62話 才賭
〈優奈視点〉
「みーんなあ! どこー!」
やだなあ。
みんな何処に行ったんだろ。
こんな森で一人とかやだよ。
モンスターとか出たらどうしよう。
モンスターならまだいいけど、虫がまた出たらどうしよう。
えっ、今茂みから音がした。
うわー。どうしよう、どうしよう。
わたしは思わず両手で顔を隠した。
指の隙間から恐る恐る茂みを見てみると、
そこにいたのは黒い服をきた忍者みたいなのがいた。
え。人だあ。
でも、格好がダサいなあ。
「ぬ、その乳のデカさ! おまえが優奈か?!」
うわ。何この人。感じ悪い。胸で判断するとか
品性疑うわ。
しかも上から目線?
あたしこのタイプ苦手だなあ。
「違います。」
嘘ついちゃった。
「巨乳のプリーストが単独でこんな森にいるわけないだろ。流星達パーティーの一味だろ。」
「あー、あー、聞こえませーん。」
「話にならないな。俺はお前を勧誘しにきた。どうだルーン王国に来ないか?」
「知らない人と話をしちゃ駄目って言われてますので無理でーす。」
「無料でとは言わない。お前にイケメンの男子を紹介してやろう。」
「えっ。本当ですか?!」
男はマスクを外した。
なかなかイケメンだけど
まさかあなたじゃないでしょうね。
「それは俺だよ。名は才賭。暗部十本柱の一人。将来有望なエリートだ。」
うわー。自分でエリートとか言ってる。
顔は好みだけど。性格はさいてー。
「無理でーす。さっさと帰ってください。」
「ちっ。仕方ねーな。無理矢理連れて帰ってやる。」
「拉致ですか? そんなんじゃ敵を作るばかりですよ。」
「うるさい!黙って俺について来い。」
才賻がいきなりわたしの手を握ってきたので思わず、わたしは空に投げてしまった。
才賭は空高く上がり、勢いよく落下する。
生きてるかな?
才賭はカエルが裏返ったような姿をして死にそうにしていた。
その可哀想なカエル忍者にわたしはヒールをしてあげるとその忍者は飛びあがる。
「ゆ、油断したぜ。これが噂の『悶絶爆乳プリースト』の力か。今度はこっちの番だ!」
あたし変な通り名をつけられてる、、
やだなあ。
カエル忍者は何やら術を使ってきた。
『火遁の術』
口から火を吐いてきた。うわきたなーい。
わたしは汚れないように拳にシールドを纏わせて
火玉を殴り相手に返す。
火玉はカエル忍者に当たり激しく燃えた。
「あちー!」
ゴロゴロとカエル忍者は転げ回っている。
何この人、、
火が消える頃には死にかけていたので、
わたしはヒールをまたしてあげた。
「ハァハァ、お前なかなかやるな。」
あなたが弱いだけだよ。
もうぅ、やだぁ〜。誰か助けてくれないかな。
あたしの願いとは裏腹にカエル忍者は、また何かしようとしている。
もう、許して〜。