52話 魔の森へ
俺達は新ドルイドを離れ西の国『サレバトール』に向かっていた。
西の国に向かうには一度ルーン王国内に入る必要がある。
俺達7人はあの戦争で目立ちすぎた為、町を通っていくことはできない。
仕方なく俺達は『魔の森』と呼ばれる高レベルモンスターがウヨウヨいる森を通って西に向かう事にした。
森はシダのような植物、紫の沼などがあり
不気味な雰囲気で今にも幽霊が出そうな程暗い。
美香が嫌そうな顔で雲を指す。
「なんか森の上に黒い雲がない?」
「魔の森って言うくらいだし、魔力が溢れてるんじゃないか?」
「美香ちゃーん。あたしなんだか怖い。」
優奈は自分の胸を美香の腕に擦りつける。
「いいなあ。」
浩介は呟く。
「ハラヘッタ。」
阿部も呟く。
てか阿部の大食漢のせいで俺捕まったんですけど!
阿部も捕まっただろ。それでもそのセリフを吐く阿部に脱帽だよ。
もうね、アホかと、バカかと。
沼に放り投げて小一時間説教したいわ!
とキレ気味に歩いていると目の前に怪しい息を吐く食虫植物っぽい生き物が現れた。
うん。これ敵だよね。
「あぁ〜ん。流星様。あの植物と本気で戦っていいかしら?」
と、イブが俺にお願いしたが当然俺の答えは
――――NOだぁぁぁぁ――――
こんな場所で暴れられたらルーン王国の兵やらモンスターやらが集まってきて一大事だよ!
イブと俺が話している間に、寺田は『灼熱地獄』で植物を燃やしていた。
「これでいいか?」
うんうん。手際がいいね。植物モンスターは火に弱いようだな。
ん? てか阿部なんか口をモグモグしてないか?
え? なんでそんな怪しい植物モンスター食べてるの?
「コレ、オイシイ。」
なんでそんな毒ありそうな植物食って平気なわけ?
職業『猛者』って胃も猛者なわけ?
まてまて。戦うだけが猛者じゃないのか?
『猛者』の意味は荒々しく、常人離れした行いをするって意味だっけかな。
そうか。俺は攻撃力と防御力に優れたのが『猛者』だと思っていたが、常人離れしたというのが正しいのかもしれない。
久々に阿部の職業にスキルを見てみると『喰らう者』なんてスキル増えてるじゃん。
『喰らう者』
どんな物も食べることができる。毒などがあっても
胃の中で無効化する。
阿部らしいスキルだな。
本当に胃まで猛者じゃないか。
まあ、こいつは少なくとも食糧に困らないわけだな。
味とか気にしなければ。
「コレ スッパイ。」
そんな変なモンスターの食レポいらないんですけど。
俺達はモンスターを倒しながら(一名は食べながら)
森の奥までいくと黒い雲の下に絶壁の岩肌が見えてきた。
そこには、大きな空を飛ぶモンスター達が沢山いる。
「あれは、ワイバーンですわ。」
イブは見た事があるようだな。
竜の一種のあれか。
寺田はそれを無表情で見つめる。
「あそこを抜けないとサレバトールには行けないな。」
「仕方ない、あそこを抜けるか。」
俺達は崖の上を目指して進むことにした。




