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噂話
靴を履き替えながら智子の話を聞いていた。
智子曰く、"自分ソックリの姿をしている分身"、"本人が見ると死ぬ"などの情報があるらしい。
「…それ、『自己像幻視』ってやつじゃないの?」
「?」
「えっとね…医学ではそう言われてて、短時間で消えて、そして視覚にだけ現れる現象のことなんだ。」
「これの特徴は自分の姿勢とか動きを真似するだけだから、独自の意図は持ってないんだよ。」
「んーでもそれっておかしくない?見えるのは自分だけだし…何より、殺せないじゃん!」
「うーん…確かホートスコピーっていうやつもあって…なんだったかまぁ…結構敵対するやつだった気が…」
「そこは曖昧なのね(笑)」
「うっさい…」
でも、確かに私の言ったことじゃあ殺す事というか…"第三者によって目撃されるドッペルゲンガー"というものが成り立たない。
「…でもなんで"ドッペルゲンガー"の話を?」
「おや?何やら面白い話をしているね!ボクも混ぜてくれないかな?」
そう言ったのは、私と智子の部活の先輩、上原 命夜先輩だった。