21話 リッチさんこんちわ
やる事が決まった俺達は下の階層を目指すことにした。
俺はみんながいるおかげで、mp消費をかなり抑えることができた。
最初に覚えた『模倣』はmp消費がかなり少なく長期戦にはとても優れていた。パーティーを組んでみて
『模倣士』は単騎向きな職業でない事がよくわかった。
mpもいざとなれば寺田から吸わせてもらえるのだ。
寺田の職業『魔導士』は専用スキルでmp消費を半分にできるらしく、mpが常に余っている。
だから、俺がmpを吸っても何も問題はない。
だが、俺がスキルを使う場面は少なかった。
なぜなら、脳筋トリオの攻撃が異常だったのだ。
高速の動きで浩介は敵を瞬殺し、美香は刀を振るだけで真空波が生まれ敵は真っ二つに、阿部のパンチを食らった敵は霧のように霧散していた。
(あんたら、どんなスキル使ってるんだ。)
俺が『模倣』しても同じようにはならなかった。なぜなら、専用スキルの恩恵が高いらしく通常スキルを使う必要がないらしい。
美香達の攻撃は、スキルだと思っていたのだが通常攻撃だった。
なんてインチキな奴らだ。
寺田に関しては『エナジーコート』というスキルで無敵の防御力を誇っていた。
なぜ、後衛職なのに前衛より硬いんだよ、、
優奈は、回復職ではあったが近づいてきたモンスターを時折、叫びながら既で殴り殺していた。
優奈は回復職の割には攻撃力が阿部に匹敵するほどらしい。
俺が通常時は一番弱いという事に気がつくのはそこまで時間はかからなかった。
49階のボスにはあっというまに辿りつく。
49階層のボスはでかい女王様蟻だった。
こいつは特殊なスキルもなかったため、脳筋トリオの敵ではなかった。わずか3秒足らずで灰と化した。
(南無南無)
問題は51階層からだった。
なぜなら、物理系に強いゴースト系が主なモンスターだったからだ。
脳筋トリオには対ゴースト用のスキルがなかった。
だが優奈の聖属性魔法は有効らしく、次々と天に召されていった。
俺も優奈の魔法をコピーしてゴースト退治を手伝った。
ゴースト以外は大したモンスターはおらず、ボスまであっさりと辿りつく。
一番の問題は、このボスだった。リッチと呼ばれる死神がボスだったのだ。
こいつも物理攻撃が効かず、脳筋トリオは全く役に立たない。
俺は機転を利かせて、美香の刀に火を纏わせた。
刀は火属性となりリッチにダメージを与えた。
「ナイス流星! てかこんなのあるなら早く使いなさいよ!」
「優奈が鮮やかにゴーストを倒すもんだから忘れてたわ。」
浩介も俺にも火をくれとかバカな事を言っていた。
武器がない奴だと燃えるだけなんだが。
それでも欲しいとか言っていたので特大の火を浩介にやると。
浩介の体は火に包まれた。
「あちちち。 でも我慢だ! 熱くない!」
やはりこいつはバカだ。
だが、浩介はその姿で高速に動き火の玉のようになりリッチに突撃した。
浩介の形した穴がリッチに空き、リッチは天に召されていった。
「あちちち。やっぱり消してくれぇー。」
こいつ、倒すために突撃したんじゃなくて熱くて走り回っただけか。
寺田は冷静に水魔法で、小便小僧のように浩介に水をかけた。
「助かったぜ!」
歯をキランと輝かし、親指を立てて寺田に感謝していた。
やはりバカだ。
俺はリッチから面白い材料が手に入った事に気づいた。
それは薄白い布だった。
これを使って装備を作れば精神攻撃から身が守れそうだな。
この脳筋トリオ精神攻撃には弱そうだから、操られたら全滅間違いないしな。
俺は全員分の肌着をこれで作ることにした。
みんなからは手先が器用な事を褒められ照れ臭かった。
器用貧乏も意外と役にたつものだな。
みんなはリッチの肌着を装備して次の階層を目指した。
60階層に着くとまた風呂を入りたいと美香に命令され
渋々風呂を作ることにした。




