だ!!! 嗚呼、嗚呼!! 現実とのギャップでおかしくなる!! き、聴かなきゃ。もう一回。いや、もうずっと聴いていたい。こんな現実なんてくそだ! 私は! 銀一君の友達なんだ!!!







「コメント欄に知らない友達が沢山……」


「うわあ」

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