55話 暗部
ポン太の餌集めも終わり休憩していると
なんだか人に見られているような気がする。
気のせいか?
ポン太は何故か誰もいない木に向かって鳴いている。
ピーピー
ポン太だけ何か感じるのか?
まさか何かが隠れているのか?
スキルだとしたら厄介だな。
俺は模倣してスキルを使った。
『ディスペル』
全てのスキルは解除され、何かが現れた。
なんだ? モンスターか?
いや。人だ。黒服の忍者みたいな格好したやつが隠れていた。
「誰だ。」
みんな武器を構えて戦闘態勢に入る。
「これは失礼。私はルーン王国の者です。」
美香が斬ろうとする。
「待ってください。戦いにきたわけではないのです。」
「じゃあ何しにきたのよ。」
「実はあなた方を丁重におもてなしするように命を受けたのです。」
怪しい奴だなあ。なんで隠れる必要がある?
おもてなしなしするなら堂々と来ればいいだろ。
「実は敵に遭遇しないように隠れていて、ちょうど先程あなた方を見つけたのです。」
ずっと隠れて尾行してたんじゃないのか?
怪しすぎる。
『思考模倣』で思考を読みたいが人間相手だと成功しにくいんだよな。
そうだ。新しいスキル『マインドコントロール』を使ってみるか。
『マインドコントロール』
怪しいやつは逃げることもできず、俺のスキルにかかった。
よし、質問してみるか。
「おまえ俺らをつけていたのか。」
「はい。」
やっぱりか。
「いつから?」
「デュポンとの戦いの後からです。」
やっぱり。暴れすぎてバレてるじゃん。
「じゃあ目的は?」
「あなた方の尾行をして情報収集することです。」
やっぱり忍者じゃん。
「俺達を探る目的は?」
「あなた方を勧誘するためです。」
勧誘?
勝てないとみて方針を変えたのか?
これは困ったなあ。
俺らのパーティーは餌に釣られやすいからなあ。
すぐ勧誘されるよ。
正面から来る敵には強いけど、こういう相手には
弱いからなあ。
とりあえず、さっさとサレバトールに行って
追手を振り切るか。
「お前の他に追手はいるのか?」
「暗部数百があなた方を探しています。」
うわ。結構いるんだな。
街とか人通りが多い場所だとすぐバレるよな。
まずは、森からは早く抜けた方が良さそうだな。
よし行くか。
この暗部は。洗脳したまま案内させる事にした。
俺達は魔の森の西に向かって歩きだした。




