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騎士団へ


「付き合わせてしまってごめんなさいね」


 騎士団の練習を見に行きます。今日は練習試合だそうで、前回来た時よりも見学者が多いですわね。アデール(メイド)ダニエル(護衛)に声を掛ける。


「騎士団の練習試合は人気がありますからね。お嬢様は閣下を応援なさるのでしょう?」


「迷惑にならない程度に……心の中で応援するの」



 あら、扇子にお名前を書いて振っていらっしゃる方がいますわ! 応援する隊員のカラーがあるのね。色とりどりで見ていて楽しいですわね。


 え? 推し色と言うのね。同じ隊員を応援している方達は纏って座るのがルールなのかしら?


 あら。勝った隊員が応援隊の方達に手を振っているわ。


 え? あぁ、そうですの。応援してくれている感謝の気持ちのサービスなの? それは双方共に盛り上がりますわね。

 



「閣下が出て来ましたわ!」

「新人が相手ですので結果はすぐに、」

「あら! 勝負がつきましたわ。本当にお強いのですね」

「手加減なしかよ……」


 ダニエルは見ていて分かるのですね。手加減はするものなのかしら? それにどうして新人だと分かるのかしら? 


 え? 剣の持ち方? 剣の構え方? 雰囲気? キャリアが違うのだそうですわ。

 あら。負けた方の応援隊の方達ががっかりされていますわ……新人の方にもう応援隊が? 


 え? デビュー戦? ってなんですの!



「閣下は汗一つかいていませんわね」

「そりゃ、そうでしょう。トーナメント戦かぁ。あの新人隊員も運が悪かったですね。決して弱いわけではないですからね」


 ダニエルには分かるのね。さすが騎士ですわ! 準決勝の前に休憩があるようで、閣下に会いに行きます。もちろん閣下は勝ち進んでいました。


 令嬢達の大移動があり、それを見送ってから閣下の元に行きました。パーティーでお別れしてから初めて閣下に会うので、なんだか緊張しますわね……ふぅ。と一呼吸しました。

 


「閣下、お疲れ様です」


「モルヴァン嬢、本当に来てくれたのか」


「約束しましたもの。閣下は本当にお強いのですね!」


 剣を構える立ち姿からして強そうでしたわ。



「そこそこ強くないと、部下に申し訳が立たないからな。そうだ忘れないうちに……」


 棚に置いてあった包みを渡してくれた。

 


「借りたハンカチだがもう使わないかもしれないだろう? 申し訳ないから新しいものを、」


「え? 頂けませんわ。だってわたくしが勝手に、」


「捨ててくれて構わない。君にプレゼントするものだから、その後は好きにして良い」


「……それなら……有り難く頂戴致しますわ」



 捨てて良いっていわれると、なんだかショックですわね。親切で頂くものですもの。私も同じ事を言ってしまいましたわ。



「君が受け取ってくれなかったらあの恥ずかしい思いをどうすれば良いのか分からなかった」


「まさか、閣下が選んでくださったのですか?」


「ん、まぁな……」


 閣下は思いやりのある方なんですわ。相手の気持ちを考えてプレゼントしてくださるなんて。


「嬉しいですわ。大切にします」


 ……閣下とお話をしていると胸が暖かくなります。




「お嬢様、コレを……そろそろ」


 こそっとアデールが耳打ちして来ました。そうだわ! 忘れるところでした。


「良かったらこれ、皆さんでどうぞ」


 カゴにはアップルパイとミートパイが入っている。



「これは?」


「差し入れ? ですわ。応援に来る時は差し入れをお持ちするのでしょう?」


 キョロキョロと周りを見渡すと令嬢から差し入れを渡されている騎士達の姿がある。食べ物だけではないようです。



「閣下がどういった物がお好きか分からなかったので、スイーツ系とおかず系の二種類を用意しましたの。わたくしもシェフ達に混ざって作ったのですよ。形は歪なものもありますが、味は保証します」


「モルヴァン嬢が作ったのか?!」



「作ったと言うか、手伝った。が正解ですわね。たくさんありますので皆さんでどうぞ」



 たくさん作ったので皆さんで召し上がっていただければシェフも喜びますわね。



「……すまない。大変だっただろう。有り難く頂戴するよ」


 ホッと胸を撫で下ろしました。断られたら立ち直れないかもしれませんもの。



「閣下の勇姿を見届けてから図書館へ行きますわね。応援しています」



「……ああ、頼むよ」



 差し入れってこんな感じでいいのかしら? 間違っていません? 



「お忙しい中、お時間を頂いてありがとうございました。大事にしますね」


 ハンカチを胸に抱き、お礼を言いました。


「いや、こっちこそ逆に気を遣わせたな」




 忙しいお方なので、長居は無用ですわね。ぺこりと頭を下げて観覧席へ戻りました。





「お嬢様は凄いですね」


 ダニエルに言われました。


「何がですの?」


「あの閣下と普通に話をしていますから……普通はビビりますよ?」


「それはなぜ? お優しい方なのに」


「……お嬢様と話をされている時はそう見えてしまうから不思議ですよ。お嬢様も楽しそうにされていますし」



 おしゃべりをしていたら、試合が再開されましたわ。準決勝まで来ると、素人の私が見ても分かるほどでとにかく迫力がありました。



 閣下は立ち姿からして勇ましいですわね。相手の方も負けずと閣下に挑んでいますが、剣を飛ばされて終わりましたわ。


 決勝戦の閣下は楽しそうに軽やかに相手の剣を受けていました。結果閣下が優勝されました。


 負けた騎士様は悔しそうでもあり、楽しそうでもあり、こういう感じはきっと男性にしか分かりませんわね。試合が終わったので席を立とうとしたら閣下と目が合ったので、挨拶だけして帰りましょう。



「閣下、優勝おめでとうございます」



 騎士様達がこちらを見ていました。



「皆様もお疲れ様でした。迫力がある試合でどきどきしました。差し入れをお渡ししてありますので皆さんでどうぞ召し上がってくださいませ」



 頭を下げて会場を後にしました。これ以上の長居は邪魔になりますわね。


 



 

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