ようこそ生徒会へ 1
〇生徒会〇
この学園のルール作りや、部活動の予算配分、
学園生活を快適にするための雑用など、様々な事を行っている団体。
校長の次に権力がある。皆制服を身にまとっている。
・副会長
三年生。女性。実質、生徒会のトップ。
この学園を良くするためなら努力を惜しまないが、
膨大な仕事量をこなしつつも、優雅に見える不思議。
・書記
三年生。男性。主に体育会系の部活の面倒を見ている。
見た目が坊主、ごつい、恐いと、初見の人には避けられ気味。
本当は素足で下駄などを履きたいが、廊下が傷つくと副会長に怒られたことがあるらしい。学ラン。
・会計
二年生。女性。文化系部活を中心に予算などを組み立てることが多い。
副会長に憧れている。少しおっちょこちょいなところもある。
細目でたまに目が開く。かと言って強くなるとかではない。
・ヒラ
一年生。一応女性。緑がかった髪でおでこ丸出しが特徴的。
一人称が「ボク」。生徒会に入るので制服が支給されたが本人の希望でブレザータイプだが、
ズボンはショートパンツ。
今回はそんなヒラの生徒会入会の歓迎会の話である。
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その日の放課後、生徒会室の部屋の一角に畳が敷かれていた。
ちゃぶ台が置かれ、ちゃぶ台にはガスコンロ、その上には鍋が載せてある。
中身は白菜、水菜、椎茸、エノキ、白滝、花の形の人参など。
その他、魚介類と肉の両方用意してあるのは用意周到な副会長の性格からして、
人の信念や好き嫌い等により、鍋を楽しめないことが無いようにしているためだと思われる。
飲み物も、ペットボトルのジュースを果物の味のものから炭酸のものまで、
その他、緑茶や紅茶、コーヒーが保温ポットに入れられ、飲みきれないのでは?と思うほど準備してある。もちろん未成年の身分であるのでお酒はない。
因みにペットボトルのものは購買部で、
それ以外のものは喫茶店部で用意してもらったものだとか。
そうして鍋とちゃぶ台を四人で囲って、ささやかな歓迎会が始まった。
暑くなってきたこの時期に何で鍋?とも思ったのだが、
もちろん自分の歓迎会である以上、そんな無粋な質問はしない。
彼女はまず最初に挨拶をしようと思ったのだが、
それは良いからとりあえずまず食べろと、勧められるままに箸をつけた。
そうして少し食べ進め、リラックスができたところで自己紹介するかという流れになった。
「この度は、ボクを生徒会に誘ってくださってありがとうございます。
改めて自己紹介しますと、平山柊 (ひらやましゅう)です。
名字と名前の漢字のひいらぎとで、中学ではヒラとか呼ばれていました」
「ヒラか、ちょうど良いかもしれないな」
書記がそんなことを言う。
「と、言いますと?」
ヒラの頭に疑問符が浮かぶ。
「生徒会では役職で呼び合う慣習(?)があるんです。私は二年の会計、こちらのごつい人が三年の書記さん。そしてこの方が我らが副会長」
「そんな感じなのでな、平役員という意味も込めてのヒラと言うのはどうだろうか」
「ボクの方は慣れているので、それで問題なしです」
「役職は結局付けないのですか?」
これは会計さんの発言だ。
「とりあえずオールマイティにやってもらうということで、それでいいだろう。
すまないな、誰でもいいというわけではないので人材不足でな」
「いえいえ。では今年は誰も入会されてないので…?」
「そうですね、声をかけた人物はいるのですが、断られてしまったということもあったので…」
「そんなこともあるんですねぇ」
「誰だ?」
「ああ、書記さんはその場にはいなかったから知らないと思いますが、えーと、名前が思い出せない…。
眼鏡で、小さくて、髪がツインテールの片方バージョン的な」
あいつか!
こないだ球技大会で戦った、その後も何かと張り合って来たやつ!
「あれか、球技大会で最後やられたやつか」
「その子です!」
どうもアイツとはウマが合わない。
団体に入る以上、誰と一緒に仕事をしようが手を抜くつもりもないし、うまくやっていくつもりではあるが、
それでも、ここにやつがいないことに安堵する自分がいた。
「お前(副会長のこと)が誘ったのなら間違いはないのだろうが、惜しいことをしたな」
「そうだな、だがやはり自由だからこそ自分たちの意義もでてくるし、妨げられんよ」
そう言って副会長はフッ、と笑った。
その顔がなんだか美しく見えたので、失礼ながらまじまじと顔を見てみる。
美しく切りそろえられた枝毛すら無さそうな艶のある黒髪、。
銀縁の眼鏡の奥には二重の瞼に長い睫毛。整った大人っぽい顔立ち。
一見、眼鏡の印象で隠れがちだが、美人といっても差し支えないだろう。
時折見える耳のピアスも気になる。
大人っぽいと言えばそうかもしれないが、そういった身だしなみという領域を超えて自分を飾る、
という行為に興味がなさそうなので少々違和感を感じる。
だがそこにミステリアスさが醸し出され、清濁併せたような大人の色気のようなものが見えてくる。自分で言っててよくわかってないが。・・・どうでも良いが椎茸を取る動作も様になっている。
それと比較すると自分の容姿がなんて子供っぽいことか。
低い身長に大きい目、おでこが丸見えの短い前髪。
いや、決して髪を長くしようが大人っぽくなるわけはないのだが、どうしても比べると幼さが際立つ。
一応自分なりに機能を追求した結果、そういった身なりをしているのだが…。
髪と言えば、隣に座っている会計さんも美しい髪をしている。
とにかく目を引く長い黒髪。ここまで長いと手入れも大変だろう。そしておかっぱのような前髪。
自分は髪が視界に少しでも入るとうっとおしく感じてしまうのだが、
恐らく彼女はそういうことが苦にならないのだろう。
もしくは普段から細目で中々目をしっかり開くことが無いので、視界に入ってないのかもしれない。
反対側の隣に座っている書記さんも特徴的な容姿だ。
まず坊主頭であるし、眉毛太いし、ごついしでかい。
もし髪がふさふさであるなら、まるで熊のようだと思った事だろう。
特徴的な面々が揃っているので、自分がこれから生徒会としてやっていけるか少々不安になるが、
流石に見た目で選んだわけではないだろうから、大丈夫と思う。思いたい。
「そういえば、皆さんの話を聞いていてふと疑問に思ったのですが、生徒会長ってどなたなんですか?」
ヒラが質問すると、場がしんっと静まり返った。してはならない質問だったのだろうか。
「隠しているわけでもないのだがな、まぁそのうちわかるから気にしないでおくとよい。
それでも気になるのが人の性というものでもあるから、今はいないと言っておこう」
「そうですか」
留学でもしているのかなと思ったヒラである。
実際には言葉通り、生徒会長なる人物が今は存在しないのであるが、それがわかるのはもうちょっと先の事であった。
今まで自分から発言することが余りなかった書記さんが手をあげる。
「今は挙手は必要ないぞ」
「・・・ああ。こないだの試合で何らかの運動をやっていたのは想像に難くないが、
今までのスポーツ経験を聞こう」
「書記さんは運動部のとりまとめ役もしているので、そういうことに興味があります」
会計さんが補足をした。
「はい、えーと」
と思いヒラは考えを巡らせる。
実際のところ、中学でも部活動をしていないし、小学生の時ですら何かをやってきたわけではない。
しいて言うなら、ずっと実家の周りの山をおじいさんに付いて走り回っていたくらいだ。
いのししに追いかけられたり、一番高い木に登っていたりもした。
かと言って狩猟とかを教えられたわけでもないし、
おじいさんは何がやりたかったのかもいまいちわからない。
以前そんな話を友人にしたら、おじいさん天狗だったんじゃない?とか言われたこともある。
実際の天狗を見たことないからわからないが、確かに年齢にそぐわぬ身のこなし思い返すと元天狗とかだったのかもしれない。
「おーい」
会計さんに顔の前で手を振られていた。
いかんいかん。
「ぱ、パルクールですかね?」
パルクールとはその辺を走ったり飛んだり跳ねたりする競技だったはず、
そう考えると当たらずとも遠からずなはずだ!
「ほう、なかなか先進的な競技をやっているのだな」
副会長はそう言いながらなるほどというような反応をしている。
「球技大会のサブマリンという技も中々の威力だったな」
そう言われたので川での水切りから着想を得たという話をした。
「だがそれだけではあるまい。
その後の試合で決勝まで残った一年、先ほど話した人物だな。
それが似たような技を使っていたが、お前のようにはいかなかったように見えた」
書記さんは無口なのかと思いきや、運動のことになると案外しゃべるなぁ。
「えと、それはですね、
まず低空ショットは取りにくいは取りにくいですけれど、ジャンプして避けれやすかったり、
バウンドする可能性も高くなります。
ただジャンプしたなら、ボールが二個使用だったので避けたところを狙い撃ちする。
ということも有効かと思い使用しました。これはサブマリンを使ったシンプルな理由ですね。
もう一つ、地味ですがボクのオリジナルがありまして、
ただ足を狙うのではなく、その時の相手の重心を意識するんです。
それをうまく利用すると避けるのが一瞬遅れるので、逃げ遅れやすくなるんです」
「なるほどな、相手をよく観察することが重要ということだな」




