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転入生

「うわー、お前何だその髪の色ー!カッパみたい」


「パパが言ってた、この間裏山の山頂でカッパ見たって!あれお前だったんじゃないの?」


オレの頭を指差し、ケタケタと笑うクラスメイト達。

ほとんどの人間がオレの姿を見て彼等と同じようにケタケタ笑っていたり、まるで異端者でも見るかのように好奇な視線を送っていたり、つまりクラスメイト全員同じ見解なのだろう。


自分とは違う人間は切り捨てるべき。


そんなんだから。


田舎が嫌いだった。


防衛本能の強い田舎の人間は自分と違う人間を見るとすぐにこうしてからかう。

分かっていたけど、悔しくて手のひらを握りしめるとポタポタと足元に緑の液体が溢れてきた。


「うわ、お前ランドセルまで緑になってるぜー」


その一言が更に教室を沸き立てた。


今朝、歯磨きしてたら一瞬目に入ったグリーンのカラートリートメントに心奪われ、無我夢中で頭に塗りたくり、気がついたら空になったチューブを握りしめていた。

鏡に映った自分が今までの自分じゃなくなっていて、何だか嬉しかった。

ただ髪の色を変えただけでこんなに気持ちが高揚するなんて。

これはもしかしたら今までの生活が変わるのではないか?

なんて勝手な妄想を抱いていた。

何一つ変わる訳なんてないのに。


「おーい、何してる、チャイム鳴ったぞ!」


クラスメイト達がやけに静かになったと思ったら、すぐ後ろに担任が立っていた。

アラサー独身教師は筋肉質の腕を上から下に振り落とし、髪の毛をぐしゃっと握った。


「取り合えず席に着け」


都会から赴任してきた人に無関心な担任は出席簿で後方の席を指差した。

いつもそう。オレが問題起こしてもその場では何も言わない。

放課後、一方的に罵倒して殴るだけ。

あ、蹴る時もあるな…。

こんな田舎に追いやられた事、コイツなりに反発してるのかもしれないけど。

絶対間違ってる!

こんな糞みたいないつもと同じ世界。

何も変わらない毎日。


だけど。


いつもと変わらない毎日なんてない事、あの日知った。


担任のすぐ後ろに金髪の男の子がいた。

キラキラと輝くガラス玉のような瞳。

透き通るような白い肌。

日本人離れしたソイツは人懐っこい笑みを浮かべながらオレの頭を見て、


「その色、ボクの一番好きな色だよ」


そう言ってオレの髪の毛を撫でたかと思ったら、そのまま自分の顔に近づけ、あろうごとがオレの唇に唇を重ねたのだ。


この時からオレの毎日は変わっていった。















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