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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
本編
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球技大会 3

 〇登場人物その3〇


・衣笠螢(ホタル先輩)

三年生、購買部副部長。普段はおっとりしているが、嘘か誠かそれは部活の為の打算らしい。

部活の影響もあるのか損得勘定で行動を決定しているような気がする。


・焔 淡(焔先輩)

三年生、喫茶店部部長。あくまで喫茶店なので部長じゃなくてマスターと呼んでほしいらしい。

真面目で融通が利きにくいが、一生懸命な人には優しい。


・水神震

三年生、ミステリー部の部長。計算や理論などを考えるのが得意。

だが意外と思考は柔軟で、後輩の突拍子もない意見を取り入れたりする面も持つ。


・森野泉 

一年生で鳥居と同じミステリー部所属。鳥居が惚れてるらしいが、本人は全く気付いていない。

ただ鈍いだけなのか、興味がないのか…。




 - - - - -




 ドッヂボール一回戦目が終わった後、

次の試合まで少し時間があったので未来は他のクラスの試合を見ていた。


 ミステリー部の水神先輩のクラスと購買部のホタル先輩のクラスがぶつかり合っていた。

ホタル先輩のところとなると、喫茶店部の焔先輩のいるクラスかな。

 小倉と同様、焔先輩はどうやら出場しないらしい。こういうの得意そうだけれど、やはり仕事のピークには体力を温存しておきたいか。仕事人間だしなぁ。

 逆に意外だったのが購買部のホタル先輩だが、

普段のおっとりしたイメージからは似合わず、雄たけびを上げながらボールを投げたりよけたりしている。


 ・・・自分が相手じゃなくて本当によかった。

いつものイメージがあるから、あんなんいきなり見せられたらびっくりして避けらんないわ!


 結果はと言うと、水神先輩のクラスが勝利した。

ホタル先輩は奮闘していたが、水神先輩のクラスのチーム戦略がそれを上回った。

堅実にポイントを上げていく感じだったので、面白みには少し欠けるが…。


 しかしこうして見ていると、本当に知り合いが増えたなぁ。

応援しようにも、両方のチームに知り合いがいるなんてこともあるのでうかつには応援しづらい。

そんなことを思った。



 どうでもいい話だが、この試合の後、

何故か購買部にホタル先輩目当ての入部希望の部員が増えたそうだ、男女ともに。

しかも怒ったりするとちょっと喜んだり、お姉さまとか呼ばれたり、ちょっと扱いに困るとか言っていた。

 世の中には変わった人がいるもんだなー。




 さてさて二回戦目は同じ一年生の別の組だ。

ストレッチをして体を温めながら開始に備える。

 一回戦ではどうやらその組と、森野拓の妹の森野泉のクラスとぶつかったようである。

 最後の方だけ見たが、森野泉は当てこそしないものの決して当たらず、

かと言って必死で避けているわけでもなく。終始優雅な動きであった。

ただ惜しくも制限時間いっぱいで判定負けを期してしまったが。


 そのせいか、未来の上司である拓からは負けるんじゃねぇぞと脅しをかけられている。

言う通りにするのもなんだか癪だが、もちろん負けるつもりもさらさらない。

 まぁ先輩の顔を立てて、いっちょやってやりますか。


 自分達と当たるその相手のクラスは、

どうも取り仕切っているのが自分と同じくらいの身長の子であるようだ。

いや少しだけ向こうの方が高い気がする、同じくらいの微妙な誤差を測れる未来eyeはごまかせない。

 そう咲ちゃんに言ったら、なんか語呂的にドライアイっぽいねとか空気を読めない発言をされた。

貴様も同じくらいの身長のくせに、髪型でごまかしおって!


 話を戻して最初は少年かと思ったが、どうも女の子らしい。

と言うのも髪がショートボブの長さではあるが、前髪はおでこが見えるくらいの短髪なのである。

それとこう言うのも失礼かもしれないが、ハーフパンツから見える足の筋肉のつき方が、

女子のふくよかな感じではなく、少年の少し筋張った感じなのである。二次性徴はまだであろうか、って言うとただのセクハラおやじみたいだが。



 一回戦とは違いお互い身体も温まっていたせいか、しょっぱなからの潰しあいである。

最初のお互いの球の投球で一人づつ減っている。

 一気に勝負を決めに畳みかけたいと思った鳥居が、前半から必殺球を繰り出す。


「いっけーーーーー!ファイヤートルネーーーードサンダーーー!!!」


 鳥居の必殺の無回転ボールが例の少年少女のところへ飛んでいく。



 がしぃいいいいい 

 しかしガッチリ両腕と、無い胸で受け止められてしまった。

 砂煙が辺りに舞う。


「ふぅ、流石ですね。ファイヤートルネードサンダー、中々の威力です!」

「なにぃ、受け止めただと!?」

「技名を口に出すのは恥ずかしくないですかね?」


 そういう未来の発言に対し、少年少女はキリっとこちらに顔を向け、


「ボクはそうやって自信をもって技を繰り出すのは素晴らしいと思います」


(ボクっ娘!?)←未来の反応


「そうかな~」


 鳥居は褒められたことに照れている。


「ファイアートルネードサンダーは言うならば蝶であり、

蝶ならば点でもなく面でもなく、三次元で包み込むように捕まえるのが有効です!」


 案外よくしゃべるな、このボクっ娘は。


「さて、キミの全力にお答えして、ボクも本気で行かせていただきましょう!」


 何やら熱い戦いが始まっているぞ?


「決勝戦まで温存するつもりだったこの球、受けてみよ!唸れ!サブマリーーーン!!」


 先ほどまで余裕があり、少し眠たげだった目が見開き、

そして極端に身体を低くした状態からの、サイドスローで手からボールが放たれる。


 地を這うように球が自陣を襲う!


 こちらの味方に当たり、そのボールがさらに別の味方にヒットする。

ダブルヒットだ!!


 因みに二つ目に当たった味方は咲ちゃんである。


「くっ、サブマリン!超低空のボールでキャッチしづらくする技ですね」


 解説ありがとう咲ちゃん!でも当たらないでくれると嬉しいな!


「厄介な技だ、しかもダブルヒットとはな」

「言葉だけ聞いてると誰のセリフだか分からないですよ?」


 未来は鳥居のセリフにつっこんでおく。真面目なキャラはこいつには似合わん。


「ダブルヒットは神の思し召しです!」


 ボクっ娘は二人狙ったわけではなかったようだ。



 そのダブルヒットを皮切りに主導権をにぎれないまま、相手優勢で未来と鳥居が二人になってしまった。

 サブマリンの餌食になって星になった人間が数名。サブマリンをジャンプで避けたところを狙われてやられた人間が数名。このスコアだけ見ても確かに彼女が相手のクラスの中心人物だと言えよう。


 なんとかこちらも奮闘はするが、現在2:3でさらに相手にボールが二つ渡ってしまった。


 二人とも何とか避け続けるが、途中かなり追い込まれ、頼みの綱の鳥居が集中的に狙われる。


「くっ」

「なんとかチャンスがくるまで避けてください!」

「分かってるよ!」


 なんだ?相手チームが何かひそひそ話し合っているぞ、悪企みをしているに違いない。

しかしボールが相手に二つある状況で、こっちには避けるか取るかしか選択肢はないけれども。


 相手の男子の一人が投げる直前に叫んだ。



「あっ!後ろに宇宙人がいるぞ!」


 ・・・。


 そんな手に乗るやつがいるか?


「えっどこどこ?」


 バカーーーーーーーーーーー!!!!


 鳥居が後ろを振り向く。その隙に相手が球を投げる。


「わわっ」


 鳥居はなんとか避けたものの、大きく態勢を崩してしまった!やばい!


「今だ、チャンスです!」


 同時に二つの球が、不安定な体勢の鳥居に襲い掛かる!


「学くん、がんばれー」


 未来がもうダメかと思った瞬間、

異様な体勢で両方のボールをキャッチした。

 ・・・関節どうなっているんだ?

なんかだまし絵でも見ているような気分なんだけれど…。



「ふぅ、危なかった」


 その一瞬後には普通だったので、あれは見間違いだったかもしれない。


「今のを取るんですか!?」


 ボクっ娘も驚いている。


 ヒュン


「うわっ」

「ぎゃっ」


虚を突かれた相手チームの、ボクっ娘の隣にいた男子二人が同時に倒される。

もちろんボールを投げたのは鳥居だ。


「時間切れだ!1-Aの勝ちだ」


相手に当たったボールを鳥居が拾い上げ、

指の上でクルクルっと回転させる。


「へへ」


 テレビドラマとかなら、鳥居に皆で突っ込んでおしくらまんじゅうにするか胴上げするところなのだろうが、

 さっきのおかしな動きといい、この勝ったぜみたいなポーズといい、

なんだか躊躇させられる。鳥居だし。


 まぁ、そう言うのは優勝した時に取っておけばいいか、うん。



 □ □ □ □ □



 試合の後、彼女はそのままコートから離れずにいた。


「くっ」


ボクっ娘は本当に悔しそうに、地面に手と膝をつけた。

校内の球技大会でここまで感情を露わにする人は初めて見たぞ。

そんなにお金が欲しかったのだろうか?万年金欠の未来としてはちょっと同情してしまう。


「惜しかったな。お前に足りなかったものは何かわかるか?」


 ボクっ娘の前に一人の影が現れた。

鳥居である。傷口に塩でも塗る気か…?


「ボクに?仲間・・・いや、彼らはよくやってくれましたし…。

ボク自身の力が足りなかったのでしょうか…」


 鳥居は真剣な顔で首を横に振る。


「お前に足りないものは」

「足りないものは…?」

「“愛”だ!!」


「愛!?」


 二人はこちらを見た。しまった、思わず口に出してしまいこっそり見ていたのがバレてしまった!

が、二人とも目線を戻す。いいのか!?


「俺は泉ちゃんの応援の力でお前等のクラスのボールを受け止めることができた!

ただそれだけの差だったのさ。それが全ての明暗を分けた、な」


そうか、あのピンチの時になんだか聞こえた声は泉ちゃんだったのか。

いや、だからといってそう説いてもさ、常人には真似できないよ?



しかしボクっ娘にはなにかしら響いたのか「愛…」と呟き一点を見つめていた。





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