28話 魔王の願い事
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ん、ここは?
目が覚めると俺はフカフカのベッドにいた。
お姫様ベッドみたいなベッドだな、、
「流星、目が覚めた?」
美香達が心配そうに俺を見ていた。
「ああ、大丈夫そうだけど。なんか体がだるいな。」
「mp使いすぎたのかもね。」
俺はステータスを見てみて気付いたが、mpがマイナス10になっていた。
おいおい、マイナスとかあるのか?!
パタン
扉の方から、小さい魔王が入ってきた。
また、ちっこくなってるよ。この魔王。
「ほう、mpがマイナスになっても死んでおらぬか。
主は特異体質のようじゃな。通常mpが切れると気絶するか、もしくは死んでしまうことがある。だが稀にmpがマイナスになっても大丈夫なやつがおるのじゃ。魂を一時的にmpに変換する体質で『魂精変換と呼ばれておる。寿命を減らしてmpを回復する体質じゃ。」
おいおい、おれ寿命を減らしたのか?!
さらっとやばい事言うな。
どれだけ寿命が縮まったかわからないが、mp管理には気をつけよう、、
「ふらふらするの体質が原因なのか?」
「恐らくそうじゃろう。死ぬ事はないから安心せい。」
やれやれ。
死なないけど寿命がな、、
「そうじゃ、褒美がまだじゃな。まずは、『再起の刻』の発生方法じゃが、五大陸中央にあるダンジョンの1000階層で魔王が持つ鍵7つ使えば発生する。」
五大陸? そういえば新ドルイドの教育係がそんなのがあるとか言ってたな。 あまり頭に入ってないけどな。
魔王が懐から鍵らしき物を出した。
「これじゃ。 普段はなんの役にもたたんが、あの場所でだけ使える鍵じゃ。」
「他にも魔王がいるのか?」
「なんじゃ小僧、そんな事も知らんのか。わしの他に六人魔王がおるぞ。」
「じゃあ、先に全員から鍵を貰えばいいんだな。とりあえずその鍵を。」
と手を伸ばそうとしたら、魔王は懐に鍵をしまった。
「だれが鍵をやると言うた。帰る方法は教える約束だったが鍵は別じゃ。」
「そんなぁ、じゃあもう一回戦えばくれるのか?」
魔王は首を横に振る。
「次やれば、ワシはお主らを殺してしまいそうだからの。
もう少し強くなったらまたワシと戦うがよい。
鍵が欲しいなら、一つワシの願いを聞くがよい。」
願い? 魔王に願いなんてあるのか?
「イブ、こちらに。」
魔王の後ろから、見た目は俺達と年齢が近い女の子がやってきた。髪と目は魔王のように漆黒で、大人びた雰囲気の美人だ。
美香も見た目は美人だが、太陽と月のように対象的な美しさがある。
「この子はワシの自慢の一人娘のイブじゃ。かわいいじゃろ。頭もよく、戦闘センスもなかなかじゃ。そんな我が子をお主らパーティーに加えて欲しいのじゃ。」
?!
「次期魔王候補は、1600歳になると旅に出て世界を回る事になっておる。忌々しい事じゃ。そうせんと魔王になれん。中央ダンジョン1000階層まで旅をしてようやく一人前と認められるのじゃ。」
なんかジブリにあった魔女と似てるな。
手紙とか出して、
『お父さん、私元気です。』とか書いて魔物を倒したことなんかを書くんだろうな。
「どうじゃ、我が願いをきくか?」
俺達に選択肢はなかった。
「ああ、いいぜ。」
「おお、では我が娘を頼んだぞ。そうじゃ、あとこれだけは言っておく。」
?
「我が娘に手を出したら、魂全てを燃やして二度とこの世に現れぬようにするからの。」
とニコニコ笑顔で怖い事言うな、、
「わ、わかったよ。」
そういうとイブが挨拶しにきた。
「わたくしイブと申します。流星様よろしくお願いいたします。」
所作が綺麗で見惚れてしまう。見た目だけじゃない美しさがあるな。うんうん、いいね。
浩介は顔を赤くして、今までにない速度でイブに近づき握手しにいった。
「おおおれ、浩介といいます。よろしくお願いします。」
「あら、強そうな殿方ですわね。」
なんか、浩介の手からミシミシと変な音がしたが。気のせいか。
魔王は、俺が回復するまで2日間持て成してくれた。




