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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
本編
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学園荒らし ミステリー部編 2



 今日の活動について、

このミステリー部の部室を含め、

司馬未来から聞いた他の部が荒らされたことを二人に周知し、

その解決を目指す、ということにした。


「不思議なことというのは生ものですからね、すぐに対処しないと一瞬で消え去ってしまいますし、

良いかと思います」

「例外もあるけど大体そうだよなー」


 その例外というのは、この学園の森に一年以上前から観測している霊がいる。

実際はもっと前からいると思うが、見ていないのだから知る由もない。


「それで、水神先輩としちゃあ犯人の目星はついてるんじゃねぇの?」

「ま、おそらく幽霊の仕業だろう。しかも子供の幽霊だな。小学生前くらいか?」

「そういう技術があるかはわかりませんが透明人間とか、それかかまいたちのような見えない妖怪という可能性はありませんか?

あとは…認識阻害ができる妖怪とかいればそういったモノとかですかね」


 妖怪の可能性を考慮する辺りが流石だなと思う。


「いや、それはない。俺はずっとその場にいたからわかるんだが、

まず部室の扉が開いた様子はなかった。つまり物体的に透過して入ったということだな。

完全な透明人間で仮に物体的にも透けていたら、そもそも本も触れないだろう。

それすらも自由自在に変えられるというのであれば別だが、人間にそんな技術があるならこんなところで油売ってないで、もっととんでもないことができるんじゃないかと思う。それこそ戦争すらなくなるんじゃないか?」

「こんなところで油売ってるくらいがちょうど良かったりしてな」

「それも一理あるかもな。悪意を持ったやつに利用されるよりはよっぽどいい」



「と、まぁここで話は元に戻すが、荒らされたのがだな…この写真を見てくれ」


 水神は片づける前に撮っていたデジタルカメラの画像を二人に見せた。


「荒らされたのがこの三段目まで、ということから考えて手の届く範囲の身長だったという風に考えた。

自分の知っているかまいたちなら、本の重さなどによっても荒らされ方が変わってくるだろうし、

認識阻害を持った妖怪なら、そもそもこちらが気付けていない可能性の方が高いな」

「例えば幽霊だとしても、単純にここまでで飽きたってことはないか?」


 学も意見する。


「いや、ここまで徹底的にやったところを見ても、やれるんなら全部やっていたと思う。というか自分ならそうする。あとは根拠がなくて申し訳ないが、その場にいたからこその意見だと言っておく」

「ふ~ん」

「意外と水神先輩もいたずら心があるんですねぇ。

しかしこうして考えて見ると確かに、悪意…というよりはいたずら?というような感じがするかもしれませんね。

そうなると子供というのも分かる気がします」


 直感的だが、水神とは方向性の違う意見で。解の補完をしている。


「まぁそれに幽霊の仕業ともなれば、まだ楽な方かもしれない」

「どういうことだよ」

「例えば仮に透明人間の仕業だったとしよう。

すると、普通の人間が透明になっているという可能性と、

もう一つ、妖怪の亜種で、透明人間という存在の可能性がある」

「ふむふむ」

「妖怪の方だった場合、人間とは違う存在であるわけだから、

そもそもの思考回路、行動原理が違ってくる可能性がある。

そうなると先回りもしづらいし、予想外な危険などもあり得る」

「そっか、人間ベースなら大体の欲求や目的なんかも想像つくってわけか」

「普通の人間が透明人間になったor透明になる科学力を得たという意見は先ほど説明した通りだから省くぞ」

「ある種ロマンだけどな~」

「ロマンってどういうことですか?」


 鳥居がうっかり口にしたことを、泉が純粋な好奇心で質問してくる。

 きっと頭の中では、や、やめてくれ、そんな目で見ないでくれ泉ちゃんとか思っていることだろう。

 しどろもどろで詰まりながら返答しているが、身から出た錆というやつだな。

 そうして無駄に押し問答を繰り返していると、泉は気付いた。


「はっ、つまりはこういうことですね!

透明になり存在を消すことで、例えばエリア502のような一般人には未知の施設に潜入して、

調査できると、そういうことでしょう!?」

「あ、うん、はい。…もうそれでいいや」


 学のやつには泉は持て余すな。






「アレ?」


 鳥居が何か思いついたのか、声を上げる。


「そういやさ、今は“いい時間”だけどさ、

多分その幽霊明るい時間から活動しているだろ?

幽霊とか妖怪とか、夜とかじゃないと活動できないんじゃないのか?」

「たしかに、言われてみると私もそう感じますね」


 鳥居の意見に泉も同意する。


「それなんだがな、

まぁ可能性の話と思って聞いてくれ。

この世のものではないというくくりで、幽霊と妖怪は同じものとして捉えるとする。

妖怪はそもそもの成り立ちが違うものなので、元々別世界の住人かもしれないが、

幽霊は人が死に、その後、すぐには妖怪と同じ性質のモノには成らないのではないかと思うんだ。

言葉だけの話だろうが、仏教でも成仏するまで49日かかるというような話もある。

つまり人としての生を終え、妖化する前、今まさにその間にここに来たのではないかと推測する。

その論理であれば、朝だろうが昼間だろうがこの世界で活動できても何らおかしくないだろう」

「若干こじつけのような気もしますが…」


 泉が鋭く突っ込んでくる。が、まぁその通りである。

しかしミステリー部で活動する以上、仮説やその検証といった柱が無いと、

例えば幽霊を捕まえるなどのような、大雑把な行動しかできないので無駄に時間を費やすことになる。


「走り幅跳びの助走みたいなもんか」

「脳筋らしい良い例えだ」

「いやぁ褒められると俺照れちゃうよ」

「学君、たぶん褒められてないですよ…」


「行動原理に関しても、だからこそ生きている人間に気付いてもらいたい願望などもあるのではないかな」

「ふむふむ、その意見は腑に落ちますね」

「それか習慣でやっていることだとかなー」


 習慣か。そう考えればやはり子供の幽霊の可能性は高いのかもしれない。







 そうそう、ふと思ったことを二人に聞いてみることにした。


「そういえば司馬のことなんだが、

家庭菜園部というところに所属しているらしいが、

何をやっている部活なんだ?」


 端的に言うと、何か違和感を感じる。

今回の事件に関して、荒らされたのが知り合いの部活でそれを心配しての行動。

と捉えられなくもないが、それ以上の目的があるのではないだろうか。


「普通に野菜とか育ててるって聞いたなぁ。

それとこないだ育てた野菜を喫茶店部と取引する契約をしたと言う話とかさ」


 答えたのは鳥居である。


「お兄ちゃんからもそう聞いてますね」


 これは泉だ。

そうか、本人とは関わりはないが、森野拓も家庭菜園部の部員、というか部を創立した人間だったな。


 それを聞いて、ますます違和感が広がる。

軽く森野拓という人物の性格を耳にしたことがあるが、自分から進んでそんなことをするとはとても思えない。

となればだ。

…その違和感を頭の中でまとめる。

まだ仮説の段階だが、決定的な情報はまだ持ち得ていないので今のところはこれで良い。

頭の片隅にその仮説を置いておき、今回の事件の解決に意識を戻すことにした。



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