表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/100

送ってもらいました


「送っていただきありがとうございました」


 閣下にお礼を伝える。なんていい方なのでしょうか。閣下はとても落ち着いた方で、お話をしているとゆっくり空気が流れるようで心地が良いです。


「いや、礼には及ばない」


 閣下が戻ろうとすると、そこへ丁度司書様がいらして声をかけられた。どこからか帰ってきたようでした。



「モルヴァン嬢、ようこそ。おや、閣下まで? 珍しい組み合わせですね。いや、珍しくもないのかな。本の趣味は合いますからね。丁度良かった! 閣下待望の本を取り寄せましたよ!」


 じゃーん! と効果音付きで本をどや顔で出す司書様。


「届いたのか!」


「はい。受け取ってきました」


 表紙を見ると古代語で書かれている歴史書でした。古いけれど綺麗にしてありました。本の趣味というのはこの事なのでしょうか?


「珍しい本なのですか?」


「はい。実は国境近くにあるヴィゴ伯爵家の当主がお持ちで閣下が話を通してくださったのですよ。陛下も興味をお持ちで王立図書館になら寄贈しても良い。と言っていただいて今日に至ります」


「私は最近ではまで国境近くで任務に着いていたからヴィゴ伯爵と交流があったんだ」


 ……凄いですわね。こんな古い本ですと歴史的価値もありますし、譲るとなると相当な値段がつきそうですのに寄贈だなんて。



「それは閣下のお人柄でしょう! ヴィゴ伯爵は娘さんを閣下には嫁がせたかったと聞きましたよ?」


「こんな男に嫁ぐのは嫌だと伯爵に泣きついていたけどな」


 ……え?


「閣下はとても紳士的でお優しいではないですか? もしかして……影武者でもおられますの?」


 ポカンとする閣下と司書様。

 


「あら? もしかしてわたくし何か変な事を……?」


「……いえ。とんでもございませんよ。閣下の良さをお分かりだなんてさすがモルヴァン嬢です!」


 こてん。と首を傾げる。意味が分かりませんもの。閣下は顔を背けていました。失礼なことを言ったに違いありませんわ!



「申し訳ありませんでした。きっと何か変なことを言ってしまったのですわね……これ以上いますとまた口を滑らせそうなので、失礼致しますわね」


 

 頭を下げて逃げるように立ち去った。大人の男性との会話は難しいですわね。知らない内に失言をして家族に迷惑をかけるわけにはいけませんね。


 





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ