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アイスブルーの瞳の君2


「エリック、お前もそろそろ婚約者を決めないと……母上が煩いんだけど?」


 五つ年上の兄は王太子で結婚をしている。義姉となった人は侯爵令嬢で、潔癖な女性だ。兄に他の女の影があったら即別れます。とまで言った。貴族の男というのは金がある分別宅を作り、愛人を住まわせる事も少なくはない。


 父にも昔愛妾がいた。なんでも父の愛妾という女性は母の友人で没落した貴族の娘で形だけの愛妾だったようだ。王宮を去った後はお手当という名の退職金? で、仕事を始めた。そこで耳に入れた情報を母に渡しているんだとか?

 人に言わせれば情報屋とか? それでも双方に良い事なのでウィンウィンな関係と言うそうだ。


 元愛妾の女性は美しく優しい方で結婚はしていないし、今後も結婚することはない。と言っていた。父と母に恩を感じているから国に貢献したいと言っていたようだが今の暮らしが楽しいと聞いた。

 



「おーい、聞いているのか?」

 

「聞いていますし、分かっていますよ」


 兄を遣ってまで婚約させたいのか! 次は王太子妃である義姉を遣わせてくるのではないだろうか……それはそれで面倒だ。


「好きな子とか、気になる子とかいないのか? 私が紹介出来るのは他国の王女くらいなのだが……」



 一度母に誰でも良いからと言われたのでリュシエンヌの名前を出そうとしたのだが、先ずは見合いをしてからだと言われ、数人の令嬢や姫と見合いした。これが終わればリュシエンヌと婚約したい。と言うつもりだったのに……



 まさか婚約者が出来たなんて……悔しくて学園ではついリュシエンヌに目がいってしまう。私はリュシエンヌに憧れている。優秀で優しくて誰にでも平等で気遣いができて美しい。好きにならないわけがない。


 あの時に渡されたハンカチはいつも持ち歩いている。手縫の刺繍は恐らく自分で針を入れた物だろう。丁寧な仕上がりにリュシエンヌの性格が出ているように感じた。



「兄上は良いではないですか! 好き合って結婚したんですから。人柄も家柄も問題ありませんし」


 義姉である王太子妃は既に王子を誕生させているのだから周りは文句を言ってこないし、第二子懐妊中でもある。


「ん? そんな風に言うということは、エリックが気になっている相手は人柄か家柄に問題があると言っているみたいに聞こえるぞ?」


 ……面倒だなぁ。問題なんてない。家柄的に釣り合いが取れないわけではないんだが、リュシエンヌに声を掛ける勇気がない……きっかけを探していたらこんな事になってしまったのだから自分が悪い。婚約がなくなれば良いのに……なんて思っていたら神は存在していた!

 


 たまたまリュシエンヌの婚約者が私と同じクラスで、クラスメイトにリュシエンヌの話をしているところに遭遇した。


『そんなにリュシエンヌが良いか? それなら婚約者を譲ってやろうか?』


 ……はぁ?


『見た目は美しいかもしれないが、嫉妬深い女はダメだ。親戚と親しくしているだけで注意するような女だ。愛情に飢えているのかもしれん』


 ……はぁ?


『あいつとは家同士が決めた婚約者だから、気に食わないんだよ。はじめは良いなと思った事もあったが、男を立てるという気遣いが出来ないんだ』


 お前が隣に立つ器ではないんだろうが! 努力をしろ!!


『婚約破棄できるならとっととして、自分に合った可愛い気遣いのできる子と婚約をしたいね』


 ……待てよ? それなら……




 それからクラスメイトという事もあり、リュシエンヌの婚約者アルバート・レフィ・コリンズと話をするようになった。婚約破棄したい。それなら立ち会いしてあげるよ。と悪魔の囁き。


 飛びついてきたアルバート・レフィ・コリンズ。卑怯かもしれないが、これで彼女に婚約者はいなくなった。


 それから婚約破棄の立会いをして、たまたま行った視察先で彼女に会った。私の顔を見て驚く顔も美しく心が躍った。

 

 弟と図書館に来ているらしい。あの時雨宿りをしていた弟か……本当に姉弟仲が良いんだな。仲が良すぎるのもどうかと思うのだが……出かけるのなら妹の方と行くものだろう!








「殿下そろそろ……」


「あぁ、すまない。視察の途中だったな。知り合いにあったものだから声を掛けたんだ」


「……モルヴァン伯爵令嬢ですか?」


「そうだよ。何か?」


「いえ、確か婚約破棄されたご令嬢でしたよね。元気そうでしたので……」


 そうか。この男は私が立会いをしたのを知っているのか。これはあまり良くないな……立会いをしたと公にしないでくれ。と言った。噂になっては困る。



 

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