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妻が嫉妬をするところ


「ニコラ数日見ない内に大きくなったのではないか? おぉ、よしよし。元気だな」


 息子が可愛い! リュシエンヌに似ているから余計に可愛い! 将来は伯爵やハリスに似てイケメンになれよ! モルヴァン家の血に感謝だな。



「ニコラばかりずるいですわ! わたくしも久しぶりにレイ様にお会いしたのに!」


 むくれるリュシエンヌ。


「そんな顔をしないでくれ。可愛いだけだ」


 リュシエンヌの頬にキスをした。


「だって、」

「私も嬉しいよ。あと一週間は家に帰れないと思っていたしこうやって家族で過ごすことになるなんて思わなかった。女王に感謝だな」


「レイ様。わたくし妬けてしまいます。レイ様は女王陛下ととても親しそうで、お二人とも大人の雰囲気で、わたくしなんかより、」

「ちょっと待った! 変なことは言わないでくれ。私はリュシエンヌを愛している。それは知っているよな?」


 うん。と頷くリュシエンヌ。子供を産んだばかり? で気持ちに浮き沈みがあるのかもしれない。上司が言うには安心してもらうことが一番だと聞いた。


「仕事で護衛をしているだけで女王の話相手も仕事の一環だ。ダンスを踊ったのは女王に誘われ断れなかったからだ。嫌な思いをしたか?」


 ううん。と首を横に振るリュシエンヌ。そうなのか? 私はエリック殿下と踊るリュシエンヌを見るのが辛かった。


「いいえ。ダンスはとても素敵でした」


 ポスっと私の胸元に入ってきてリュシエンヌの背中に両手を添える。


「ただ不安になっただけですわ。仕事だと分かっていますのに、レイ様の気持ちを疑うようで、恥ずかしいです」


 ……今日も妻が可愛い!


「それを言うなら私もだ。エリック殿下といるリュシエンヌは、」

「レイ様に言ってなかったですわね。わたくし以前エリック殿下に、」


 首を振った。婚約話があった事だろうな。


「言わなくて良いよ。もう過去のことだろう? でもひとつだけ。エリック殿下と再会してどんな気持ちだった?」

「お元気そうで良かったです。わたくしのせいで、」

「リュシエンヌは関係ない。エリック殿下が未熟だっただけだよ」


「エリック殿下にも言われました。今はリル王国で居場所を探しているって。素直に応援しています。と答えました」

「女王とのことなら時間が解決するよ。女王はエリック殿下と結婚できて良かったと言っていたから」

「はい。国を出てお顔がすっきりとしていたように思えます。きっと充実しているのでしょうね。レイ様と結婚したのは驚いたけれど幸せそうだ。と言われたので、レイ様の素敵なところを伝えたら笑われてしまいましたわ」



 リュシエンヌはいつでも私のことを褒めてくれる。本当に良い妻だ。おかげで最近はすっかり顔が優しくなった。と言われるようになった。 


「私はリュシエンヌの可愛いところを人に伝えたくないな……私だけが知っていたい」


 リュシエンヌにキスをする。何度もキスをするとその気になってきた。


「んっ、レイ様ダメです」

「なんで?」


「ダメです!」


 ……初めてここまで拒否された。私が何も言わないでいると……



「レイ様、睡眠時間を取れていないのでしょう? 上司の方にくれぐれも体を休めるようにと念押しされていましたわ」


 それとこれとは話が別で、リュシエンヌを抱くとさらに活力が増すのだが……


「湯浴みをして寝ましょうね。お酒もダメですよ。明日は早いのでしょう?」


 せっかく久しぶりに二人きりになれたのに……


「分かったよ。リュシエンヌはニコラと寝るのか?」


 ニコラは環境が変わったから一人にしたくない。と言いそうだな。それなら仕方がないのかもしれない……


「レイ様と一緒に……同じ部屋を用意してくださいましたもの。ニコラには乳母がいますから今日は久しぶりにレイ様と一緒に眠りたいです」


 恥ずかしそうに顔を胸に埋めてくるリュシエンヌ。今日は湯浴みをしてリュシエンヌと話をしてそのまま寝よう。



 湯浴みをしてリュシエンヌを待つ間、ベッドに入った瞬間うとうととしてしまい、気がついたらハンナに起こされた。


「いつまで寝ているおつもりですか! ほら、奥様が目覚める前に着替えて仕事に行ってください」



 昔は数日寝なくても問題なかったし、少し目を瞑れば大丈夫だったはずだ。私も歳をとったもんだ……と思いリュシエンヌの寝顔を見る。


 いや、違うな。



「リュシエンヌといるとよく眠れるのか……」



 最近は子供の世話や家の事をリュシエンヌに任せてばかりだ。女王とエリック殿下が帰国したら休暇を取ろう。



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