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ケリがついたようですので


 ある日お父様が私の部屋に来て、話がある。と言いました。わざわざ部屋に来るなんて珍しいですわね。

 

「アルバート殿は学園を辞め領地へ返された。今回の原因を作った男爵令嬢は、男爵が激怒の末修道院へ強制送還したようだ。二人とも反省の色が見えればまた今後考えると言う事だ。若くて将来もあるのだから情状酌量の余地はあるだろうと判断した」


 お父様曰く、そう言う事にしてこちら側に余裕があることを世間に広めとこう。と言う事らしいです。


「鉱山も譲渡されたし、書類上ではうちの物になった。伯爵もこんな事になるとは思っていなかったようだし、大変ショックを受けている」


 お父様もお疲れの感じが顔に出ていました。


「そうですか。そのお話は家同士の話ですから私は口を挟むことは致しませんが、お二人が更生する事を願っておりますわ。お父様ご報告いただきありがとうございます。夫人や令嬢はどうされているのですか?」


 夫人は倒れた。と聞きましたし、令嬢達は良い子達でしたからどうしているのかしら……


「夫人は寝込んでいたようだが回復されて、現状を令嬢達に説明したとの事でリュシエンヌの事も案じていた」


「……そうですか。コリンズ伯爵家の方々には良くして頂いていたので、社交界で肩身の狭い思いをされないことを願いますわ」


 ……子息はともかく、ちょっとわがままな令嬢達は妹のようで可愛かったのは事実ですし。


「アルバート様が学園を辞めたという話は聞きましたが、噂が回るのが早いですわね」


 お父様は、両家で話をして決まってから私に教えて下さったのに。どうして噂の方が早いのかしら?


「裏で何か動いているのかもしれない。調べてみよう」



 ******


 ある日先生の都合で午後の授業は休講となりました。


「リュシエンヌ様、みんなで街へ行こうと思うのですがご一緒しませんか?」


 クラスメイトが誘ってくれたのですが、行きたい所があるのでお断りをしました。


「残念ですわ。またお時間のある時にでも」


 と言われて、お別れしました。


「お嬢様お早いお戻りですね。お屋敷に帰られますか?」


 御者に王宮図書館へ行くようにとお願いする。


「畏まりました」


 先日は案内いただいたけれど、今日はゆっくり見て回りたいですわ! 二階にあった書物はとても古そうだったし、古代文字も読めるようになったらもっと見聞が広がるではないかしら? そう思うとわくわくした。


 王宮図書館の近くでおろしてもらって、三時間後に迎えに来て欲しいと伝える。三時間後だといつもと同じ時間に帰る事になるので心配かける時間帯ではないもの。御者に頼んで学園が早く終わった事、王宮図書館へ行くことは家に伝えてもらったから問題はないでしょう。


 受付で名前を告げると許可証を頂きました。これで通い放題となりましたわ!


 スキップしたい気分ですが、図書館でスキップなんてしますと迷惑ですからもちろん致しませんわ。


 まずは一階を見て回り、その後は階段を登り二階を見て回る。


「古い本が沢山! ふふっ。埃が被っているものもありますわ。誰も手に取っていないのね」


 王宮図書館って素敵!! 気がついたら鼻歌を歌っていた。どこからともなく“ゴホン”と咳払が聞こえいた。



「申し訳ありません」


 小さな声で謝る。ここは図書館だったわ。いくら楽しいからって鼻歌はダメですわね、静かにしていないと。心の中で大いに反省して本棚を色々見て回る事にした。その日は結局見て回るだけでいっぱいで、次回改めて借りようと思い名残惜しくもありながら、図書館を後にした。


 お迎えまであと少し時間があるので図書館に併設されている庭園を見ることにしました。古い書物もたくさんありますし図書館は大きな窓がなかったので、庭園はとても開放的に思えました。古い本は光に当てすぎると傷んでしまいますものね。


 美しい庭園をしばらく眺めてから、迎えの馬車に乗り込みました。また時間がある時にゆっくりと行きたいですわ。本の表紙を見ているだけで満足してしまっては勿体無いですものね。



 ******


「え? モルヴァン伯爵令嬢が今日来たのか?」

 

「お越しになり許可証をお渡ししました。本日は貸し出しがありませんでしたので、また時間のある時に来られるとのことでしたよ。令嬢には珍しく二階のフロアに行かれました。古書が多く揃えてあるコーナーですので勉強熱心な令嬢なのだと感じました」

 

「そうか。ありがとう」


 リュシエンヌのクラスは先生の都合で午後は休講になったと後に知った。午後から休みなら図書館にくるよな。一緒に来たかったが残念……またの機会に。

 



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