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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
本編
66/210

球技大会 1

〇登場人物〇


1-A組


・司馬未来

家庭菜園部所属。家庭菜園部の裏の顔である学園を護るという職務はあるものの、まだ出番はなく、

ガラパゴスゾウガメの着ぐるみを着ての特訓しかしてないので、現在血の気が余り気味。


・土屋咲

新聞部所属。髪型を一言で表すと葉の伸びた玉ねぎ。特に苦手なものもなく、得意なものもなく、

幅が広く底は中くらいか浅い。同じ新聞部の先輩である、霧島のファンでもある。

それが人生で初めて夢中になったものかもしれない。


・鳥居学

ミステリー部所属。同じ部の森野泉の事が好き。考えるよりも感覚で動く。

頭は良くない。でも案外気はいいやつ。




 - - - - -



 

 朝、いつもより早く目を覚ます。


 いつもより丁寧に身だしなみを整える。

 いつもより丁寧に髪をブラッシングし、

 いつもと同じように髪を頭の片側にまとめて結ぶ。

 いつもと同じように丸いレンズの眼鏡をかける。


「よしっ」


 この朝のルーティンについて、

司馬未来は高校以前の事を思い出していた。

 そもそもの話ではあるが、このサイドテールというのだろうか、

頭の片側だけで髪をまとめるということは普段からはしていなかったのである。

 中学の陸上の大会などでたまたまこの髪型をしていた時に成績が良かったため、

ゲン担ぎの意味も込めて、大事な日はサイドテールにしていたのである。


 そして高校生になり入学式はもちろんのこと、

その後も部活巡りだのなんだので緊張感が解けない日々が続いたため、

結局のところ常に実装することとなり、最早トレードマークともいえる状態になったのである。


 とは言えどもだ、友人の土屋咲などは、自分とは比較にならないほど目立つ髪型なので、

むしろあれでよく耐えて生きていられるなぁと思っている。

おそらく恥ずかしいという精神がぶっ壊れているのだろう。もしくは元々無いか。


 こういう様に友人に対してアタリの強いことを良く口走るが、

これは一応未来なりの親愛の気持ちの表れである。



 履きなれて動きやすい靴を履き、

家を出て、

そして一歩一歩確認するように歩く。


 よし、疲れは残ってない。身体も重くない。


 歩きながら体の隅々まで神経を尖らせ、

血管が全身を流れているようなイメージをする。


 この緊張感懐かしいな。



 □ □ □ □ □



 その日は全学年クラス対抗の球技大会であった。


 登校するなり、クラスの中が熱気に包まれている。

普段の気だるげな朝と比べ、入っただけで空気の違いが読み取れる。

 特に熱気があるのは隣の席のやつであろう。


「よっし、優勝するぜぇ~!」

「未来ちゃん、頑張ろうね!」

「二人ともやる気満々ですねぇ、私は家庭菜園部の部活で眠いし体がいたくていたくて」


 他より人一倍朝からやる気であった未来がこんな態度なのには訳があった。

試合だからと言ってずっとやる気をみなぎらせていたり、緊張感に包まれているといざ本番という時に疲れてしまい、力を発揮できない。

なのでギリギリまではこうしてグデグデとするのである。要するに緊張と緩和が大事なのである。


「家庭菜園部って、…そんな遅くまで部の活動あるの?」


 土屋の素朴な疑問に未来はぎくりとした。当然のことながら、学園を秘密裏に護る団体である家庭菜園部は裏の顔であり、生徒たちにバレてはいけないのである。


「あ、朝ですよ、植物の早朝は早いんです!」


 焦って早朝は早いとか繰り返し言葉を使ってしまったが、二人はあまり気に留めなかったようだ。


「そんなことよりも咲ちゃん、今日も変わった服着てますねぇ」


 未来は話題を変えることにした。

 咲が着ているヒラヒラしている長袖のシャツにはパンダ兄弟と書かれていて、パンダが二匹、竹を持ってカンフー的な動きをしている。こういうフワッとした服装をしょっちゅう着ているなぁと未来は思った。


「これは私のやる気を表しています」


 と言って奇声を上げながらそのパンダと同じポーズをとった。

自分もそれにのってもう一匹のパンダの動きをまねる。


「しっかし一人一万円だなんて生徒会も太っ腹だよな」


 このコンビネーションに何も触れないのが鳥居クオリティだ。


「一応本当のお金は問題になる可能性があるからって、校内で使える商品券みたいですけどね、今回試しに導入して良さそうであれば文化祭の時にも活用するらしいですよ?」

「ほうほう、色んなこと考えるもんですねぇ」


 そう、今日の球技大会にはなんと賞金が出るのである。

だからもうみんなここまで本気なのである。


 前述の通り、校内専用の商品券ではあるが、この学園では通称コンビニと呼ばれる購買部の売店や、

他にも様々な部で商品なども作っているため、おそらく通常の学校と比べても買えるものは幅広い。

なので限定の商品券と言えども、金欠の学生たちにはお金と何ら変わらないのである。



「ちなみに一応賞金がかかっているので、公平になるように部のない球技が毎年選ばれるそうですが、今年は何でしょうね?ちなみに私のメモによると去年は、インディアカだったそうですね」


 土屋咲はメモを取り出しそう言った。

 そんな知的な役回りだったっけ?


「インディアカってなんだ~?」


 鳥居がそう言う。


「インディアカって言うのはインディアンからきた言葉でして、

各自頭に巻いたバンダナに鳥の羽をくっつけといて、それを取り合う競技です」

「未来ちゃん…」

「なんかサバイバルって感じだなー」


 適当に言った嘘八百を鳥居は信じているようだ。

咲ちゃんが何か言いたそうにこちらを見ているが、知らないふりをしておこう。

訂正しないところを見ると、どうでもよいのだろうし。


「あ、でもそうなるとカバディとルール大体同じじゃね?」

「カバディってどんな競技でしたっけ?」

「いや、私に振られても、カバディって言い続けるくらいしか知らないよ…?」


 咲ちゃんは困っているようだ。


「そうなるとインディアカは球技じゃなくね?」


 ・・・ばれた?



 細かい話になるが、部活などによる制限で練習時間の差ができすぎないようにと、生徒会の気遣いもあり、球技は今朝の試合前に発表することになっている。

 また、運動がどうしても苦手な人もいるので、人数は各クラス10名となっている。

 もちろんその中に、この三人。司馬未来、鳥居学、土屋咲は入っている。

 しかしここもミソで、参加していないクラスのメンバーにも優勝賞金は贈呈されるのである。

そのことによって応援と言う意味で参加できるように取り計らいしているようだ。





いつもより少し長めになります。5~10話分くらいかと。

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