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家庭菜園部で行こう!!  作者: ゼリー
本編
61/210

真面目に家庭菜園部 1


 家庭菜園部

本来は『学園長の命により何か非常事態があれば速やかに出動し事態を解決せよ!』

という特命を受けた部活。今回は表向きの家庭菜園部としての部の拡充を図ろうというお話。


〇登場人物〇

・司馬未来

家庭菜園部部員の一年生。

荒れ果てた家庭菜園部の畑をどげんかせんといかんと思っている。


・森野拓

家庭菜園部部長の二年生。

畑については無関心。対して重要なことではないと思っている。


・衣笠螢

購買部の副部長の三年生。

司馬未来に購買部に入ってほしかったと思っていた。だからといってぞんざいに扱ったりはしない。

この学園ではすべての人がお客様なのである。




 - - - - -




 司馬未来にはずっと考えていたことがあった。

そう、家庭菜園部の家庭菜園の畑についてである。

というのも今は森野拓の植えたミントで畑が侵食されて青々とはしているが、

雑草もそのままだし、明らかに家庭菜園というにはほど遠い風貌だ。


 何故そんなことをずっと考えていたのかというと、実は一つ懸念すべき材料があった。


 いくつかの部活の活動報告書を読んだ自分だからわかることだが、

家庭菜園部の部費の金額が、他の部と明らかに桁が違うのである。

 その用途としては、生徒会にも未公表の活動報告書を見るに、

主に着ぐるみのメンテナンスなのであるが、そんなことを活動報告書に書けるわけがないし、

もちろん学園長の命令で活動している部活なので何か言われる筋合いもないのだが、

だとしても生徒会が気に掛けていないわけがないし…、

せめてだ、表の活動報告書を充実させる必要があると思ったわけである。


 なので、家庭菜園の畑をきちんと整備させようと未来は考えたのだ。

部長の森野拓はさておいて。


 しかし…どうしようか、

はっきり言って畑仕事に興味はあるが知識はない。


「なんにしてもとりあえず必要そうなものから揃えていくことにしよう!」


 現在家庭菜園部の部室には、

その辺のホームセンターで買ったような、水やりをするための安そうなじょうろと、

体裁を整えるためだけの、家庭菜園の本が一冊。

一応くたびれているところから、拓も一通り本は読んだのだろうが、

実践していないところを見ると自分にはできないと思ったのだろう。

一番簡単にできそうであったミント栽培のページだけ端が折ってあった。


 あとは、確か畑にはいろんな土が必要だったはず。ミントの畑はどうせその辺の土を耕しただけだろう。

それと野菜の苗か。何を選んだらよいかはわからないが、これは絶対必要だ。

そうだ、買うのはいいが運ぶのも正直困ってしまう。

 用務員さんが車を使っていたが、

やってくれそうだけれども、さすがに他の部の荷物を載せてもらうのは気が引けるし。

 とそこまで思ったところで、ピンときた。


 購買部に土や苗など頼んで買ってきてもらえないだろうか。

 とりあえず思い立ったらすぐ動かないと気が済まない未来は早速動くことにした。


「こんにちはー!」


 購買部のコンビニで元気よく挨拶をする。

放課後なのでレジは忙しくもなく、他の作業をしているためか呼ばないといけない。


「こんにちは、あら、司馬さん」


 出てきたのは購買部に仮入部中にお世話になったホタル先輩である。


「えっとー」


 事情を説明する。それを事細かに質問で返してくる。


「ふんふん。うん。買ってくること自体は購買部の仕事の一環だから問題ないよ」


 と返答をしてくれた上で。


「でもそういうことならもうちょっと、良い方法があるかも。

そんなに品種とかまでこだわりはないんだよねー?」

「はい~」


 そして奥からファイルの束を持ってきて、

「園芸園芸、あったこれだ」


 と言うとカラーで印刷された園芸用の物資が書かれているチラシの束を渡された。

 花や野菜の種から、土、苗、樹木、農機具まで様々なものが載っている。

そうか、確かに学校側の人間が何か校内に植えようと思ったら、こういうのも必要かもしれない。


「一応窓口が購買部だから、その金額に+手数料かかるけれど大丈夫?」

「もちろんですとも、それに、正直相場とかわからないですが、なんだか安い気がしますし」

「普段みんなが買い物するときは小売価格だからね~。

売る側の利益を考えたら、仕入れの値段はそれだけ安くないと」

「なるほど~」

「そういえば司馬さん、その家庭菜園部ってところに入ったの?」


 考えて見るとお世話になったにもかかわらず、まだ報告していなかった。

その青ざめた顔が、表に出ていたのか、


「あっちがうちがう、怒ったりなんかしようっていうんじゃなくて、

淡とそういう話をしていたから、気になっていてね。でも残念だったなー」


 ホタル先輩はわざとらしくヨヨヨと袖を濡らして泣く真似をする。

 ちなみにあわいというのはホタル先輩と同じく、仮入部でお世話になった喫茶店部の部長である。

二人は同じクラスらしく、両方仮入部した自分の話題が出たことがあるらしい。


「でもでもっ、高校生になったからにはいろいろお金が入用なので、

たまにアルバイトさせてもらうと思いますっ」


 タイミング的に言い訳っぽくなってしまっただろうか?

でも本心からそう思っている。家庭菜園部じゃ稼げなさそうだし。

っていうか土や苗を頼むお金も自腹だし!!


「ちょっと、このチラシ借りても良いですか?情報が多すぎてこの場では決めきれないです~」

「オッケー、でも他の人には見せちゃだめだよ。一応部外秘だし期限きめとこっか?

三日くらいあればいい?」

「了解です!」


 これは部室でじっくり読んで決めるとしよう。

 帰り際に、先ほどアルバイトさせてもらうと言ったのが功を奏したのかはわからないが、

結構いろいろ頼むんだよね?と聞かれ、

そしたら今回だけはその仕入れの金額でいいよ。と言ってくれた。

これから上得意様になるだろうしそのくらいはいいでしょと付け加えて。


 とりあえずホタル先輩を拝んでおいた。




 その足で家庭菜園部の部室に戻ってきてリストを眺めるが、

意外と土も野菜も種類が多くどうしようかと思っていたところで、

全てセットになったプランターで育てる栽培キットというものを見つけた。

その名もはじめて栽培セットと言い、まさに今の自分にぴったりの名前と存在である。


 たしかにプランターは選択肢として良いかもしれない。

地植えはいきなりだと失敗したときなんかこわいし、土を足すにしても大量になるし。

 なんだかんだ言って今植わっているミントを引っこ抜いて捨てるのも忍びない気持ちもある、

なのでそういうものからやってみたほうが良いかもしれない。

そんで慣れてきたら畑で本格的にやってみたらいいだろう。


 それにわからないまま適当に選んでやるよりかは、

プロが選んだセットでその通りにやるほうが間違いは少ないだろう。

 

 よし、これで畑の方の方針は決まったぞ!


 あとは…


 とそのタイミングで部室の扉がガラッと開く。


「おう、どうした変な顔して。変な顔がいつもよりよっぽど変だぞ」


 この家庭菜園部の部長である森野拓が部室にやってきた。

 ちょうど彼に用事があったのでタイミングが良いと言えばよいのだが、

その用事がちょっと言い出しづらいので、どうやって説得しようかと思っていたのが顔に出ていたようだ。

しかしながら変な顔を連呼されると腹が立つ。


「ちょっと相談がありまして…」


 ともったいぶるが簡単な話である。


 部室の増築を訴えてみたのである。

 着ぐるみや見てはならないものが見つからないように。

 というか隠さなければならないモノだらけなのに、

一部屋に全部収めようったって無理がある。

自分にとっては良い結果だったが、その怠慢が原因でわたしに着ぐるみを発見されてしまっただろうに。


「なるほど…確かにな。ちょいちょい俺のクラスのやつも何人か顔を出すが、急にロッカーを開けないとも限らんしな」


 普通は人のロッカーなんて開けないと思いますけどと言ったが、


「俺が言うのもなんだがあいつはバカだからな…絶対とは言い切れん」




 ・・・そんな人をノコノコと部室にいれないで欲しい。


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