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リュシエンヌ


 お父様に報告が済んでから家族で晩餐を囲みました。お母様は今回の婚約破棄について、もう終わった事よ。とあっさりと言いました。


 私には二つ下に双子の弟ハリスと妹パティがいます。可愛い弟と妹なんですのよ。

 


「姉様が傷つく姿なんて見たくないよ! アルバート様の顔を見たら何かしそうだ」

「お姉様がなんでこんな目に遭うか分からないわ! アルバート様って本当に変な人ね」



 うちの優しい弟と妹が怒ってくれるだけで、お姉様は十分だわ! 婚約破棄の理由を聞いても傷付きませんし。婚約破棄とはあっさりされるものなのね。家同士の問題でもあるのに、アルバート様の浅はかな考えにがっかりはしました。



「二人ともありがとう。でもねアルバート様との婚約期間はたった三ヶ月だったでしょう? 恋も愛も情けも全くないのよ? しかも婚約破棄はあちらに非があるもの。私は痛くも痒くもないから大丈夫よ」


 いずれは家族愛とかになったかもしれませんが、恋をしたわけではありませんわよねぇ。恋とは落ちるもの。と、本に書いてありましたが、恋をしていませんし、落ちる要素も……ありませんわよね?


 いくら嫌いな相手であっても婚約者でしたのに、ちゃんと話し合いの場を設けてくだされば良かったのでは? と思いますわ。

 両家が決めた婚約であっても順序というものがありますわよね? 先ずは伯爵様に相談をするべきだったのですわ。わざわざ友人だからと忙しい殿下までお呼びして、王宮の一室でだなんて!


 でも結婚する前にあんな方だと分かってよかったのかもしれませんわね。結婚をしてしまった後なら後戻りは出来ませんもの。

 


「姉様、スッキリした顔に見えるのは気のせい?」


 あら。嫌ですわ。ハリスに気づかれてしまいました。


「気のせいですわ。さぁ冷めてしまいますわよ。いただきましょう?」


 晩餐の間は質問攻めにあいましたが、ハリスもパティもアルバート様の事は元々好きじゃなかったと聞きました。婚約してやったという上から目線が嫌で私の事を案じてくれていたようです。


「私達の自慢のお姉様がなんであの男と婚約させられなくてはいけないのかとお父様に問いただしたいくらいでしたが……それが家の務めと言われればお父様のことが嫌いになりそうで」


 そうよね。もしそんな答えが返ってきたらパティが結婚に夢を見られなくなってしまいますもの。それは可哀想ですわ。


「コリンズ伯爵家に共同という形ではあるが融資をしていた。その縁でリュシエンヌとアルバート殿の婚約の話があって良い話だと思ったんだ。コリンズ伯爵夫妻は優秀なリュシエンヌに期待してくれていたし、令嬢達もリュシエンヌが姉になってくれるのは嬉しいと言っていて、アルバート殿も乗り気だったんだよ……」


 確かにそうでしたわ。はじめてお会いしたときはとても優しかったのですもの。変わったのは私がコリンズ伯爵家のお屋敷にお邪魔をしに行くようになってから? でしたわ。私がお屋敷に行くのを控えたらアルバート様がうちに来ることもありましたわ。


「あなた、終わった話を掘り返すのはやめましょう。リュシーは優秀で可愛いですし、また婚約の話がたくさんきますわ」


 また? たくさん? そんなお話があったのですね……


「そうだな、すまない。今度はリュシーの意見もちゃんと聞くから、安心してほしい。ハリスやパティの相手を決める時もみんなで話し合おう」


 お父様がパティに言うと安心したような顔をしていました。それにアルバート様との婚約を受け入れたのは私自身ですもの。次……があるか分かりませんけれど、私はともかく、ハリスとパティには優しい方と出会いがあれば良いのですが。そんなことを考えていたら食後のティータイムに入っていました。


 

 夜の食事の後は家族でお茶をする。これが我が家のルールです。朝は揃わないことが多いので、夜に皆で集まります。お父様のお帰りが遅いときはちゃんと連絡があるので、その時はお父様抜きになってしまいますわね。社交の時期になるとお父様とお母様が出掛けてしまうのでその時は三人で食事をする事もありますが、シェフが私達向けに好きなものを作ってくれたりするので、それはそれで楽しみの一つですの。


 婚約破棄の話はうちだけの話ではありませんので、向こうの出方を待つ。という事で、解散しようと思っていた時でした。


 


「旦那様。コリンズ伯爵から至急の手紙が届いております」

 


 あら、まぁ。

 


「お嬢様にもお手紙が届いております」



 あら、まぁ。



 第二王子殿下から……?


 


 


 

 

挿絵(By みてみん)


7/8に発売となりました。

ウラシマ先生のイラストも必見です☆

書きおろしSS・一万文字越えの加筆もあります。

よろしくお願いいたします。


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