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「ところで兄さん、ゲーム配信についてなんだけど」
「……前も言ったけど、俺ってほら、どんくさいじゃん?」
「それに関しては諸説あるよね」
「……だからまあ下手くそなゲームプレイを見せられる視聴者がかわいそうかなって」
「見た目と声が完璧な兄さんが難しいゲームで七転八倒する姿は需要あると思うけど」
「……恥ずかしいんだよ……」
言わせんなよ恥ずかしい。
「これに関してはしょうがないって言わないよ。全世界の視聴者に兄さんの下手くそプレイを観てもらおう」
弟がひどい。くそう。やるしかねえのか。
「うう……、やるにしても何をやればいいんだ」
「そうだなあ。定番のサンドボクサーとか」
「あ、それならなんとか……なるか?」
「もちろんハードコアで」
げ、外道~!
「無茶な」
「だから面白いんでしょ」
「」
言葉を失うとはこのことか。いやまあ俺でも分かるよ。撮れ高ってやつ。うまいこといってるときにマグマに落ちて全ロスとかね。でもなあ。
「上手くリアクションとれるかなあ」
「それは頑張って、としか言えないね」
俺が参考にしたYtuberさん達はみんなリアクション上手かったんだよなあ。そこらへん教えてほしいぜ。無理だが。
「まあ兄さんの場合美しくなるだけだろうけどね」
「ええ……」
この時間はなんだったんだよ。
「まあ、とりあえず何かのゲームを一回配信してみようよ」
「……気は進まないが、まあ、一回だけなら……」
「上手いこといったら擦ろう」
一回だけって言ってるだろ。
「じゃ、今度ゲーム配信しますって140に投稿しといてね」
「…わかった」
しゃあない。やるか。何のゲームしようかな……。
☆
ゲーム配信んんん? あいつゲーム下手くそだけど大丈夫なのかね?
大体、どんなゲームをやるかによってはえらいことになるぞ。例えばもしチーム対戦ゲームをやろうもんなら敵も味方も皆不幸になっちまうぞ。
ま、流石にそこら辺は分かってるだろうから、一人でやるゲームを選ぶと思うが。……選ぶよな?
一応確認しとくか。
☆
「……お節介め」
「嬉しそうだね」
近本君は心配性




