18話 熟練度
目が覚めて俺は『模倣分身』の研究を再開した。
今までは41階層でマントを使い、姿を消しながら戦っていたがマントなしの対集団戦を試す事にした。
mpは消費二倍になるが、手数が二倍になる。
この特徴を生かして、魔法をメインとした戦いを考えた。
分身には防御型のスキルが多い『聖騎士』を使い
本体は魔導士を使うことにした。
二つの職業は対集団戦の攻撃と防御に特化していた。
俺と同じレベルで、二つの職業が揃えばこの階層は無傷でクリアできそうだが。
残念ながら分身のステータスは半分だ。
そこで、持続力の高そうな強化魔法で補うことにした。
あの脳筋トリオの阿部が特に持続型スキルが多く
60分はステータスが1.5倍にはなった。
最初にかけておけばmp消費も気にする必要はない。
回復を待てば良いのだから。
阿部の猛者という職業はなかなか使い勝手がいい。
格闘家に比べて敏捷とmpは劣るが、
攻防に優れている。接近戦のパワー型が猛者で、スピード型が格闘家といったところか。
阿部は柔道部で、浩介はボクシング部なので職業は
そこら辺が影響したのか?
俺は部活には入っていなかったが、器用貧乏が災いして数合わせで部の手伝いをよくしていた。
やはりそのせいか?
まあ、いいや。集団戦を試すか。
蟻相手に初めて正面から戦うことにした。
蟻は最初数匹だったのだが、すぐに仲間を呼び
数が30を超えた。
(おいおい、、多くないか。)
内心俺は焦ったが練習通り、『聖騎士』の分身と『魔導士』の本体模倣で戦う事にした。
聖騎士で蟻の注意を惹き、『ホーリーシールド』という物理系攻撃を無効にする領域を展開させた。
蟻は一生懸命に攻撃をするが分身には届かない。
その間に戦術魔法系の『ファイヤーアロー」を唱えた。
更に『併用模倣』を使い、ハンターの『精密射撃』を発動。
魔法が発揮するまで多少時間がかかったが、
分身くんが耐えてくれたおかげで、こちらには蟻は来ない。
魔法が発動すると、炎の矢が一斉に30以上いたありの急所目掛けて突き刺さった。蟻は燃えながら全て絶命した。
なかなかの威力だな。
mpの消費はそこまで多くはなく、あと3回くらいなら同じスキルを使えそうだった。
蟻120匹くらいを3分以内に倒せるなら効率は非常に良い。
隠れながら、倒すと3分で30匹くらいしか倒せない。
それを考えるとなかなかの効率だな。
俺は美香達が来るまで、この方法でレベル上げをする事にした。
スキルを使っていくうちに一つわかった事がある。
特定のスキルは熟練度が貯まると性能が上がる。
『模倣ストック』というステータス半分で、他の職業をコピーできる常時使っているスキルがこれに該当した。
ステータスが半分ではなく60%くらいになっていたのだ!
おー、素晴らしい。使えば使うほど性能が上がっていくのか! おれのモチベーションはかなり上がっていた。
持続型強化スキルと合わせていけば、いつかは本職と同じステータスになるのではないか?!
俺は体力の続く限り戦い続けた。
あまりにも没頭しすぎて寝るのも忘れていたくらいだ。
俺は美香達の事も忘れていた。
数日そんな感じでレベル上げと熟練度を上げていたのだが、、




