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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
本編
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学園荒らし ミステリー部編 3



 夜、大方の生徒が帰宅してからミステリー部はひっそりと動き出す。


「とりあえず見回りですか?」

「そうだな、近くで存在を一度感じたからわかるんだが、

今回の幽霊は反応がか細い。いつもよりずっと距離を縮めないと存在を感知できないようだ。

その辺りも注意してもらいたい」

「なるほど、それといたずらへのけん制も兼ねる感じですかね」

「いや、それはおそらく気にしなくても大丈夫だと思う。

ある程度近くに人間がいるときにいたずらをすることが多いところから、

気付かれたいという感情もどこかにあるはずだ。なので今の校内状況を考えると、

誰もいない部屋でちまちまいたずらなんてしないんじゃないか?」

「ああ、わかるわかる。相手の反応を見るのも楽しいもんなんだよな。

誰もいない時にやったって楽しくないもんな」


 ふむ、意外と今回は鳥居がヒントを投げている気がする。

子供は子供の気持ちがわかると、そういうことか?


「油断は禁物だが、危険も少なそうだしとりあえず分かれて探すか」


 水神と学&泉チームに分かれて捜索を提案する。


「その感じなら一人一人に分かれて探せばいいと思うんですが」


 泉は頬をふくらませてそう言った。

 本人の意思に関係なくジャンプ(空間跳躍)してしまうことを本人は理解していなく、

どこか行ってしまったらそれはそれで面倒であるし、

こういった霊的なものに対しての知識や判断はそこそこ頼りにしている。

 なので、なんとか上手いことなだめてこの組み合わせで活動を進めることにした。



 - - - - -



「逃がしたか…」


 口には出したものの、そもそも捕まえる道具も方法もまだわからない。

 幽霊なら元は人間だから捕まったと認識させれば、

確保することができるかもしれないが…。

 せめてもう少し様子を見たいのだが、見つけた後の逃げ足が速すぎて、

観測が十分とは言い難い。


 そうして部室に再び集合した三人。


「ん~、なんか思ってた感じじゃないな~」

「どういうことだ?」

「さっきした話だと、気付かれたい願望でいたずらする。だったろ?」

「そうですね」

「それにしては実際に現場に到着した瞬間にいなくなった気がする」

「つまり、もっといたずらの反応を見ていてもおかしくないと?」

「うんうん」

「確かに、この短時間で皆観測できているという手数も尋常じゃないかもな」


 皆、どうしたものかと考え込んでしまう。



「なぁなぁ、相手はおそらく子供なんだろ?」

「多分な」


 学は少し考えこみ


「ねえねえ泉ちゃん」

「はい、なんでしょう」


 学が泉に何やら耳打ちする。


「ふんふん、わぁっそれはいい案かもしれませんね!」


 泉が学の案に自分の両手の平を合わせてニコリと賛同する。


「なんだ、こっちにも聞かせろよ」

「先輩はよう、そういうこと自然にできなそうだから、あっちいってろよ」

「なんでだよ!」

「まぁまぁ、でも気付かないふりをして他の事をしていてくださいね」


 仲間外れにされ、水神はしぶしぶと言った表情で別の事を考える。


 すると学と泉の二人は、何やら準備をしだす。

 部室の外にも出て、

 購買部で出た食品や消耗品などの段ボールを大量に部室に運び込んでいる。


「よーしやるぞー!」

「おー!」




 ○ ○ ○ ○ ○




 途中まで作業が進んだところで、水神も二人が何を作ろうとしているか気付く。


「自分も手伝っていいか?」

「先輩は本でも読んでろよ」

「なんでだよ!」

「まぁまぁ」


 概ねいつもの掛け合いである。

 幽霊を追っているとは思えない緩さである。結局楽しそうで水神も参加した。

 


 途中、鳥居はトイレに席を立つ。


「早く帰って来いよ」

「まじでそれな」

「いや、お前に言ってんだが」

「俺も俺に言ってんだよ」

「どういうことですか?」

「俺が一番完成を楽しみにしているってことさ。あ、ついでに自販機でのみもん買ってくるわー」


 鳥居が出ていく。


「あいつ、感覚だけで生きすぎだろ…」

「それがいいところなんじゃないですかねー」

「まーな」





 そして完成したのは段ボール迷路であった。


「できた!」


 さすがに製作者が高校生だけのことはあり、

分岐の多さや、緩やかなカーブ、縦方向と中々の大作である。

正直幽霊のことは忘れ、真剣に遊びを楽しんでいたと言えよう。


「この分岐の設計は中々自信あるぞ。もし出合い頭になっても問題なくルートを変え移動できる親切設計だ」

「いやいや、それただ分岐が多いだけじゃんよ~。それよりも俺のこの迷路を見てくれよ、

ペンで書いた迷路を実際に再現してみたんだぜ!」

「それにこだわりすぎて一本道になってるから迷路といえるのか?

やたら場所取っているし」


 学が言っているのはペロペロキャンディみたいなグルグルした部分のことのようだ。


「私の立体迷路はどうですか?縦方向は机を下に置いて強度を持たせることで実現させて、

高架下も使えるエコな仕様ですよ!」

「いやーこれはなかなかだね~泉ちゃん!」

「確かに斬新ではあるが、上りは立って上に行けば良いが、下りは頭から落ちるのでは?」

「・・・なるほど」


 あ、落ち込んだ。



 気を取り直して、試しに二人して遊び始める。

水神も参加するが、作る段階で大体の位置を把握しているので、

狭い段ボール迷路内とはいえ、自分の現在地は理解している。

 ゲームなどでミニマップが表示されているようなものである。

なので例の上り下りの場所には近寄らないようにした。


途中ゴツンゴツン大きな音がした。

そのたび学の痛ててという声が聞こえたので。頭から落ちたのだろう。

一度で済まないとは学習しないやつめ。


 少し遊んだところで一旦集合して、弱い部分の補修や、

改善点を提案しあった。


「でもやっぱり私の構造間違ってないと思うんですよ?」


 いや、学のやつは頭から落ちてたぞ?


「だって、上った記憶はあるんですけど、落ちた記憶がないんですもん」


 それはアレか?この空間内でジャンプしたってことなのか?

確かに、互いに目視できないという条件は整っているが。



 ともかく、直すところを一通り直し、今度は遊びの本番である。


 正直に言えば子供の遊ぶものだと思っているのだが、

自分で作り込むと愛着も湧いてくるし、

何回もグルグルと回っていると、理由は分からないが段々とハイになっていき、

学や泉なんかは大声でしゃべったり笑ったりしている。

これも遊びは遊びだが、一種という儀式みたいになっているのかもしれないな。

 っと、来た!



 幽霊センサーと言うべきか、水神のそういった直感がか細いながらも反応した。

 自分がわかるくらいだから多分泉も気付いているだろう。

学のやつはどうだろうか、まだ気づいてないかもしれない。


 だが二人はそんなことはお構いなしに、ただひたすら遊び続けている。

確かに捕まえるったってどうすりゃいいのかわからないし、もうどうにでもなれ!



 途中、段ボールの切れ目がボコッと開く音がした。

その音を聞いて三人とも、のそのそと段ボール迷路の中から外に這い出して来る。


「あーあー、こんな密室にいるとたまに外が気になってくるよなー。わかるわかる」


 おそらく子幽霊がやったことだろうが、普通に話しかけるように学が反応する。


 気のせいかもしれないが、相手の感情みたいなものがわかる気がする。

 泉の方を見ると同じ事を感じた様で、はっとした顔をしている。


「じゃあ、もう一遊びするか。その前に水分とってな」


 二人を見ても通気性の悪い狭いところで全力で遊びすぎて、顔が真っ赤である。


「オッケー、もうひと勝負だ!」


 何と勝負するんだ何と。





 - - - - -



 そうして、夜明けまで段ボール迷路に夢中になっていた三人と一人(?)


 さすがに遊び疲れて、学と泉なんかは息を切らせて部室の床でゴロっと転がっている。

水神の場合は次はこういう構造にしようか等、段ボール迷路を進化させることに心を傾けている。

だがそれを書き込んでいるのが生徒会に提出する報告書なので、疲れていることが見て取れる。


 ふと水神が何かに気付き立ち上がり、

カーテンを開ける。朝日が部屋に入ってくる。


「朝か」


 その朝日に照らされて、子供の幽霊の姿が淡く薄っすらと見え、そして消えた。

もう二度と見えることはなかった。




 - - - - -



 その日の放課後。


「ほら、相手は子供だっつーからさ、子供って誰か夢中になって遊んでいると自分も遊びたくなるだろ?

だから楽しそうにしてたらよって来ると思ったんだ」

「あと先ほど先輩が言っていた、一連の行動について、

気付いてほしいんじゃないかっていうところについてですが、

でも他の人は悪戯の結果だけは分かっても姿は見えないし、触ってもくれない。

なので存在を認めるような行動が取れれば、満足してくれるんじゃないかと思ったんですよ」


「なるほどな、まず捕まえるのではなく来てもらうということか。

そして解決までイメージしているとはな。ま、今回はおまえらのお手柄だ。

特に学、自分が子供だからわかることもあるってことを思い知らされたぞ」

「それって褒めてるんだか、けなしてるんだかわかんねぇよ」

「褒めてるつもりだぞ」

「全然そういう風にきこえないわ…」

「まぁまぁ」




 三人の心の中には最後に見た、子供の幸せそうな寝顔が刻まれている。





 - - - - -



 そうそう、ミステリー部が解決したという話がそのうちに未来の耳に入り、

その後水神の事を未来は幽霊博士と呼ぶようになったのであった。


「自分が解決したわけではないんだがな」


 水神はそうぼやいたのだった。


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