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間話〜セシリー〜

 ~リュシエンヌの親友セシリー~


「リュシエンヌ、なんか可愛くなってない?」


 元々キレイな令嬢なんだけど最近は特に……


 今日はリュシエンヌを招いて我が家でお茶会をしていた。婚約者の話を聞きたいもの!




「え? そう? 気のせいじゃない?」


 リュシエンヌはそう言って幸せそうに笑っていた。


「あれだわ! 閣下と婚約してからリュシエンヌが可愛くなったのよ」


 見た目がとっても恐ろしい閣下なのに、リュシエンヌといると凄い優しい瞳でリュシエンヌを見るの! 二人の空気が急にホワッってなってビックリ!



「ふふっ、そうかも」



 リュシエンヌが週末に図書館に通ってきたのは知っていたけれど、まさか騎士団の練習を見に行っていただなんて! 問い詰めてやったらリュシエンヌったら。



“だって……よく分からなかったの。この気持ちが”


 照れながら話すリュシエンヌの可愛い事可愛い事……これは閣下メロメロになるわ。


 しかも両思いだったなんて! 親友の幸せそうな顔を見てるとそれだけで嬉しくなるわ。


「良かったね、好きな人と婚約が出来て」


 騎士団本部(将来)の団長候補で公爵家次男って! “超玉の輿”なのに、当の本人は……優しいところが好きだとか、逞しい体が素敵だとか、瞳がキレイだとか、博識なの。と惚気出す。肩書は関係ないみたい。



「まさか寝不足の原因が閣下だとはねぇ」


「お話をすればするほど素敵で、でもレイ様は私なんかに興味がないと思っていたから」


 送って貰った次の日に恋人になったのによく言うわ……(今は婚約者)



「その指輪……凄いね」


「レイ様がプレゼントしてくださったの」


 絶対に高いやつ! 


「珍しい色じゃない?」


「レイ様の瞳の色に似ているでしょう? 透き通っていてでも艶があって」


「あれ? ネックレスやイヤリングもお揃いなんだね」


 どれだけ愛されてるのっ!! グレーダイヤなんて貴重な物なのに。



「レイ様が私に内緒で注文してたの。指輪だけでも勿体ないのに、公爵家のデザイナーさんもドレスを作ってくるし、お義母様がプレゼントしてくださって断れなくて」


 だから最近ドレスのセンスが変わったのね。可愛らしいけれど清楚な感じがとてもよく似合う。


「ねぇ、それって悩みなの?」


「うーん、悩みといえばそうかもしれないけれど……」


「持たないものからしたら、嫌味に取られるかも知れないから気をつけてね……でも悩みなら相談に乗るわ、一人で悩むとまた倒れるよ。リュシエンヌは真面目だから……」






「……レイ様が紳士すぎて」


 ぼそっと呟くようにリュシエンヌが言った。紳士? 良いんじゃないの? なんの悩みよ。


「ダメなの?」


 チャラチャラしているよりいいわよね?


「もっと、レイ様に触れて欲しいの」


 顔を真っ赤にしてリュシエンヌが可愛くて鼻血が出そうになったわ……


「はしたないって思われちゃうから、こんなこと誰にもいえないから内緒にして」


 私が手を出しそうになったわ! きっと閣下は自分と戦っているに違いないわ! 



「あ、えっと、閣下とは、その、どこまで……」


 キスくらいはしているわよね? お互い好き合っているんだもの。


「手を繋いだり腕を組んだり」


 え? 本気? 



「ハリスとかお父様にはキスできるけど、私から触れたらはしたないって思われそうで……」


「思わないよ。寧ろ喜ぶと思うけれど……」


 紳士すぎるって事? 大事にされているんだと思うけど、大事にしすぎじゃないかしら。リュシエンヌが不安になってるじゃないの。


「そうかな……引かれないかな」


 かっわいい! 恋する乙女ってこんなに可愛いの?! 私も恋がしたい……お父様に勧められている人とお見合いしてみよ。


「まさかリュシエンヌから手を出されたいだなんてことを聞くとは思わなかったわ」


 真面目な子だから、結婚するまでは。って思っているのかと思った。



「え? やだ、そうじゃなくて、もっと触れ合いたいって思ったの。レイ様からしたら私は子供だし、そう言う目で見られてないのかって不安に、」

「我慢しているんだと思うよ? 大切にされているんだよ」


「そう、かな」



 そりゃそうでしょ。婚約パーティーの時、リュシエンヌを壊れもののように大事に大事にしていたのよ。

 美少女と野獣なんて揶揄われていたけれど、二人並ぶとお似合いだったもの!



 閣下はリュシエンヌといると柔らかい雰囲気になるから、将来有望な閣下に自分の娘を売り込もうとしている貴族達がいるのよね。


 リュシエンヌは知らないけれど、辺境の伯爵令嬢が閣下に声をかけていたのを見たの。



『閣下、お久しぶりでございます。まさか婚約されるとは……父からは私と婚約の話が出ていたと、』


『あぁ、伯爵からそんな話があったようだが、君は泣いて嫌だと言ったんじゃなかったか? 話に上がっただけの話だ、失礼する』


『え、あれは、忘れてください。今の閣下ならわたくしは、愛妾でも、』


『そんなものはいらん、二度と声をかけてくるな。次があれば伯爵家に抗議をする』



 ズバッと一刀両断していたもの。それから令嬢はふん。と言って退散して私が見ていたのがバレたのよね。


『……君はリュシエンヌの友人のセシリー嬢か。変な場面を見られてしまった。リュシエンヌに余計な心配をかけたくないから、見なかった事にしてほしい』


『申し訳ございません。盗み見をするつもりはなくて』

 

 その先にお手洗いがあるのです。とは流石にいえなかったけれど、視線の先を見て理解されたようだった。


『これは場所が悪かったようだ』


『先ほどの件はもう忘れましたわ。ご安心ください』



 それだけの会話だったけれど、閣下はリュシエンヌを大切にしているって分かった。リュシエンヌのおかげで雰囲気が和らいだから、勘違いする人がいるんだわ。


 急にモテだしても閣下は見向きもせずにリュシエンヌの元へ戻るのよね。






「何かの際に気持ちを伝えてみたら? きっとその時は大変な事になると思うけど?」


 

「大変な事?」



 閣下体力ありそうだもの。言わないけどね。






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