31話 イブとの戦い②
あー、俺死ぬのかな。
と思って腹みたら、穴が塞がってない?
優奈が『フルヒール』で回復してくれて塞がっていた。
そうか、優奈の専用スキルか。一日一回だけ使えるとか言ってたな。
今普通なら死んでたよね!
一瞬なんか花園見えたよ!あれは、おばあちゃんだったよね!
ふと俺は我に帰り聖光気が魔族に有効なのを思い出した。
イブに模倣して『魔闘気操作』を行った。
黒と黄色の気を纏いイブの攻撃をなんとか耐えることができた。
次喰らったら本当に死ぬな。
「アハハ、素敵ですわ。ああ〜んもっと激しく。」
美香は援護しようと構えたが、俺は首を振り美香の攻撃を止めた。
「なんでよ流星。そのままだと、あんた危ないわよ。」
「今のイブは正気じゃないみたいなんだよ。理由はわからないけど。俺にいい考えがあるから任せてくれ。寺田!
ソウルドレインをイブに使え。」
「ああ、そういう事か。」
寺田はソウルドレインを使いイブのmpを吸いはじめた。
イブはそんなにmpが多くない。mpは早くなくなり気絶するはず。
と思ったがなかなか減らない。
mpまで三倍かよ。
俺は更に『模倣分身』を使いソウルドレインを使った。
早くmpなくなれー!
「あ〜ん、そんな激しく吸われたら私イキそうですわ。」
無駄にセクシーボイス使うし、
目の色も赤いし、おかしいですよねイブさん。
俺のmpが尽きるのが先か、イブのmpが尽きるのが先か。
勝負だなこれは。
イブは高速で拳を打ち込んでくる。俺はガードして致命傷を避けるので精一杯だ。優奈が回復してくれているから
HPは大丈夫だけど、優奈のmpが一番やばいな。
なら、防御を捨てて避けに特化した職業に変えるか。
俺は浩介の『格闘家』を模倣して体の速度を上げ、軍師の『思考加速』を使い頭の回転速度を上げた。
一撃くらえば恐らく致命傷だが。
「当たらなければ! 以下略」
イブの速度は確かにゆっくり見えるが、体が追いついていない。
だけど、かすり傷程度でダメージは済んでいる。
これなら戦える。mpは分身が吸っているから
少し長く戦える。
イブが苛立ち始めている。
「流星様ぁ、どうして私の気持ちを受け止めてくださらないの? 」
受け止めたら死ぬヨ!
あと少しでイブのmpは尽きそうだ。
「そうだ。 あの女がいるから、いけないのですね。」
美香の方を向いて、片手に魔闘気を集中させている。
やばそうなやつを撃とうとしている。
「アハハ、これでおしまいですわ。」
でかい魔闘気が美香に向かって放たれた。
美香は、それを避けようとしたが魔闘気は美香に追従していた。
「無駄ですわ。 どこま……。」
言葉の途中でイブは倒れた。mpが尽きたらしい。
けど、魔闘気は美香を追い続けている。
やばい。
俺は全力で美香に向かっていた。
美香に魔闘気が当たる瞬間、俺は魔闘気に体をぶつけた。
魔闘気は方向を変えて壁に衝突したが、
俺は体がボロボロになって吹き飛んばされた。
俺はゆっくりと空中に浮いていり
あー、思えば短い人生だった。
色々思いだすなあ。これ、走馬灯ってやつダヨネ。
また、三途の川が見えるよ。
美香は無傷みたいだし。まあいいか。
俺は地面に衝突した。
ガハッ
口から血が出ていた。
優奈が急いで俺に『ハイヒール』を使っている。
『フルヒール』より弱い回復だが、
俺の体はみるみる回復した。
完全には治っていないな。mpが優奈も限界なんだろうな。
優奈が無駄に胸を揺らしてやってきた。
うーむ。悪くない。
「よかった。 間に合わないかと思ったよ。」
美香、浩介は俺のそばに来て心配そうにしている。
あれ、浩介は?
イブのそばにいるようだ。
イブは倒れたまま意識が戻っていない。
俺は心配になりボロボロのままイブの元に向かった。