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良いのだろうか?


 ~グレイソン視点~


 部屋の前まで送り届けた。流石に令嬢の部屋に入るわけにはいけない。



「閣下、どうぞこちらへ。主人がお礼を言いたいと申しております」


 執事が案内してくれた先は応接室で中には伯爵が待っていた。もちろん顔を見たことはあるが対面して話をするのは初めての事だった。


「この度は娘を送ってくださりありがとうございました。ご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」


 迷惑などかかってはいないので訂正する。



「迷惑など掛かっておりませんし、たまたま通りかかったので送らせて貰いました。令嬢は睡眠不足で人混みに酔ったと言っていました」


 最終試験があり勉強が忙しかったとも言っていた。真面目に試験に取り組んでいたのだろう。



「珍しい事もあるものです。娘はこう言っちゃなんですが、よく寝て良く食べ健康そのものでしたので……閣下が偶然通りかかってくださったので助かりました。ありがとうございます」


「礼には及びませんよ」


「ところで閣下はうちの娘とどういった関係でしょうか? 図書館へ行っていた事は知っていますが、騎士団に見学へ行ったりと、今までの娘の生活とは違う事が多々ありまして……」


 娘を心配する親の顔をしている。やましい事は一切ない。


「以前令嬢に傘を貸したのが縁で知り合いました」


 それは知っているはずだ。


「そうですが……それだけでわざわざ騎士団へ行くとは思えません……婚姻前の娘が、その、貴方様のような方と噂になりますと娘の今後に関わります。閣下が娘をどう思っているのかは分かりませんが、娘のことを思うのなら、これ以上関わらないで欲しいのです」


 ……私のようなものと噂になると今後の結婚に左右すると言いたいんだよな。



「確かに私のようなものと令嬢が噂になると困りますね。令嬢の将来を考えると関わらないのが一番だと……思います。私が令嬢をどう思っているかという質問ですが……まだよく分からないのです。可愛らしい令嬢で勤勉でよく気がついて……私の風貌を見ても臆する事なく接してくれる稀有な存在です。話をしていて年甲斐もなく楽しかったり……分からないのです」



「……………………」





「伯爵、どうかされましたか?」


 急に無言になったので非常に気まずい。



「……閣下は、その、失礼ながら、恐らく、ですが……娘のことを好いていると思うのですが、違いますか?」


 ……なっ! 急に何を!


「恐らくですが……娘も貴方様の事を少なからず悪く思っていないようです。娘がわざわざ騎士団へ行き差し入れをする。なんて事は私には考えられなくて……閣下のような地位のある方に報われない恋をするのなら、閣下の方から突き放して欲しいと思っていました」


 ……モルヴァン嬢が私を?? 伯爵は何を言って……


「……いやいや。令嬢が私と? そんなの勿体無いだろう! 若くて器量もいい。私には勿体無い!」


「っそう思うのなら、もう娘には会わないでいただきたい! 閣下のおっしゃる通り娘には相応しい子息が現れるでしょうから」



 ……それは……困る。今のこの気持ちは、行き場のない気持ちなのではないのか? 伯爵はまっすぐ私の目を見ている。



「閣下、返事がありません。金輪際娘に会わないという約束をしてください」




 私に突き放せと──


 そんな事出来るはずがない。



 もう本当は──




「……恥ずかしながら、年甲斐もなく……ですが、この気持ちを知られて令嬢が離れていくというのが怖いのです。令嬢と本を読む時間は至福の時間です……一緒にいて心が安らぐ相手はこの先も現れないだろう。そう思っています」


「……そう思うのならその気持ちを娘に伝えてやって下さい。閣下は娘を悪意から守っていただける。私はそう思っています」


「悪意……ですか?」


「娘が婚約破棄された令嬢だと、婚約破棄をされた場合理由はどうあれ女性側が非難を浴びるものです。娘が嫌がる相手と結婚させようという気持ちは一切ありませんが閣下なら……きっと」


「……伯爵は良いのですか? 歳が離れていますし、」

「娘が貴方様を良いというのなら構いません。それなら我が家は伯爵家ですが釣り合いは取れませんか?」


「まさかっ!」


「閣下のことは陛下から聞かされていまして……古代語に造詣が深いと。私も若い頃は古代語が好きで趣味で読み漁りましたよ……娘も古代語が好きなのか。と嬉しく思いました。そんな娘が貴方様に惹かれる理由もよく分かるのですが、貴方様はその恵まれた体型とは比例して、奥手のようで……後は貴方様にお任せします。フラれるなり上手く行くなりどうぞお好きになさってください」



 やれやれ。と言った感じで私を見てきた。急に恥ずかしくなり顔が赤くなる。



「私が娘の気持ちを閣下に伝えたのは内緒にしておいてください。娘も自分の気持ちがよく分かっていないんだと思いますよ? ですから悩んでいるんでしょうな……そんな風に娘に思われているなんて閣下は幸せ者ですね」


 ……それが本当なら幸せ者で間違いない。



「ありがとうございます」



 明日、見舞いに来る許可を得て伯爵との話は終わった。




 屋敷に帰り精神統一をする。明日こそ負けられない(自分との)戦いがある! この気持ちを伝えよう。


 



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