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「で、まあゲーム配信をやるわけだが」
「うん」
「近本に心配された通り対戦要素のあるゲームは駄目だ」
「そうだね」
「だからまあ、こう、ほのぼのとしたゲームをやろうと思うんだが」
「それがいいね」
「俺の事嫌いか?」
「んなわけないじゃない。ただ単に未だに決まってなかったんだって呆れてるだけだよ」
「すんません」
そう。何のゲームやるかまだ決まっていないのだ。明日が予定日だってのに。
「でもなあ、もしゲーム作ったところに悪影響あったらと思うとなあ」
「確かにその懸念はあるけどさ。そんなこと言ってたら何も出来ないよ」
でもさあ、一介のゲーム好きとしてはゲーム会社に迷惑かけたくないんだよ。ん?
「南からメッセージだ」
「なんて?」
「これとかどう? だって……なんだこのゲーム」
「どれどれ……うわ、理不尽難易度で有名なゲームじゃん」
「理不尽?」
「そう。例えばジャンプして飛び越えなきゃいけない落とし穴をジャンプすると落とし穴の上に見えない壁があってそれにぶつかって落とし穴に落ちてゲームオーバーとか」
「理不尽にも程があるぞ」
「……あー、どんなゲームやっても角が立つからいっそのこと極端に振り切ってしまったらいいってことか」
「クリア出来る気がしないんだが?」
下手くそを無礼るなよ。
「生放送は一時間だけだからクリアチャレンジって事にすればいいよ」
なるほど。俺の精神的苦痛を考慮しなければ完璧だな。
「他にいい案も無いからこれにするか……」
「じゃ、140に投稿よろしく」
一時間の苦行が確定か……。
☆
あいつは完璧じゃない。ただ顔と声が良いだけの普通の奴だ。本当なら今頃普通に高校生活を送ってたはずの気のいい友達だ。それを周りの奴等皆が奪った。それが悲しい。それが悔しい。それが憎い。
俺の友をよくも。
……まあ、それはそれとしてあいつのゲームの下手くそさにみんな驚くといいよ。まじで下手くそだから。
☆
「持つべきものは友達、だな」
「数少ない友達なんだから大切にしなよ」




